世界を揺さぶる、原油大暴落の"犯人"



「原油安の低下が止まらないー!助けてーー!!」

ジェスター
「あれ、琶月にしては難しい言葉使ってるね。確かに最近原油凄い安くなってきてるね。何?原油先物にでも手を出してたの?」

「ごめんなさい、バイト先の店長が言っていた台詞を真似していってみました。そもそも原油って何ですか。」

ジェスター
「原油は石油の事だよ。車を動かすガソリンになったり、服を作るのに使われる化学繊維何かにも使われたりする万能液体だよ。
石油からプラスチックが作れるし、合成ゴムも作れるしアスファルトに化粧品。電気を作るのに必要な燃料にもなったりするよ。」

「おー、まるで魔法みたいな液体ですね!なるほど、日本という国が魔法を使えなくてもまるで魔法みたいな事を実現している理由が何となく分かりました。」

「・・・・あれ、その原油が何で値下がりしてるんですか?そんな貴重な物が値下がりするとは思えないんですけど。」

ジェスター
「うーん、結構難しいお話になるけどなるべく分かるように説明してあげるね。
そもそも原油っていうのは一部の国でしか採掘できなくて何処でも手に入る物じゃない。それで原油を採掘できる国だけで構成するギルドみたいなものがあるの。そのギルドの名前はOPEC
このOPECでやっていることはまぁ簡単に言えば石油の利益を守ろうねっていうグループで、もっと砕けて言うと「俺等で石油の産出量をコントロールして値段を操作しようぜ」ってギルド。」

「うわー、結構あくどそうなギルドですね。」

ジェスター
「石油の価格は採掘量に応じて変動するから、適当な理由をつけて実際に需要よりも少ない量だけ採掘して高騰したこともあったね。OPECに加盟している国としては利益が多いほうがうれしいのは当たり前の話だよね。」

「まぁ、そうですよね。・・・えーっと、採掘量を調整して価格を調整できるなら何で今空前絶後の値下がりが起きているのか琶月さんには分からないです。」

ジェスター
「そうだね。今まで石油がこんな風にコントロールできたのは石油に取って代わる資源がなかったからなの。ところがこの石油に取って代わる新しい資源が発見された。それがシェールオイル。
このシェールオイルは今アメリカで沢山埋蔵されていることが分かっていて、掘削技術も向上して安価にチューチュー吸い取れるようになったの。
しかもOPECが今まで散々価格をあげてきていたものだから、一部の国々が『高い石油なんか買ってられない!俺は安いシェールオイルを買うぞ!!』って飛びついたんだよね。」

「あ、分かりました。それでOPECっていうギルドは採掘量を増やして価格を安くし、シェールオイルに対抗しにきたんですね。」

ジェスター
「今日の琶月は物分りがいいね。」

「ドヤァー!」

ジェスター
「このOPECの動きを最近の世論は「シェールオイル潰し」って呼んでいるね。確かに掘削技術が向上して安価にシェールオイルが手に入るようになったとはいえ、まだ採掘コストが石油の方が安価。
石油が全力で値下がりした結果、今までシェールオイルを買っていた人が再び石油にカムバック。
シェールオイル側も負けじと値下げするけど、石油よりコストがかかるせいで採掘すればするほど逆に赤字になるっていう事態を招く。
結果、既に何社かはもう倒産しちゃったみたいだよ。」

「ふーん、結構きな臭い事情があるんですね。」

ジェスター
「でもこの原油安。実は今コントロール不能な状況になってきちゃっているのはまだあんまり知られていないみたいだね。」

「ん?どういうことですか?シェールオイル側のギルドをやっつけたなら、また減産して価格を元に戻せばいいんじゃないんですか?」

ジェスター
「そもそも石油って何で必要なんだっけ?」

「物作るためですよね。あと他にもガソリンとかエネルギー・・・電気とかもでしたよね。」

ジェスター
「そうそう。さて、ここで問題。石油が最も取れる国はどこでしょうか。正解したらジェスターバッジをプレゼント。」

「いりません。」

ジェスター
「講座終了。」

「あーあーあー!すいません!ここで講座終わったら何かモヤモヤするんので続けましょう!!えーっとえーっと、日本ですかね?」

ジェスター
「ぶぶー。答えはサウジアラビア。そもそも日本は石油なんか殆ど取れないから。全部輸入頼み。」

「日本は資源に恵まれていない国なんですね。」

ジェスター
「その代わり海産物には恵まれているよ。」

「お魚だぁいすき。」

ジェスター
「話を戻すけど、サウジアラビアが最も石油を取れる国だからOPECに対する決定権が最も強い。で、そのOPECで『シェールオイルに対抗するために石油を減産するぞ!!』って宣言したんだけど実は他の国々から凄い猛反対されたんだよね。
と、いうのもサウジアラビアはともかく、他の国々は石油を売って国の生計を立てていたから、石油の価格が下落することは即ち懐に入るお金が当分なくなるっていう事を意味していたの。」

「あー、なるほど。お小遣い減らされるようなもんですからね。」

ジェスター
「それだけじゃなく、電気を作るエネルギーとかは石油に限らず、天然ガスとか石炭とかも使われているから、それらを売って国の生計を立てていた所は石油にゴッソリ客を奪われることを恐れたんだよね。でも、結局サウジアラビアが強硬して逆に増産。
こうして、ロシアとか天然ガスという資源を売っていた所も巻き添え。結果、色んな国が疲弊していった。
そうした結果、国の景気が悪くなって物が売れなくなってきた。」

「景気が悪くなって物が売れなくなっていく・・・。・・・物が余る・・。あれ?石油いらないですね。」

ジェスター
「そう。それ。実際はもうちょっと複雑な事情があるんだけど(実はロシアとISISを困らせるためにサウジアラビアとアメリカが手を組んで値下げしていた説とか)、表向きはそんな感じ。
他にも、中国っていうお隣の国が景気ウハウハだったんだけど、最近凄い景気減速して石油が思った以上に必要じゃなくなったことも加わって石油の上値が重くなってきたみたい。」

「うーん、自分が巻いた種にやられているって感じなんですかねぇ・・。」

ジェスター
「サウジアラビアはかなり資金持っているし外国の通貨もいっぱい持っているから自分の国がピンチになっても相当長くは持つと思うよ。単純にエネルギー資源(石油、ガス、石炭等の資源の事)を売っていた国が今凄い困っている感じ。」

「なるほど・・・。・・・あ、そういえば日本はどうなんです?日本はエネルギー資源ないんですよね?」

ジェスター
「うん、今は無いね。日本はエネルギー資源を全て買っている国だから今の状況は良い状況だね。
ただ、あんまり知られていないけど石油を精製してガソリンにする施設を多数おいてあるから、そういう工場はちょっと不況の煽りを食っているみたいだけどね。
とりあえず一般市民の視線から見たら今は色んなものが安くなってきて良い状況だと思うよ。(※皮肉なことに、安部総理の物価上昇目標はこれのせいで微妙に達成が難しい)」

「原油が安くなっている理由が大変よく分かりました。」

「・・・ん?あの店長さんは原油が安くなっていることを何で嘆いていたんだろう。ジェスターさーん、原油先物って何ですかー?」

ジェスター
「喋りつかれたーーー!!!自分で調べてね。」

「あ、じゃーパソコン貸してください。」

ジェスター
「やだ。」

「もーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」


==ソース:東洋経済オンライン



ひとり言:
最近石油が安くなっている理由をあまりご存知じゃない人が多かったのでちょっと真面目に解説してみました。
今回このページで取り上げたことは原油が安くなっている理由の基礎部分を説明しました。
しかし、もうちょっと奥のほうを覗くとイスラム国やらロシアやら色んな国際情勢が原因で実は安くなっているのかもしれないっていう見方も出来たりします。
原油が安くなっている理由をもうちょっと詳しく知りたいって人はこちらのページを見てみると面白いかもしれません。

私はこういう世界情勢を取り巻くニュースを読むのがだぁいすきです。
多分、就活の面接で「最近の気になるニュースは?」っていう問いに対して、今回のページ内容は使える内容なんじゃないんですかね・・・。


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