This war of mine DAY 8



「俺の名前はボリス。つい最近まで倉庫番をしていた。

あまり過去の事は話したくないんだが・・・・軽く自己紹介も兼ねて話そう。

俺は周りからよく「運のない男」だと言われている。
例をあげたらキリがないんだが、良い歳して仕事は倉庫番なんだからそれだけでもう察しがついちまいそうだよな。俺の人生は戦時前からあまり順風満帆じゃなかった。
戦争が始まってからはもっと酷い有様だ。この間なんか軍が放った迫撃砲が俺のアパートに直撃して木っ端微塵にしやがった。お陰で済む家を失ったし食料も薬も何もかも失ってしまった。せっかく備蓄していたのにこれじゃ何一つ意味がねぇ・・・。

常に天から見放されている俺だがここ最近で唯一『運の良い』出来事に遭遇した。
迫撃砲で家を失った俺は身を隠せる場所を探して当てもなくうろついていた時、比較的原型を留めていた大きな家を見つけたんだ。
勿論そういう所は家主が住んでいるか、家主が逃げていたとしても既に先客がいたりして入れさせてくれないものだ。
ダメ元でたずねたらやはり先客がいたが・・・このご時勢にしては驚くべきことに友好的な奴等だった。
特にパヴレって奴のお人好しには驚いたな。あんなお人よしが今までよく今日まで生きてこれたもんだ。

っと、家なしの俺を助けてくれた奴を悪く言っちゃいけねーよな。
とにかく戦争が終わるまでここに身を置かせてもらうことにした。勿論この戦争を生き残るために出来る事は何でもするつもりだ。

自慢じゃないが力には自信がある。倉庫番をしていた時も他の誰よりも重たい荷物を運ぶことが出来ていた。
だから夜、外にいって資材を集めてくるなら俺に任せてくれれば一杯抱えて持ち帰ってやれるはずだ。
そのかわりといっちゃなんだが俺は鈍足なんだ。だから足の速さが求められる場面があったら俺向きじゃないな。


そんなこんなで未明にスーパーマーケットにいってきて持てるだけ物資を持って帰ってきたところだ。
俺が行く前に既にパヴレって奴がスーパーマーケットにいっていたようだな。話に寄れば反乱兵がうろついていたらしいが成敗したらしい。
その影響もあってか今日は反乱兵がまた現れることなく平和な探索だった。

しかしこの隠れ家に訪れてまだ八日目と聞くが随分と設備が整っている。
特に小動物用の罠が二つも設置されているのはいいな。さっそくネズミが罠に引っかかったようだ。
パヴレがニヤニヤしながらネズミを回収してそれをブルーノに渡し、ブルーノが「俺はネズミ肉を作るために料理を学んでいたわけじゃないんだぞ。」っとぼやきながら調理にかかり、マルコが「いいからお前は寝てろ!寝ろ!」っと叫びながらパヴレをベッドに押し込んでいた。・・・なんかあったのか?この三人に。



※パヴレの容態は少しよくなったとはいえ、相変わらず怪我はまだ癒えてなく病気も患ったままだ。

マルコから聞いたが、パヴレって奴はずっと無理を続けているせいでよく怪我を負い、そのせいで病気も中々治らないでいるらしい。
病気に至ってはこの隠れ家に来る前から患っていたとか。俺は普通の運がない男だが、あいつは意図的に運のない男を演出しているわけじゃねーよな?

しかし、この隠れ家に来て本当によかった。ラジオがあるのはとても助かる。
今この戦争が一体全体どうなっているのか全く分からずにいたからな。
ラジオの周波数を合わせながら俺がニュースを聞いていた。すると気になるニュースが俺たちの耳に飛び込んできた。


※時々戦争が激化し夜通し紛争が繰り広げられるために一部エリアへ出入りが出来なくなるときがある。

ニュースによれば近いうちに本格的な猛攻が行われるらしい。それがどこのエリアなのかまでは発表されていないが・・・悪いニュースだといわざるをえないな。
これも俺の運の無さが引き寄せた結果なのか?
夜の探索は当分の間俺とマルコで担当することになっているが・・・どこを探索すべきか少し考えたほうがいいかもしれん。
これまで一度も言ったことのないエリアがあるとすれば優先的にそこを探索したほうが良いのかもしれんな。
封鎖されたエリアに沢山の物資や資材が残っていて、残された場所が既に重点的に探索した場所しか残っていなかったら絶望的だからだ。

これまで何処を探索したのか。話を聞く限りだと偏っている。次探索に行くときは新しい場所を探索するよう提言した。
そんなことを俺とマルコの間で話をしていた時、来客が訪れてきた。なんだ?俺のような奴がまた来たのか?



以前にもここを訪れたことのある奴らしい。少なくとも隠れ家に入れてくれって訳ではないようだが・・?


※人道的援助を求めて誰かが訪れることもある。彼等の要求に答えても何か見返りがあるわけではない。しかし、彼等を助けたという結果が荒んだ心に生気を蘇らせ、場の雰囲気をよくする。

訪れてきた者は包帯を求めてここにやってきたらしい。
だが残念だが俺たちには包帯そのものを持っていない。すると寝ていたパヴレが起き上がって、自分の体に巻いていた包帯を外して男に渡そうとしたが、そっんな雑菌だらけの包帯が使えるか!とマルコがパヴレの頭を叩き、また秒速でベッドに押し込んだ。こいつら戦前は芸人でもやってたのか?




まだここに来て1日しか経っていないがパヴレの事はよくわかった。・・・いいからお前は寝ろ。

そしてその日の夜。
昨日防衛を担当したマルコとブルーノの疲労が取れていないようだ。パヴレも病人だから起すわけにはいかない。
仕方がないので俺とブルーノで見張りにつき、マルコとパヴレは寝ることになった。

マルコに聞いたが、ここに来てから夜に探索行かなかったのはこの日が初めてとのことだ。


(続く)


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