わらしべジェスター(後編)


「琶月から貰った食費2000円。気がつけばよくわかんないハンカチ一枚に。これって運悪いよね?」

キキィィーーー

ガッシャーーン

「うわー、目の前で交通事故がーーー。」

轢かれて大怪我している男性
「うぅぅ・・・」
事故起こしてしまった男性
「う、うわー!」
特に傷を負っていないオバサン
「イギィイイイイイイ!!ウギャアアアア!!!!」

「明らかにキチガイが1人。とりあえず救急車呼ばなきゃ。」

特に傷を負っていないオバサン
「チョット!!!メッチャ怪我したんだけど!!!ほら!!!!」
通りすがりの女性
「大変・・・轢かれたこの人凄い血出てますっ、何か止血するもの・・・!!あ、このハンカチで止血を・・・。」
特に傷を負っていないオバサン
「ムギィィィ!!私よりそっちの男のが大怪我だというの!!?このハンカチは私が使うわ!!」
通りすがりの女性
「あっ!こら!」
特に傷を負っていないおばさん
「アーーモウサイテーーだわーーー。」(スタコラサッサ
通りすがりの女性
「どっか行っちゃったし・・・あぁ、どうしよう。他に何か止血するもの・・・。」

「あんまり大きくないけどハンカチ・・・使う?」

通りすがりの女性
「あ・・・ありがとう・・!これ・・・新品のエルメスのハンカチ・・・!!これ凄く高いハンカチなのに・・・いいの?」

「(えーーーこれ高いハンカチだったの!?渡すんじゃなかった・・・でも人の命の方が大事だよね?)」

「うん、いいよ。」

通りすがりの女性
「ありがとう・・!」


・・・。

・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。


通りすがりの女性
「うん、これでもう大丈夫。そこの子ありがとうね。あんな高いハンカチを躊躇いもなく渡してくれて。これ、お礼。」

「あれ?いいの?」

通りすがりの女性
「私にはもう必要のない物だから・・・。」

「(何か雰囲気が重いんだけど・・・)あ、ありがとう・・・。」


・・・・・。

・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



「さーってと、何貰ったかなー。」

「・・・・」

「うわ!指輪だ!」

「あ、でもこれ。何の宝石も埋められていないし金とかレアメタルじゃない、普通の銀細工の指輪だ。」

「時価総額1万ぐらい?適当に言ったけど。とりあえず指にはめてみる。」

「うわー!ぶかぶかー!」

紳士服の男
「アバババアババババ!!!!」

ガツン(ジェスターとぶつかる

「あいたっ!!」

紳士服の男
「アバババババ!!け、け、結婚式に遅れるぅぅううう!!!」

「リア充」

紳士服の男
「ん・・・あれ・・・?うわああああああ!!!結婚式の指輪忘れてきたあああああああああ!!もうだめだああああああああ!!!!」

「はい、お疲れ様でした。」

紳士服の男
「んっ!?君!!指輪をつけているね!!それもまさか・・・レアメタルで出来た高価な指輪・・・!?」

「うん、そうです(大嘘」

紳士服の男
「頼む!!この腕時計と交換してくれ!!ほら!金の腕時計!!」

「アップルウォッチはお断り。」

紳士服の男
「アップルウォッチじゃない!」

「あ、本当だ。金メッキの時計もお断り。」

紳士服の男
「18金の腕時計だよ!!」

「本当に交換していいの?」

紳士服の男
「構わない!嫁は買えないが腕時計は買える!!」

「交換してもいいよ!!今の言葉が凄く気になるけど。




・・・・・。

・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。




「安い指輪が金の時計に変わったよ!!やった!!」

「質屋にでも売り飛ばしにいこ~~~~~っと。」

ガチャ(誰かが車から降りてきた

「ん?」

少し太った男
「ン?チミ、そこに立っていると降りられないんだがね。どいたどいた。」

「ジェスター様は金の腕時計を貰ってご機嫌だから無礼な態度を特別に許す。」

少し太った男
「最近の子供は金持ちじゃのぉ。・・・ふぅ~む?ちみちみ、その腕時計。なんだかカッコイイのぉ?」

「あげないよ。」

少し太った男
「ハッハッハ、気が早いのぉ。交換なら応じてくれるかね?実はワシ、地上げ屋何じゃが結局使われることのない物件が一つ余ってのぉ。狭い狭い骨董品の物件なんじゃがそれと交換はどうじゃね?」

「えー、土地なんか貰ってもお金にならなーい。」

少し太った男
「そうとも限らんぞぉ?ほれ。」(書類を手渡す

「んっ。」

少し太った男
「はい受け取った!!受け取ったってことは承諾の意思表示ぃ!!その金の腕時計ワシのものね!!はい、さよなら!!!」(腕時計奪って退散

「あ、コラーーーーーーーーーー!!!!!!!!」


・・・・・。

・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。



「金の腕時計がよくわからない骨董品の物件に化けた!!最悪!」

「とりあえず書類に書いてある物件の場所にいってみる・・・。良い土地だったら解体して売り飛ばす。」



・・・・・。

・・・・・・・・・・・。


「うわー・・・駅から遠いしボロッボロだしめっちゃ狭いし五月蝿い場所だし二束三文にしかならなさそう。

骨董品の店主
「いきなりひどい言い様だね・・・こっちは参ってるってのに・・・。」

「そんな口聞いて良いのかなー?私、今日からここの土地の持ち主になったんだけどー?」

骨董品の店主
「あっ・・!!?そ、そいつは!!地上げ屋に取られた権利書じゃないか!!どうしてきみが!!?」

「交換に応じたら何かこうなった。でもここ、金の腕時計とつりあわないひどい場所だった。」

骨董品の店主
「頼む・・・!!その権利書を俺に返してくれ・・・いや、譲ってくれ!!!」

「いくら出す?」

骨董品の店主
「10万!」

「不動産やに売ってくる。」

骨董品の店主
「うぐぅっ!!え、江戸時代から代々告いできた骨董品・・・俺の代でお終ぇか・・・す、すまねぇ・・・とうちゃん・・・ひっく・・ぐすっ・・・」

「泣き落とししても無駄ー!」

骨董品の店主
「頼む・・・一生のお願いだ・・・俺の父さんがこの骨董品に最高の評価をつけたんだ・・・。俺には目利き力がないしこいつがいくらの価値があるか分からないが・・・頼む・・父さんの目利きは確かだったんだ。こいつと権利書・・交換してくれ!」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」





・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。





「あーあ、気がついたらこんなボロボロのわけ分からないツボになっちゃった。金の腕時計で早く換金したかったなぁー。」


グゥ~・・・


「お腹も減ったし、早くこれを質屋に売り飛ばして牛丼でも食べようっと。



キャスター
「じゃかじゃん!!30万円!」

\ア~~~~~~/

キャスター
「いやーお父さん残念でしたねー!」
お父さんらしい人
「もっと高い価格来ると思ったんですけどねぇ。」
キャスター
「っというわけでお疲れ様でした!はい、つづいてコチラの方のツボを鑑定しましょう!!」

「あー!こんなところに出張なんでも鑑定団が~~。」

「すいませーん!このツボも鑑定お願いしまーす!」

キャスター
「はいはい、列に並んで待っててねー。」



・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

キャスター
「それでは次の鑑定に参りましょう!お譲ちゃん、お名前は?」

「ジェスターでーす。」

キャスター
「それではジェスターちゃん、鑑定の品はこちらのツボでよろしいですね?これはどこで手に入れたんでしょう!?」

「骨董品の人と交換してもらったのー。」

キャスター
「う~ん!!これが高いツボであるといいですね!ちなみに予想鑑定額はいくらぐらいだと思うかな!?」

「100万円!」

キャスター
「おぉっと!強気に出ましたねぇ。それでは鑑定の皆さん。お願いします。」
鑑定員
「うむ。ではさっそく・・・・。・・・・はっ・・・こ・・・ここ・・ここここれは!!?これは1000千万は下らない代物!!??」

キャスター
「うええぇぇっ!!?










・・・・・。






・・・・・・・・・・・・・・。







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。







「ただいま~~~。いや~~~宝塚は面白かったですよ~~~。ジェスターさん良い子にしてましたかー・・・って。」

「ひゃっほーい!!るんるん!!わーいわーい!!!うふふふ!!」

「ジェスターさんが壊れた!!!」

「お金持ちのジェスター様と呼んで。」

「はいはい、何があったのか知りませんけど琶月さんは疲れたのでお手伝いお願いしますよ。」

「(鑑定額3500万円のツボ・・・琶月にはびた一文分けないモンねー。琶月には隠しておこっと。)」

「今日のジェスター様はご機嫌だから特別に手伝ってあげるー。」

「いつもご機嫌だと良いんですけどねぇ」

「いつもご機嫌だよ!」

「嘘だ。」




・・・・・。



・・・・・・・・・・・。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。




==翌朝



「眠い~~。寝すぎた~~~。昨日良い事ありすぎて興奮しちゃって寝れなかった。」

「おはようです。もうお昼ですよ。」

「さーってとーそろそろあのツボを売りに・・・・。」

「あれ?ここにおいてたツボは?」

「あぁ、捨てましたよ。あんな汚いつぼ。」

「今何て言った?」

「捨てました。もうーあんなカビだらけの汚いツボ。そもそもドコであんなの拾ってきたんですか。」

「うわあああああああああああ!!!回収しなきゃ!!!!!!」

「ん?大事なつぼでした?・・・すいません、実は手が滑って割ってしまって・・・。」

「わあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

「ぎゃあああぁぁぁぁ!!!!」



その後、ジェスターは一週間程隅っこから動かず、しくしく泣き続けていたという。

「何か悪いことしましたか?」

「言っておくけど琶月今ので間違いなく人気落ちたからね。」

「うぇ!?」


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