This war of mine 5DAY





「マルコだ。今日でここに越して六日目になる。

ここに越してきてからパブレの体調がずっと優れないが流石にもう治っただろうか?




まだ治らないらしい・・・。仮病じゃない・・・ようだな。
本人は軽い風邪だと言っているが、実は性質の悪い病気なんじゃないのか心配になる。
ただ怪我の方はもう治ったみたいだな。やはり病気は怪我と違って抗生物質とかがなければそうそう簡単に治らないのか・・・。



ブルーノが俺は「昨日も寝てない、一昨日も寝てない」と言ってずっと愚痴をこぼしている。
こりゃ等分長いことベッドを占領するだろうな。せっかくだから新しいベッドを作っておくか・・・。

あぁ。それと今日は五日目・・・つまり奇数日だな。やっと食事にありつける。
一応二日に一回の食事でも何とかやっていけてるな。いや、こんなに永遠に続けてたらいつかぶっ倒れるのは分かっているが戦時中はもう仕方ないと割り切ろう。この戦争が終わったら毎日ぶっ倒れるまで腹一杯食ってやる。



・・・・。

・・・・・・・・。

あぁ、腹が満ちると心も満ちるな。満腹まで食えたらきっと気分もよくなるに違いない。
小休憩したらあれを作るか・・・。昨日の探索でついに作りたいと思っていた物が作れるようになったんだ。



そう、小動物用の罠だ。昨日の探索で機械部品を沢山見つけることが出来てな。これでやっと一個作れるぞ。



場所は・・・そうだな。出入り口に仕掛けておくか。まぁ正直どこに仕掛けても差はないと思うけど一応な。

罠を設置したら次に餌を用意しなきゃいけない。
スッカラカンの檻に理由もなく入る動物はいない。


※餌は肥料、生肉、缶詰の中から一つ選択して設置することが出来る。基本は肥料か生肉のどちらかだ。缶詰を餌に使用するのはもったいなさすぎる。ブルーノが罠にひっかかっちまうレベルだぞ。

餌も設置したら後は何かが引っかかるのを待つだけだ。


※獲物がいつ引っかかるかは誰にも分からない。1日の時もあれば数日待っても引っかからない時もあるだろう。根気良く待つことが大事だ。

よし・・・。今日やる事は一通りやったはずだ。
後は夜の準備をするとするか・・・。
ん?パヴレ、起きたのか。寝てなくていいのか?・・・夜の準備を手伝う?全く、お前がそんなことしてるからいつまでたってもその病気が治らないんだよ。
でもどうせ寝てろなんて言ったところでお前は寝ない良い奴だからさっさと準備終わらせてお前は寝てろ。いいな?

・・・・。

あぁ、そうだ。パヴレ。準備の手伝いをしながら聞いて欲しいんだが・・・。
昨日探索しにいった場所にホームレスが住み着いてたんだよ。戦時前ならそんなに珍しいことじゃなかったんだが、
戦争が始まってから路上で寝ていたホームレスの大体はみな砲撃によって死んだから今じゃちと珍しいよな。
そいつ、次来る時は何か食べ物を持ってきてくれないか?って図々しく頼んできたんだよ。
資材が一杯落ちてる建物だったからな。通行料のつもりなのか知らんが・・・・って、パブレ。その生肉なんだよ・・・。うわ、お前貴重な食料鞄に詰め込むなよ!!



え?なに?食料を分けてやって暮れだと?正気か!?

・・・ああ、ああ、わかった。わかったよ・・・。だけどこのことはブルーノには秘密だぞ?
全く、あいつ本当に人が良すぎるな・・・。俺も戦時前は消防士として人を救う仕事をしていたけれど、それとこれとは何だか事情が違うよ本当に・・・。



俺はもう一度あの建物に食料を持っていくことにした。



・・・。

・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。





そいつは昨日と同じところに居た。
今日も捨てられた子犬よりも酷い目で俺の事をずっと見つめ続けていた。
その痛々しいまでの期待された眼差しに耐えられなくなって俺は即座に食料をこいつに渡した。





食料を渡すと男はその場に崩れ落ち、両手で食料をしっかりと握り締めながら俺に何度もお礼の言葉を述べた。
・・・その姿を見た時、俺はかつて燃え盛る建物の中から救助した子供と一人の母親を思い出した。
けたたましく鳴り響くサイレン、崩れ落ちる床と天井。建物は煙で充満し救助は困難を極めた。だが賢明な救助活動によって取り残された子供と母親を救助することが出来た。
その時も母親はこのホームレスと同じようにその場で泣きながら俺に何度もお礼の言葉を口にし・・・消防士の道を選んでよかったと、心の底から実感した時だった。

・・・俺は間違っていた。パブレが全て正しい。人命の重さに違いや差別なんかない。
俺はホームレスの腕を引っ張られてはっと我に返った。



ホームレスは俺の腕を引っ張り地下へと連れて行った。
俺はそのまま男の後をついていった。



ホームレスに言われたとおり、俺は樽の裏を覗き見た。



驚いた・・・こんな所にこんな貴重品が置いてあったとは・・・。
高純度アルコールは薬を作るにしても包帯を作るにしても必要になる今じゃ高級品の一つ。
宝石の用途は言わずもだな。

男は「この身なりでは誰も物々交換に応じてくれない。私にはこの物資は無用の長物・・・使われないのであれば助けていただいた貴方に持っていってもらいたい」と私に言った。
私は一度うなずいた後、その貴重な物資をバックパックにつめた。

・・・これで満足して帰りそうになったが本当の目的は資材の収集だ。それも忘れずに行っておこう・・。



俺はパブレに大事な事を教われたな。





・・・・・。

・・・・・・・・・・・。



隠れ家に戻った俺は今日の出来事を二人に共有し、また二人から夜の間に起きた出来事を共有してもらった。
パブレがまた怪我していたから何とな察しはついていたんだが、また襲撃があったようだ。




パブレ・・・あいつに早く武器を持たせるべきだな。

(続く)


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