夢見るジェスター


「最初に報告しておくが、夢見る島とは一切関係がない。」

「いきなりよくわからないこと言い出した!!」

「誤解の元は早急に解くべしってドラッカーの本に書いてあった。」

「琶月さん読んだことありませんけど、今絶対適当に言いましたよね?」

「察しがよくなってきた・・・成長している証だ。」

「んもー。というか何なんですかその権威国っぽい喋り方は〜。たまには昔のジェスターさんともおしゃべりしてみたいものです。こう、ふわふわ〜としか言ってなかった頃の。」

「ジェスター種も成長するのだ。」

「というわけで、明日は小学校の期末テストがあるので早く寝ます。」

「さっきまでの発言の重さとこのギャップである!でもちゃんと通っててえらい。」

「じゃ、おやすみ〜。」

「は〜い、おやすみです。」





・・・・・・。




「(そういえばこっちに来てもう3年くらい?3年前の私ってどうしてたっけ?えーっと、キュピルとかルイとかがいて・・・。あれ、その頃の私ってどいう性格だったっけ・・・。)」





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????
「・・・ェ・・ター。」


????
「ジ・・・ター!」



「ジェスター!」


ジェスター
「ん?」
キュピル
「いつまで寝てるんだジェスター。もう12時だぞ。」
ジェスター
「しまった、完全に小学校に遅刻した。これは小学生にとって重罪である。」
キュピル
「なんだその変な喋り方は。」

ジェスター
「ん?ここは日本じゃないの?」
キュピル
「何を言っているんだジェスター。ここはアノマラド大陸のナルビク。そんなことも忘れたか?」
ルイ
「キュピルさーん!久しぶりに依頼者が来ましたよー!!」
キュピル
「おぉ、本当か。すぐいく。」
ジェスター
「んー・・・・。あれ、やっぱり変。確かクエストショップって火事で焼け落ちてなくなってたはず。それに特殊ワープ装置機が暴発して私と琶月は日本にいってたんじゃ。」
輝月
「何勝手にワシの琶月を巻き込んでおるのだ。」
琶月
「そーだそーだー。」
ジェスター
「まぁいいや。私は長い夢でも見ていたのかもしれないし、それともここが夢なのかもしれない。いつも通りすごそーっと。
・・・・ん?いつも通りってなんだっけ?まぁいいや。キュピルにちょっかいでもだしてこよ。」



・・・・。

・・・・・・・・・。


キュピル
「ようこそいらっしゃい。私がここのクエストショップのオーナーです。」
依頼者
「ほぉ、こんな若い方がオーナーとは。流石はナルビク。冒険者の街だけあって若者が活気づいてる!」
ジェスター
「なお真のオーナーはこの私である。」
キュピル
「おい、勝手に混ざるな。そしてさらっと嘘をつくな。」

ジェスター
「ほら、看板にも書いてあるでしょ。ジェスターのクエストショップって。」
キュピル
「ちょっとルイ〜〜〜!!ジェスターを向こうに連れてってくれー!!}
ルイ
「はい、ジェスターさん。キュピルさんにそう言われちゃったら連行です。」
ジェスター
「誠に遺憾である。」
キュピル
「ジェスターってこんなキャラだったっけか?」




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ジェスター
「いつも何してたか忘れたからファンにちょっかいかけに来た。」
ファン
「ナンデスカ!またイタズラしにキマシタカ!!」
ジェスター
「んーーーーーー。」
ファン
「どうしましたか?」
ジェスター
「ファンっていつも何やってたっけ。」
ファン
「僕は皆さんの装備をメンテナンスしてますよ。ヘルさんの剣は特殊ですし、ルイさんの銃も魔法と組み合わされたものなので普通の鍛冶屋さんには修理出来ませんからね。」
ジェスター
「クエストショップのメンバーの中じゃファンが間違いなく1番優秀だからもっとこっちに予算割り当てるべきだよね。
というか、いつも赤字赤字言ってるけどキュピルってちゃんと予算管理してるの?目分量で適当に割り振ってたりしてない?」
ファン
「ヒエッ、ジェスターさんがお金の話をしている!!ジェスターさんじゃないみたいです!!」
ジェスター
「私じゃないってどういうこと?」




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キュピル
「あー、注目ー。さっきの依頼者から討伐の依頼を受けた。俺の他にあと二人でチームを組んで討伐に行こうと思う。行ける人いるか?」
ルイ
「はい!行きます!」
輝月
「ふっ、仕方ないな。この私が手を貸そう。」
ルイ
「輝月さんは琶月さんの修行に付き合ってあげたほうがいいんじゃないですか?」
輝月
「お主こそ家事が残ってるのではないか?努めを果たさずして手伝いじゃと?」
ジェスター
「この二人めんどくさいね。キュピルのこと好きならさっさと好きって言えばいいのに。」
ルイ
「ちょ、ちょっと!」
輝月
「なっ!誰がこやつのことなんか!」
ジェスター
「キュピルも面倒だろうから私が付き合う。あ、もうひとりは琶月でいいんじゃないの。」
琶月
「うぇっ!?」
キュピル
「ま、まぁたまにはそういう組み合わせでもいいか。よし、いくぞ。」
ジェスター
「琶月、日本とか何も覚えてない?」
琶月
「ん・・・?何の話ですかね・・・。」
ジェスター
「あっそう。」



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==ペナインの森


ジェスター
「あー、懐かしい。」
キュピル
「今回はペナインにいるドラグーンが討伐対象だ。まぁ、昔あった異常発達したドラグーンが相手だとかそういうわけではなく、最近増えすぎて生態系に影響を与えているからある程度間引いてほしいとのことらしい。50数体倒せばいいらしい。出来るか?」
琶月
「うぅぅぅ・・・なぜ私を指名したんですかぁー・・・・。」
ジェスター
「ザ・無能&無能。」
琶月
「ああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」
キュピル
「やっぱりこのジェスターなんかいつもと違うぞ。」




・・・・・。



キュピル
「一閃!」
ドラグーン
「グォッー!」

琶月
「ひぇぇっ!」
ドラグーン
「グァー。」
琶月
「倒せた!!」

ジェスター
「いつまでも暴れてないでちゃんと仕事について親孝行するべきなんじゃ。」
ドラグーン
「改心するわぁ〜。」

キュピル
「なんだこいつの倒し方。間引け。」





・・・・・・。

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キュピル
「ただいまー。」
ルイ
「おかえりなさい。大丈夫でしたか?」
キュピル
「おう、このぐらいなら全然大したことないさ。なんかジェスターのやり方だけ著しくおかしかった気がするが。」
ジェスター
「戦い方にも自由は必要。」
琶月
「仰ってる意味がよくわからないんですけど。」

ルイ
「お夕飯もうすぐ出来ますから、後処理終わりましたらリビングに来てくださいね。」
キュピル
「ああ。」
ジェスター
「(事実上の夫婦である。)」



・・・・・・・。


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キュピル
「もう寝る時間か。なんか今日はあっという間だったな。」
ジェスター
「ねぇキュピル。」
キュピル
「ん?」
ジェスター
「昔の私のほうが好き?」
キュピル
「なんだ、いつものジェスターっぽくないって言われたことが気になっているのか?」
ジェスター
「そういうわけじゃないけど・・・。」
キュピル
「良いんだよ。どんな性格になろうともどんな口調になろうとも、ジェスターがジェスターであることに変わりはないんだ。
どんなジェスターでも俺はジェスターの事が好きだよ。」

キュピルがそう言ってジェスターの頭をポンポンと撫でる。
懐かしい感触を感じながらジェスターはうとうとと眠りに落ちそうになり、ふとした瞬間、そのまま意識が落ちた。





・・・・・。

・・・・・・・・・・・。

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「ああああああああああ!!!!!!!寝坊したああああああああ!!!!!!!!!!ジェスターさーーーん!!!」

「ん。」

「大変でーす!!午前9時でーす!!」

「ギャー!!遅刻だー!!小学生にとってテストを休むのは重罪である!!」

「あーあるある。小学校でそういう謎ルール流行るの。」

「ん・・・・そういえばなんか今日凄く懐かしい夢を見た気がする。」

「えーなになにー。キュピルさんにでも夢の中で会ったんですかー?」

「んー、会ったような会ってないような。それよりも早く朝ごはん作ってよ。」

「えーーー!ほら、私もバイトに遅れそうで焦ってるんですからジェスターさんも手伝ってくださーい!ほら!」

「あ、夢のこと一個だけ思い出した。」

「え、なになに?やっぱりキュピルさんとお話しました?」

「琶月にザ・無能&無能って言ってた。」

「はい!早く手伝いする!!!!111111111」

「ギャー!」


終わり


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