シーズン12 異次元と探し物


シーズン12目次&ショートカット


第一話 : 第二話 : 第三話 : 第四話 : 第五話 : 第六話 :

第八話 : 第九話 : 第十話  : 第十一話 : 第十二話 : 第十三話

第十四話 : 第十五話 : 第十六話 : 最終話



第一話

特殊ワープ装置機でキュピルの元までワープしたジェスター。
とりあえずキュピルを見つける事に成功し一緒に放浪することになったが・・?


ジェスター
「うぅーん・・。それにしても酷い湿気・・・。ねぇ、何でこんな変な場所にいるの?」
キュピル
「山の天気は非常に変わりやすいから変な場所って言われても困るな・・・」
ジェスター
「もっといい場所選んで放浪しようよ」
キュピル
「それは放浪じゃなくて旅行って言う・・・」
ジェスター
「えー・・。・・・ん?」

ジェスターが何かを感じたらしくあたりをキョロキョロ見回し始めた

ジェスター
「ねぇ、何かこうピリッと来なかった?」
キュピル
「ピリッ?・・・・・。いや、俺には特にわからなかった」
ジェスター
「ふーん・・・鈍感だね」
キュピル
「いや、それはジェスターの勘違いっていう可能性の方が高いんじゃ・・」
ジェスター
「あー。大切なペットを信じないなんて酷い!成敗ーー!!」
キュピル
「よくそれだけで怒れるな!!」

荷物を抱えて全力で逃げ始めるキュピル。
その後ろで地面においてあった石をブンブン投げるジェスター



キュピル
「ぜぇ・・はぁ・・」
ジェスター
「捕まえた!成敗!」
キュピル
「もうだめだ。ギブアップ・・・。荷物重すぎる・・」
ジェスター
「どのくらい重いの?」

投げようとした石をどこかにポイッと投げるジェスター。

キュピル
「背負ってみるか?」
ジェスター
「うん!」
キュピル
「重いぞ」

リュックを下ろしてジェスターに背負わせる。

キュピル
「手離すぞ?」
ジェスター
「大丈夫だよ」

手を離した瞬間ジェスターが後ろに倒れた。

ジェスター
「ぎゃぁぁ!!!」
キュピル
「それ背負って三歩動いたら賞品一万Seed」
ジェスター
「え?本当?」
キュピル
「・・・・・・・なんだ、そのいかにも出来るっていう目は・・・」

ジェスターが踏ん張って前に起き上がろうとする。
が、バタバタもがくだけで一切起き上がることは出来なかった。

ジェスター
「疲れたー!でも頑張ったから1000Seed頂戴。残念賞ってことで!!」
キュピル
「・・・・・・・」
ジェスター
「あ、踏み倒そうとしてる。千円!千円!!」
キュピル
「うるせぇー!」
ジェスター
「あー。また私を怒らせた。成敗ーー!!」
キュピル
「だから、どうしてそうすぐ怒れる!!」

ジェスターが荷物を捨ててまた石を投げ始めた。
すぐにバックして荷物を回収し再び逃げるキュピル。
これが延々と繰り返された・・・。


==夜

キュピル
「テント張ったぞー。いくら俺等二人が野宿に関するスキルが高くても
山は例外だ。それにジメジメしてて嫌だよな」
ジェスター
「うん。ふあぁ〜・・」

散々暴れたせいかもう眠いらしい。

ジェスター
「おなか減った。ご飯」
キュピル
「ほい、乾パン」
ジェスター
「・・・。もっと豪華なもの〜。機械のネジほしいー」
キュピル
「ここは自宅じゃない上にジェスターが来るとは思ってなかったらお主の餌・・じゃなくて
ご飯持ってきてない」
ジェスター
「餌言った!私ペットじゃない!」
キュピル
「さっき散々ペットペット言ってただろう!」

ジェスター
「うるさ〜〜い!!」

そういって乾パンを一気に食べつくした・・・。

キュピル
「ぬあぁぁっ!!貴重な乾パンを全部食いやがった!!」
ジェスター
「お粗末さまでした〜」
キュピル
「これは酷い・・・(AA略
自分からお粗末さまとか最低だ・・・」
ジェスター
「ん〜?私もう寝るね。お布団は?」
キュピル
「布団なんてないぞ。寝袋と毛布ならある」
ジェスター
「何?その寝袋って言う物」
キュピル
「名前の通り。こんな袋状になってて中に入るスペースがあるんだけど
かなり暖かくて畳むと凄い小さくなるから放浪や登山する際必須アイテムなんだ。
一個しかないがな」



 ↑寝袋。知らない人のために


ジェスター
「どれどれー」


ジェスターが寝袋を手に取り中に入る。

ジェスター
「・・・おぉー・・」
キュピル
「結構寝心地いいだろ?羽毛がたっぷり詰まってるから
背中とかを痛めることもなくゴツゴツした場所にテントを張っても安眠出来る代物だ。」
ジェスター
「・・・・・・・」
キュピル
「・・・・・・。」
ジェスター
「・・・・・・・・・」
キュピル
「・・・・・・で、それ誰が使う?」
ジェスター
「・・・・・・・・」
キュピル
「・・・・・・・もしもし?」
ジェスター
「・・・・・zzz・・・zzz・・・・」
キュピル
「・・・・・・・・・」




==一方、自宅では・・・


ファン
「・・・ジェスターさんもキュピルさんも帰ってきません・・・」
ルイ
「まさか設計ミスとかありませんよね?」
ファン
「それは絶対ないはずです・・。」

ファンが設計図を再び開く

ファン
「とにかく、仮にキュピルさんの元まで行けて何らかの事情で
その場に残ってるとするのであればせめて報告ぐらい欲しいです・・。
あの手を使いましょう」
ルイ
「あの手・・?」
ファン
「逆に最後に使った人をここまで呼び戻す機能です」
ルイ
「本当に何でもありですね。」

ファン
「・・結構苦労してるんです」
ルイ
「その頭の良さには頭が下がります。さっそくその機能使いますよ。」

ルイが操作する。

ルイ
「これでよし・・。実行します」





==テント


ジェスター
「zzz・・・zzz・・・。・・・ん・・。・・痛い!!」
キュピル
「む、どうした。蜂にでも刺されたか?」
ジェスター
「痛い!!痛い痛い痛い!!助けて!」

ジェスターが途端寝袋の中に入ったままゴロゴロ悶え苦しみはじめた。
流石に突然の出来事でキュピルも焦る。

キュピル
「どこが痛いんだ?腹痛か?神経痛か?」
ジェスター
「眩しい!!」
キュピル
「わかんねぇぇぇ。
と、とにかく。ジェスター!痛み止めの薬はあるぞ」





==自宅

ファン
「・・・・戻って来ない・・!?」
ルイ
「本来ならどのくらいの時間で来るのですか?」
ファン
「押して遅くても二秒か三秒・・・」
ルイ
「一瞬なんですか・・・。」
ファン
「もしかすると・・・。空間と空間を切り貼りに失敗してるのかもしれません・・」
ルイ
「空間の切り貼り・・?」
ファン
「瞬間移動の論理として対象のいる空間を切り取り召還したい位置まで
魔法で持っていくっということなのですが・・。それが失敗してるとしか思えません。
中止してください」
ルイ
「わかりまs・・・うわっ!!」

突然ワープ装置機も眩しく光り始めた。

ファン
「ば、爆発する!?」
ルイ
「ひ、ひぃぃぃ!!」


==テント

ジェスター
「キュピル!!助けて!!!」
キュピル
「ど、どうすればいいんだ・・・!!」

人道的な物や事故ならまだ分かるのだが病気や毒。魔法などに関する物は
非常に疎いキュピルにとって既に半パニック状態に陥ってる。

が、次の瞬間突然ジェスターから眩しい光が発光し思わず叫んでしまった。
その光は瞬く間に広がりテントの外にまで広がった。



==自宅

・・・。

・・・・・・・・。

ルイ
「と・・止まった・・?」
ファン
「生きてますよね?僕たち」
ルイ
「怖いこと言わないでくださいよ。幽霊は好きですけど幽霊になるのはまだちょっと・・」
ファン
「自分が幽霊になるのは嫌なんですね・・。」
ルイ
「爆発はしてないみたいですけど・・・。どうなったんでしょうか?」
ファン
「空間の切り貼りに失敗してなお切り貼りを試みようとした挙句、空間と空間の間で
マナの暴走が起き誤動作が起きたとしか・・・」
ルイ
「私にはよく分かりませんが・・。結論的にどうなったんです?」
ファン
「思いもよらない場所にワープした可能性があります。例えば・・異次元ですね」







==テント

キュピル
「ぐっ・・・」

眩しい光から開放され直にジェスターの様子を見る

ジェスター
「・・・・あれ・・?痛くなくなった・・・」
キュピル
「本当か!?・・・はあぁ・・・」
ジェスター
「何でそんなに慌ててるの?」
キュピル
「アホか!普通にびっくりしたぞ!!」
ジェスター
「あー!アホ言った!!怒った!!!」
キュピル
「いいからもう寝てくれ!」
ジェスター
「ぎゃ!」

キュピルが毛布をジェスターに投げつける

ジェスター
「やったなー!えい!!」
キュピル
「ぐふっ!」

枕が飛んできた。
しかし次の瞬間ある違和感を見つけた。

キュピル
「ん・・・・。変だな・・・」
ジェスター
「え?何が?」
キュピル
「テントの外が・・明るいぞ?」
ジェスター
「んー?」

ジェスターがテントの外に出る

ジェスター
「朝だ〜!おはようー!」
キュピル
「・・・・・・」

ジェスターは一度寝てたから本当に朝を迎えてると思ってるようだが
キュピルは一睡もしてないためこの違和感には気づいている。

キュピル
「んな馬鹿な・・。時計はしっかり午後11時に・・」
ジェスター
「電池ないんじゃない?」
キュピル
「秒針動いてるぞ」
ジェスター
「故障ー」
キュピル
「それはない」
ジェスター
「ある!!」
キュピル
「ってか、外の光景見て更に違和感覚えるだろ!山に俺達はいたんだぞ?
何で洞窟の中にいるんだよ!」
ジェスター
「あ、本当だ・・・」

ジェスターがきょろきょろ辺りを見回す。

ジェスター
「・・・何かいる!!」
キュピル
「む」

ジェスターが指差した方向から突然変な生き物が飛んできた
その変な生き物がキュピルの肩に止まると突然歯を突き刺し血を吸い始めた!

キュピル
「うわ、何する!」

拳を振り回してどかすが離れようとしない。

ジェスター
「体当たり!!」
キュピル
「ぐえぇっ!」

キュピルごとタックルで打ち倒す。変な生き物は逃げていった・・・。

キュピル
「あいたたた・・・。なんだ今の生き物は・・・」
ジェスター
「こうもりみたいだったね」
キュピル
「とんでもない場所に来た可能性が否めないな・・・・。」


二人とも急いで荷物を纏め武器を構えた。


続く



第二話


謎の洞窟の入り口にやってきたキュピルとジェスター。


キュピル
「荷物まとめた?」
ジェスター
「うん」
キュピル
「とりあえずこの洞窟からは一旦出よう。」

二人とも洞窟から離れた。
洞窟から離れると一つの建物が見つかった。

キュピル
「何だ?あの建物は」
ジェスター
「ボールの絵が描いてある。サーカス?」
キュピル
「中に入ってみるか」


中に入ると人が三人ぐらい居てそれぞれ皆謎の生物と戯れていた。
奥にはカウンターと何か大きな機械があった。

キュピルがカウンターにいた女性に話しかける。

キュピル
「すいません、ここは何処ですか?」
女性
「ここはイワヤマトンネル前のポケモンセンターですよ」
キュピル
「い、イワヤマトンネル前・・?知らないな・・・。アノマラド大陸か?」
女性
「はぁ・・?アノマラド大陸・・。少なくともここはカントー地方って呼ばれる場所ですので
アノマラド大陸ではないと思いますよ。それに聞いたことない名前ですから・・」
キュピル
「むむむ・・・。こりゃひょっとすると異次元か・・?」
ジェスター
「異次元!やった!」

ジェスターがぴょんぴょん跳ねる。

女性
「珍しいポケモンをお連れしてるのね。初めてみたわ」
キュピル
「ポケモン・・?なんだそれ。とにかく失礼するよ」
女性
「またお越しください」

キュピルがカウンターから離れると一人の少年が話しかけてきた。

少年
「君のポケモン。かなり珍しいね。そのポケモン、なんて言うんだ?」
キュピル
「ポケモン・・?すまない、そのポケモンってのは一体何なんだ?」
少年
「ポケモンを知らないでここまで来てるなんて珍しいなぁ。
ポケモンってのは俺等トレーナーが皆連れてる生き物の事だよ。」
キュピル
「ようはペットみたいなものなのか?」
少年
「まぁ、大体あってはいるんだけどね。それで何て言うんだ?」
ジェスター
「ん?私?私の名前はジェスターだよ!」
少年
「しゃ、喋った!ポケモンが喋った!」
ジェスター
「ポケモンじゃない!ジェスターだよ!わああああ」
キュピル
「ぬぅ、落ち着け。ジェスター」

肩をしっかり挟んでなだめるキュピル。

少年
「えーっと、俺の名前はレッド。よろしく頼むよ」
キュピル
「キュピルだ。よろしく」
少年
「せっかくだからポケモンを紹介するよ。出て来い!リザードン!」

そう言うとレッドという少年は腰からボールみたいなのを取り出し
中から巨大なドラゴンみたいなのが出てきた

キュピル
「ひ、ひえぇぇ!!」
ジェスター
「ぎゃああぁぁ!!」

二人ともびっくりして怖気ついてしまった。

キュピル
「び、びっくりしたぜ・・。そんな小さなボールに巨大な生き物が入ってるなんてな・・」
レッド
「このポケモンの名前はリザードンって言うんだ。なかなかカッコイイだろ?」

リザードンという名前の生き物はレッドにじゃれており、かなり懐いてる。

レッド
「それにしても本当にポケモンの事知らないんだ。一体何を知って生きてきたんだ?」
キュピル
「俺は・・別次元から来た人間だよ」
レッド
「別次元?」
キュピル
「そう。ポケモンとか言う生き物が存在しない世界さ。このジェスターっていう子も
俺と同じ世界からやってきた仲間。まぁ、ここでいうポケモンなのかもしれないけど」
ジェスター
「じぃー・・・」

さっきからジェスターがリザードンを見ている。
リザードンもジェスターを凝視している。

ジェスター
「・・・・えい!」
リザードン
「!」

ジェスターが走って後ろに飛び乗った。
突然の行動でリザードンも驚いてるようだ。

ジェスター
「龍騎士、ジェスター様のお通り〜!」
リザードン
「ぐおぉー!」

何故かリザードンがポーズをとった。

レッド
「す、すごいな。君のジェスターっていうポケモン。あっという間にリザードンを手懐けちゃったよ」
キュピル
「これは俺も驚いた。何か共通する点でもあったのだろうか・・」

ジェスター
「よーし、外に出るー!いけ〜、リザードンー」
リザードン
「ゴォォ!」

リザードンが少し浮きながらポケモンセンターから出て行った。

レッド
「あ、待て!リザードン!」
キュピル
「どこへ行く!ジェスター!」
ジェスター
「あの洞窟にもう一度突撃する!リベンジ!!」
レッド
「あの洞窟はイワヤマトンネルって言ってかなり暗くて険しい場所だよ!」
ジェスター
「私がいるから大丈夫!」

そういってイワヤマトンネルに入っていった

レッド
「君のポケモンとんでもないね!」
キュピル
「君のリザードンもジェスターの言う事何で聞いてるんだか!」

二人でど付き合いながらイワヤマトンネルに入っていった。


==イワヤマトンネル

ジェスター
「ぎゃぁっー!」

入った瞬間ジェスターが蝙蝠に襲われていた。さっきの奴だ!

キュピル
「でたな!さっきの化け物!切り倒してやる!」

キュピルが剣を抜刀する。

レッド
「君が戦ってはダメだよ!ポケモンに戦わせるのがこの世界のルール!」
キュピル
「な、なんだって?」
ジェスター
「助けてー!キュピルー!血吸われちゃう!!」

リザードンも暴れてるがジェスターが上にしがみ付いてるので手が届かない。

キュピル
「ええい、これでもくらえ!」

キュピルが走って蝙蝠をグーで殴り飛ばした
殴られた瞬間そのままどこかに飛んでいってしまった。

レッド
「・・・ポケモンを素手で殴り飛ばす人始めて見たよ。普通人間じゃ勝てない生き物だよ」
キュピル
「へへ、俺の世界じゃこんなの誰でもやってるぜ」
レッド
「さっきの蝙蝠はズバットって言うんだ。吸血ポケモン」
ジェスター
「やっぱり吸血するんだ!リザードン!ズバットを見つけたら攻撃!」

リザードンが頷いた。


==歩き出して10分後


キュピル
「それにしてもかなり暗いな。リザードンとやらの近くしか見えない・・」
ジェスター
「ん・・・?ぎゃぁぁ!また吸血蝙蝠!お返し!!
リザードン!あの蝙蝠を追いかけて!」
リザードン
「グォオオ」

リザードンがジェスターを乗せたまま遠くに走っていった。

レッド
「り、リザードン!勝手に突き進むな!」

レッドの命令もむなしくリザードンがジェスターを乗せたまま何処かに飛んでいってしまった。
明かりとなるものが全て消え辺りが真っ暗になった・・・。

レッド
「大変だ・・・。リザードンが何処かに行ってしまった・・!
明かりとなるものが・・」
キュピル
「まぁ落ち着け。ランタンがここにある」

キュピルがランタンに火をつける。何とか周りが見える。

レッド
「助かったよ、それにしても参った・・」
キュピル
「リザードンがいなくなったことが?」
レッド
「それもそうなんだが・・。実は俺の手持ち。リザードンしかいないんだ・・」
キュピル
「何?ポケモンは何匹も持てるのか?」
レッド
「最大で六匹までだけどな」
キュピル
「何で六匹。俺だったら10匹ぐらい持つけどなぁ・・」
レッド
「君の持ってるジェスターっていうポケモンが10匹いたら面倒見れる?」
キュピル
「・・・二匹に増えても無理だな」
レッド
「そういうことさ。・・・とにかく急いでリザードンを見つけないと・・。
このままでは野生のポケモンに襲われて痛い目にあう・・」
キュピル
「弱いなぁ。拳で倒してやるよ」

その瞬間近くの岩が動いた!

キュピル
「うお、岩が動いた!!」
レッド
「あれはイワークっていうポケモンだ!」

イワークがこちらを見つけた途端岩を投げつけてきた!

レッド
「うわ!岩落としだ!!」
キュピル
「ちくしょう、そっちがその気なら・・・!!」

キュピルが剣を抜刀し思いっきり斬りつけた!!


ガンッ!!!


イワーク
「グォッグォッグォ」
キュピル
「・・・・・・笑ってんのか?」

レッド
「イワークは非常に硬い!格闘を仕掛けるんだ!」
キュピル
「ええい打撃系に弱いってことだな!?こんでも喰らえ!!」

キュピルがイワークに向けて思いっきり殴り飛ばした!!
その瞬間イワークが悲痛な叫び声を上げ何処かに逃げていった・・・

キュピル
「拳が・・痛い・・・。ってか、普通拳より刀の攻撃のほうがダメージでかいだろ・・!」
レッド
「あの刀とかいう攻撃はきっとノーマルタイプなんだろうね」
キュピル
「俺にはよくわからん!!見つけたら斬る!殴る!終わりだ」

レッド
「・・・・・・野蛮人だなぁ」
キュピル
「野蛮人で結構だ。それより早く二人を探したほうがいいよな」
レッド
「そうだね」

ランタンで辺りを照らしながら進んでいく。
しかしランタンで照らせる範囲は狭く三メートル程度しか見渡せない。

キュピル
「むぅ、ジェスターは何処に行ったんだ・・」
レッド
「前々から気になってたんだがジェスターはポケモンなのか?」
キュピル
「少なくとも君たちが言うポケモンではないよ。」
レッド
「では一体何だい?あの生き物は」
キュピル
「普通に俺等人間と同じようなものだ」
レッド
「では人間なのか?」
キュピル
「性格には違うが似てるところは多い」
レッド
「へぇー・・・。」
キュピル
「逆にこっちも聞きたいこともあるんだがポケモンって一体何なんだ?
さっきはペットみたいなもので済ませてしまったが詳しく知りたい」
レッド
「ポケモンってのは・・・難しいなぁ。少なくともポケモンは遥か大昔から存在していたみたいだよ。」
キュピル
「さっきのイワークとか言う奴もポケモンなんだろ?何故襲ってきたんだ?
悪いポケモンと良いポケモンってのがいるのか?」
レッド
「別にイワークは悪いわけじゃないしあれが普通だよ。。それに元々俺達トレーナーが持ってるポケモンは
殆どモンスターボールと呼ばれる道具で捕まえて一緒に旅してる人が多い。
このボールで捕まえるとポケモンは大人しくなり自分のトレーナーには命令を聞くようになるわけさ。
さっきのイワークも上手いこと戦ってモンスターボールで捕まえたら君の命令を聞くようになるよ。」
キュピル
「まるで調教みたいだな。ポケモンを道具として使ってる奴等が出てきそうだ。」
レッド
「残念だけど君の言う通りポケモンを道具として扱う奴等はいるよ。
有名なのはロケット団と呼ばれる奴等だね。連中はポケモンを使って世界征服を企んでる」
キュピル
「世界征服か。なんかアニメみたいな話だなぁ」

過去に何度か悪者と戦ってきたがどいつも世界征服だとかいう大きな野望は持っていなかった。

レッド
「でも悪い奴等ばっかりじゃない。さっき言ったポケモン大好きクラブみたいに
本当にポケモンが好きで全力で可愛がってあげたり中には家族同然だって言う人もいるよ」
キュピル
「家族?」
レッド
「そう。最初こそトレーナーもポケモンもお互い事をよく知らないけど一緒に冒険したり何かをやって
お互い分かりあい何年も一緒にいたらそりゃ誰だって家族と言っちゃうさ」

その一言に思い当たる物が出てきた。
・・・・ジェスター、ルイ、ファン・・。
ルイこそはまだ一年程度しか経ってないが全員血こそ繋がってないが分かり合ってる家族だと思っていた。
全力・・とまではいかなくても。働いてお金を稼ぎその金で皆で食べたり遊んだり・・。

それなのに気がついたら自分は金を稼ぐ道具だと思われていたり実験相手にさせられたり・・。

キュピル
「何年も一緒に居れば家族当然・・か・・」
レッド
「・・・なんか暗い顔してるね。何か嫌な記憶でもあった?」
キュピル
「ちょっとな・・。」

っとその時、突然足元が抜けた。

キュピル
「うわっ!」
レッド
「お、梯子だ・・・って踏み外した!?」

足元をよく見てなかった。
そのまま下に落ち盛大に尻餅をついた。

キュピル
「いってえええぇぇぇ・・・!!」

レッドが慌てて降りてきた。

レッド
「大丈夫か!?」
キュピル
「一応な・・・。って、今・・。座ってる岩が動いたような・・。イワークか!?」

慌てて横に逃げる。すると岩に腕が生えたような生き物がふわふわを浮かび
拳でガンガン頭を叩いてきた!!

キュピル
「いで!いで!うわ、何だこの正体不明生物は!!石が浮かんでる!うわ、いてぇ!!」

ガンガン頭を殴られどつかれまくってるキュピル

レッド
「そいつはイシツブテだ!」
キュピル
「これでも喰らえや!」

キュピルがイシツブテの腕を掴むと思いっきりサッカーボールみたいに蹴飛ばした。
蹴飛ばした瞬間危機を感じたのかそのままどこかに逃げていった・・・。

レッド
「君にポケモンは必要なさそうだね」
キュピル
「俺の元いた世界は自分の身は自分でなんとかしないと生きていけない世界だからな」
レッド
「過酷だな・・。戦争でもやってる世界なのか・・?」
キュピル
「そこまで劣悪じゃない」
レッド
「君の話を聞かせてよ。少し興味がわいた」
キュピル
「そうか?大して面白い話はないが・・」
レッド
「それでも聞きたいんだ。」
キュピル
「そうだなぁ・・。気が向いたら話すよ」
レッド
「楽しみにしてる」

っと、その時奥に明かりが見えた。めらめらと燃え上がる炎・・。これは・・!

レッド
「リザードン!!」
キュピル
「ジェスター!!」

二人が地面に突っ伏して倒れていた。
近くには黒ずくめの男が二人立っていた。

黒ずくめの男1
「ちっ、こいつ等野生じゃなかったのかよ!」
黒ずくめの男2
「構わねぇ、モンスターボールで捕まえちまえ!」

モンスターボール・・!!確か捕まえて手なずける事が出来るアイテム・・。
今にも投げようとしている!

レッド
「やめろ!人のポケモンを盗るのは泥棒だぞ!」
黒ずくめの男
「俺等ロケット団はそれが許されるんだよ!」
キュピル
「ぬああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」

キュピルが罵声を浴びせながらロケット団と呼ばれてる男二人をタックルで押し倒した。

ロケット団1
「うぐわっ!」
ロケット団2
「うおぉっ!」
キュピル
「んな最低な道具でジェスターを渡してたまるかよ!」
ロケット団1
「あっちいけ!」

突然巨大な蝙蝠がキュピルの目の前に立ちふさがり威嚇した!
あまりに突然の事で思わず後ろに下がってしまった。

レッド
「リザードン、今傷薬を塗るからな!」

リザードンが小さく吠えた。
ジェスターは完全に気を失っている。

ロケット団1
「ゴルバット!あの邪魔なトレーナー二人をなぎ払え!」
キュピル
「おぉっと、俺をただのトレーナーと思っちゃいけねぇっ!この武器をみやがれ!!」

キュピルが剣を抜刀した

ロケット団1
「いぃっ!?刃物だと!?」
ロケット団2
「卑怯だぞ!!」
キュピル
「どっちが卑怯だ!」
ロケット団2
「俺等ロケット団は許されるんだよ!ゴルバット!あのトレーナーを倒せ!」
ロケット団1
「行け、ベトベトン!ゴルバットに続け!」

巨大な蝙蝠と悪臭を放つヘドロの物体がこちらに迫ってくる!
あまりのおぞましい光景にひるんでしまった。

レッド
「リザードン!火炎放射だ!!」

後ろからものすごい火炎放射が飛んできた。
あまりの熱さに反射神経でその場から離れた。

ロケット団1
「ぬあぁっ!俺のベトベトンが!」

今の火炎放射でベトベトンと呼ばれる生き物は参ったらしい。
ゴルバットも唖然としてる。

キュピル
「空手チョップ!!」

唖然としているゴルバットに空手チョップをお見舞いした。
すぐに地面に倒れた。

ロケット団1
「ちっくしょう・・・。覚えてやがれ!」

よくある捨て台詞を吐いて逃げて言った。



キュピル
「助かった。レッド」
レッド
「リザードンに礼を言ってあげてよ。」

リザードンがいかにも「えっへん」とでも言いそうなポーズを取っている。
・・・・もしかして喋れたらジェスターみたいな性格か?

その時突然網が振ってきた!!

キュピル
「うわ、何何だよこの網!?」

暗闇から叫び声が聞こえた。

???
「何だかんだと聞かれたら!」
???
「答えてあげるのが世の情け!」
???
「世界の破壊を防ぐため!」
???
「世界の平和を守るため!」
???
「愛と真実を貫く」
???
「ラブリーチャーミーな敵役!」
???
「ムサシ」
???
「コジロウ」
ムサシ
「銀河を駆けるロケット団の二人には」
コジロウ
「ホワイトホール、白い明日が待ってるぜ!」
ニャース
「ニャースでにゃーす!!」

謎の男女二人とポケモンだと思われる生き物が目の前に立ちはだかった

レッド
「ま、またロケット団だって!?」
キュピル
「くそ、この網なんかめちゃくちゃ重いぞ!?」

薔薇を持ってる男が笑った

コジロウ
「わーっはっはっは!!そいつは俺等が作った特性の網だ。
炎だろうが何だろうが焼けないぜ!」
ムサシ
「そういうわけで。あんた達のポケモン全部貰っていくよ」

ロケット団の連中が何かスプレーを取り出した。
催涙スプレーか・・!?

キュピル
「ちっくしょ、これ斬れないのか!?」

キュピルが刀を取り出し網を斬ろうとした。
が、普通に網が斬れた。

キュピル
「お、斬れた」
ムサシ
「いぃっ!?ちょっと!コジロウ!!これどういうことなのよ!!」
コジロウ
「わりぃ・・・!まさか刃物使う奴がいるとは思ってなかった!」
ニャース
「いつも爪が甘いにゃ!!」
ムサシ
「こうなったらポケモン勝負!!」
コジロウ
「おうよ!いけ!ウツボット!」

モンスターボールから捕食が得意そうな植物らしき生き物が出てきた。
が、出た瞬間いきなり自分のトレーナーを飲み込もうとした

コジロウ
「だーから、俺じゃねぇーつの!!」

レッド
「なんだありゃ・・?」
キュピル
「よく分からないが今のうちにジェスターの手当てでもしておこう・・」

コジロウ
「ウツボット!俺じゃない!あいつ!あいつ等!!」
ムサシ
「いけ、アーボック!」

ムサシが投げたモンスターボールからは巨大な蛇が現れた。

レッド
「リザードン!先手必勝だ、火炎放射!」

リザードンが火炎放射をする。見事にアーボックにクリーンヒットする

ムサシ
「なんつー威力!ニャース、お前も戦うんだよ!」
ニャース
「にゃ?にゃ?何でニャースまで!!」
ムサシ
「あんたもポケモンでしょ!」
レッド
「おぉ、喋るポケモンがここにも・・ってジェスターはポケモンじゃなかったね」
ジェスター
「う〜ん・・・。・・・あ!そうだ、私さっき変な生き物にやられて・・・」
キュピル
「おきたか?ジェスター」
ジェスター
「うん!・・・あー思い出したらいらいらしてきた!!わあああああああ」

ジェスターが鉄の棍棒を取り出してニャースを殴り飛ばした

ニャース
「ニ゙ャァアアアアズ!!」

そのまま吹っ飛んでムサシとコジロウを巻き込みつつ飛んでいった
よく聞くと何か言ってる・・・・


「や〜なか〜んじーーーー!!!!」
「ウツボット、離れてくれええぇ!」


キュピル
「おぉ・・飛んだなぁ・・・・。水平に吹っ飛ばすとはやるな・・・。ジェスター・・」
ジェスター
「えっへん!」
レッド
「とんでもないアクシデントが起きたけど何とかなったね」
キュピル
「うむ」
ジェスター
「・・・痛い・・!!」
キュピル
「・・・ん、どうした?」
ジェスター
「また・・体が・・痛い!!!」

ジェスターがその場に倒れてもだえ苦しみ始めた。

キュピル
「どうした!またか!」
レッド
「もしかして・・・毒か!?くそ・・毒消しもってないぞ・・!
キュピル、そこで待っててくれ。急いで戻って毒消しを買ってくる!!」

レッドとリザードンがその場から離れた。

ジェスター
「ううう!!」
キュピル
「ジェスターから・・また謎の光が発光してる・・・!うわ!!」

ジェスターから強烈な光を浴びさせられる。
体が宙に浮いてる感じがする。

キュピル
「まさか・・・また異次元へのワープか・・!?
やめてくれ・・!俺はまだレッドにあと一つ聞きたいことがあったんだ・・!!!」






レッド
「そう。最初こそトレーナーもポケモンもお互い事をよく知らないけど一緒に冒険したり何かをやって
お互い分かりあい何年も一緒にいたらそりゃ誰だって家族と言っちゃうさ」



キュピル
「お前が言うその家族ってのはどういう意味だったんだよ・・・!!!」



強烈な光が止まった・・・。
目を開けると、もう洞窟にはいなかった。



続く

追伸

あまりにも色々懐かしすぎて涙出そうになった。

元ネタ:ポケットモンスター、赤・青・緑・黄版



第三話


=キュピルの家

ファン
「・・・ダメですね、もう一個の魂のカケラを使って再変更してみましたが
戻ってきません」
ルイ
「困りましたね・・・。これでは私たちが行くにも戻る保障がないので・・・」
ファン
「そうなりますが・・。少し改良を加えてみます。空間による転移ではなく
分子レベルへ一時的に(略」
ルイ
「わ、私には分からないのでお任せします!」
ファン
「調整しておきます。それまでは下手に操作して呼び戻さないほうがいいでしょう」」








一日目の朝

   〜〜残り72時間〜〜



キュピル
「ジェスター。大丈夫か?」

まずはジェスターの意識を確認する

ジェスター
「・・・ぅ・・ぅぅん・・」

ジェスターが寝返りを打った。

ジェスター
「私もう痛いの嫌だ・・・」
キュピル
「・・・くそ・・。もしかしたら何か魔法にでもかかってるのか・・?」

異次元装置が原因となっているのは当然二人とも知るはずがない。

ジェスター
「ねぇ・・。キュピル。ここはどこ・・?洞窟じゃないみたいだけど・・」
キュピル
「またどこか異次元に飛んだみたいだ。夜明けみたいだな」
ジェスター
「えー。私寝たい・・・」
キュピル
「眠いのは良く分かるが上を見たほうがいい」
ジェスター
「・・え?」

ジェスターが上を向く。眩しいと思ったけど頑張ってみる。

ジェスター
「いっ・・・」

ジェスターが叫びそうになった。月に恐ろしい顔が浮かび上がっている・・。

ジェスター
「な、何あの気持ち悪い月!!」
キュピル
「ただの月じゃなさそうだ。・・・ずっとこっちを監視されているようで嫌だな・・・」
ジェスター
「キュピルー!あの月を何とかして!」
キュピル
「無理だろ!」

その時走ったりでんぐり返しを繰り返したりして進んでいく緑色の少年がキュピルの横を横切った。

キュピル
「うわ、何だあの子供。走るより転がってるほうがはえぇ。」
ジェスター
「私だって転がれば・・・」

ジェスターがごろんと転がる。

ジェスター
「ほら!」
キュピル
「横向きで転がってどうする。」

とりあえず立ち上がる

キュピル
「この世界はなんだか不気味だ。ちょっと行動しよう」
ジェスター
「でも、何処に行く?」
キュピル
「そうだな、俺の直感で向こうに・・」
ジェスター
「ダメ、直感なら私が決める!きっと楽しいものあるよ?」
キュピル
「楽しいものか。そうだな、楽しいものがあるならそっちいくか」
ジェスター
「よーし、向こう!」

ジェスターが指差した方向に歩いていく。
最初のほうこそは深い森に入っていったがすぐに普通の坑道になった。
が、前方に巨大な多岩が道をふさいでいた。

キュピル
「うっわー・・。なんだよ、この巨大な岩」
作業人
「悪いナ、あともう少しでここの岩を打ち砕いて開通するから
もうちょっとマッテクレ。ナ?」
ジェスター
「うっー!私を待たすなんで不届き物の岩!!」
キュピル
「何処で覚えたんだよ、その言葉・・・」
ジェスター
「えいっ!!!!」

ジェスターが鉄の棍棒を取り出しスイッチを入れてフルパワーで殴った



バゴン!!!


作業人
「・・・・開通できればオラはそれでいいよ」
ジェスター
「えっへん、仕事奪った」
キュピル
「・・・・通れれば俺はそれでいいよ」

看板の先にはロマニー牧場と書かれていた。


==ロマニー牧場


ジェスター
「あ、牛だ」
キュピル
「へぇ・・ってことは、ここは牧場かー」
ジェスター
「牛はでも臭いし汚いから嫌ー」
キュピル
「・・・・んじゃ、牛乳とかアイスでも食うか」
ジェスター
「食べる!」

小屋に近づく
するとジェスターと同じぐらいの身長の女の子が弓を持って走り回っていた。
少女がこっちに気がつくと挨拶してきた。

少女
「あ、こんにちは!!」
ジェスター
「こんにちはー!」
少女
「私、ロマニーって言うの。貴方のお名前は?」
ジェスター
「私の名前はジェスターだよ」
ロマニー
「ふーん。ジェスターって言うんだ。
でも私の考えた名前の方が似合うと思うよ!」
ジェスター
「考えた名前って?」
ロマニー
「白いバッタさん!バッタみたいにぴょんぴょん跳ね回りそうじゃん!」
キュピル
「(白いバッタは存在しないだろ・・。しかしジェスターみたいな子だなぁ。)
ジェスター。俺はちょっと牛乳とアイス買ってくるよ」
ジェスター
「うん、わかった」

キュピルが小屋に入っていった。


ジェスター
「白いバッタ・・?そっちのほうが変じゃんー。」
ロマニー
「えー、こっちのほうが似合いそうなんだけどなー。だって、貴方飛んでるじゃない!」
ジェスター
「そうだけどー・・」

小さくふわふわ飛びながら考え込むジェスター。

ロマニー
「ねーねー、流鏑馬(ヤブサメ)やらない?」
ジェスター
「ヤブサメ?何それ」
ロマニー
「馬に乗って的を弓で射るの!でも馬は気がついたら居なくなっちゃってたから・・。
変わりに牛にのるといいよ!」
ジェスター
「牛・・。んー、やってみようかなー?」
ロマニー
「はーい、弓だよ」
ジェスター
「どうやって使うの?」
ロマニー
「んとね、これをこうでこうやるの!」

ロマニーが矢を一本放つ

ジェスター
「わかんなーい」
ロマニー
「えー。」



==小屋


キュピル
「どうも、こんにちは」
クリミア
「あら、こんにちは。貴方がここに来たってことは・・。
とうとうあの道が開通したのね!?」
キュピル
「ん、あの巨大な岩のことですか。はい、壊してきました」
クリミア
「まぁ、貴方が壊したの!?」
キュピル
「いえ、連れのジェスターっていう仲間が・・」
クリミア
「凄い力持ちなのね。」
キュピル
「というよりは道具に頼ったって感じですから・・。
えーっと、とりあえず牛乳とアイスって売ってます?ジェスターが食べたいと言ってたので(口実」
クリミア
「牛乳はあるけどアイスはないねぇ・・。その代わりシャトーロマニーっていう最高級に牛乳が
うちにはあるわよ!」
キュピル
「シャトーロマニー・・?」
クリミア
「うちの牧場だけで出してる不思議な牛乳でね、飲むと魔力が沸いてくるって言うわよ」
キュピル
「そ、そいつはびっくりだ・・・。それがあれば俺も魔法が・・」
クリミア
「出来るかもしれないわね」
キュピル
「そのシャトーロマニー、一本と牛乳を」
クリミア
「でも、ごめんなさいね。実は牛乳もシャトーロマニーもクロックタウンで出してるミルクバーっていう
場所でしか売ってないの」
キュピル
「ミルクバー・・?」
クリミア
「そう、クロックタウンは行った事あるかしら?」
キュピル
「ないです」
クリミア
「そう、道今教えてあげるね、えーっと・・」

クリミアが地図を取り出そうとしたとき地響きが聞こえた。

キュピル
「何だ?」

二人とも外に出た


ジェスター
「わっー!止まらないー!」

ジェスターが牛に乗ってる。その牛が暴走しているが
何故か一匹だけではなく3匹の牛が暴れまわっている

クリミア
「まぁ!」
キュピル
「うわ、ジェスター!何やってるんだ!?」
ジェスター
「わかんない!!」
ロマニー
「私が弓のお手本で矢を放ったら牛に当たっちゃったの!」
クリミア
「またやったの!?」
キュピル
「とにかく、まずはジェスターをどうにかしないと」

キュピルがジェスターが乗ってる牛に突っ込む。
が、すぐに隣から別の牛が走ってきてキュピルごと吹っ飛ばしていった。

キュピル
「・・・・・・・・・・・」
ロマニー
「牛さん、落ち着いて〜!」

ロマニーが何か歌を歌い始めた。
歌い始めてしばらく経つと段々牛が大人しくなり最後には普通にまた草を食べ始めた。


ジェスター
「あー、怖かった〜」
キュピル
「・・・・・・(気絶」
ジェスター
「あ、キュピルが気絶してる!」




一日目の夜

〜〜残り60時間〜〜


==更に6時間後(夜12時

ジェスター
「zzz・・・zzz・・・」
キュピル
「・・・・・はっ・・」

気絶から目を覚ます。

キュピル
「・・・夜の12時・・・」

ソファーで寝ていたが記憶ではジェスターを助けようと・・。
多分返り討ちにあったのだろう。情けない。

キュピル
「ジェスターはもう眠ったか」

その時ドアの閉まる音が聞こえた。

キュピル
「ん?」
ロマニー
「あ、黒髪さん!」
キュピル
「・・・・それ、俺のあだ名のことか?」
ロマニー
「そう!黒い髪してる人は珍しいからね!
・・・って、いけない。急いで牛小屋にいかなきゃ」
キュピル
「何かあるのか?」
ロマニー
「宇宙人が襲ってくるの!」
キュピル
「・・・・・はぁ・・?」

思わず間抜け面してしまう。
宇宙人?まぁ、子供だからしょうがない。そういうのも信じてしまうお年頃だ。

ロマニー
「白いバッタさんー!おきて〜!宇宙人来るよ!」
ジェスター
「ねむぅいぃ〜・・・。・・・あ、宇宙人!いかなきゃ!」
ロマニー
「牛さんを助けて!」
ジェスター
「私がいるから大丈夫!ほら、キュピル!いくよ!」
キュピル
「何で俺まで!?ってか宇宙人信じてるのか!?」
ジェスター
「行かないと牛乳瓶で頭を殴る!!」
キュピル
「ひ、ひえぇぇ!!ついにジェスターが本格的に怖い子になった!!」
ジェスター
「可愛い女の子のお願いを聞かないキュピルが悪い!わああああああ!!」

ジェスターが瓶を持って暴れだした!

キュピル
「分かった!とりあえず行くだけは行く!」
ジェスター
「流石〜」
キュピル
「・・・・・・・・」

首をかしげながらも外に出た。


==外


ロマニー
「宇宙人は謎の光に乗ってやってくるの。
やってきたら遠慮なく倒しちゃって!私は小屋の中に入ってきた宇宙人を倒すから。
宇宙人は朝の日の光に弱いの。朝まで持ちこたえて!」
キュピル
「朝までって・・。まぁ来たら倒そう」

半信半疑のキュピルにジェスターがなんとも言えない表情で見つめてきてる。

ジェスター
「じぃー・・・・」
キュピル
「わ、わかってる。信じてるって」
ジェスター
「ならよし!」
ロマニー
「お願いね」

そういってロマニーが牛小屋の中に入っていった。

キュピル
「しかしなぁ・・。本当に来るのかねぇ」
ジェスター
「信じる心も大事だよ」
キュピル
「まぁ、星も綺麗だし不満はないよ」

二人で空を見上げる。ジェスターはかなり本気らしいが・・。

キュピル
「なぁ、ジェスター」
ジェスター
「ん?」
キュピル
「その信じる心って真面目にいった?」
ジェスター
「え?」

ジェスターが顔色を変えた。

ジェスター
「・・何か悩んでるの?」
キュピル
「どうだろうなぁ・・。この放浪を始めた切っ掛けは悩みがあったからなんだよなぁ・・・」
ジェスター
「私に言える?」

ジェスターがこっちに向き直る。

キュピル
「ジェスター、気がついたら大人になったよな。人の相談に乗るだなんて初めて見たよ」
ジェスター
「えっへん!」

誇らしそうなポーズを取る。

キュピル
「そうだな・・。その悩みってのは・・」

悩みを言おうとした瞬間、突如眩しい光が二人を襲った。

ジェスター
「わ、来た!?」
キュピル
「朝日だろ・・って、まだ夜の一時だしあり得ないはずだ・・。
まさか・・本当に宇宙人か!?」

牧場にガスマスクをかぶってるように見える宇宙人がたくさん現れた。

キュピル
「うわ、まさか本当に現れるとは!!」
ジェスター
「あー!やっぱ信じてなかったんだね!?」
キュピル
「とにかく事情が変わった。行くぞ、ジェスター!」
ジェスター
「うん!」

キュピルが剣を抜刀しさっそく斬りかかりにいった。

キュピル
「一閃!」

刀を振って敵を斬った瞬間敵が遠くに逃げていった。

キュピル
「斬れてるけど倒せてないのか・・。」
ジェスター
「弓ー!」

ジェスターが弓を持って矢を発射してる。
いつ覚えた?
が、矢の殆どが変な方向に飛んでいき宇宙人に当たっていない。

ジェスター
「むっー!殴る!」

ジェスターが鉄の棍棒を取り出し振り回し始めた。
きっちり宇宙人を追い返してる。


==30分後

キュピル
「ぜぇ・・」

とにかく牧場が広い。
前面をカバーするので精一杯だ。

キュピル
「ジェスター!小屋の背後を見ろ!迫っている!」
ジェスター
「わ、わかった・・・はぁ・・はぁ・・」

ジェスターも疲れているようだ。

キュピル
「このままじゃ進入を許してしまう・・・。・・・そうだ・・!」

キュピルがライトを取り出した。

キュピル
「これでどうだ!」

光を当てられた瞬間宇宙人が前進するのをやめた。
ダメージを受けたり後退したりはしないが前進もしていない。

キュピル
「これだ。」

キュピルがライトを小屋の近くに三つ置く。
近くにいた宇宙人の動きが止まった。

キュピル
「ジェスター、クリミアさんの玄関にあるランタンをかっぱらってきてくれ!」
ジェスター
「泥棒反対!」
キュピル
「借りるだけだ。返す」
ジェスター
「うん、わかった」

ジェスターがランタンを盗ってきた。
小屋の四方向全てに明かりとなるものを置いた。

宇宙人が皆前進するのをためらってしまった。

キュピル
「なるほど、こんな方法が通じるとは・・・」

キュピルが呆れた。

ジェスター
「でも牛小屋守れそうだね」
キュピル
「うむ」

そのまま適当に追っ払ったりジェスターが宇宙人を追い掛け回したりして
時刻も五時半を回りだした・・・。


朝日が現れた。

朝日が現れた瞬間宇宙人全員が消えそのまま謎の光も何処かに飛んで行ってしまった。


牛小屋からロマニーが出てきた。

ロマニー
「お、終わったのね・・?ほっ・・。なんか安心したら眠くなっちゃった。
ありがとうね!黒髪さん!白いバッタさん!」
キュピル
「黒髪・・・」
ジェスター
「白いバッタ・・・」

気にせずロマニーが喋る

ロマニー
「これ、お礼としてあげる」

ロマニーがミルク入り瓶を渡した。

キュピル
「ありがとう、喉渇いた時にでも飲むよ」
ジェスター
「私が飲む!」
キュピル
「ぬあっ!」

ジェスターが瓶をキュピルから奪い取り一人で全部飲み干してしまった!

キュピル
「あっ・・あっ・・!!」

キュピルががくっとうな垂れる

キュピル
「牧場の牛乳・・俺は一度で良いから飲んでみたかった・・・orz」
ジェスター
「ぷはっ〜、最高〜!」
キュピル
「・・・おぉのぉれぇ、ジェスター!」
ジェスター
「わぁっー!」

ジェスターが牧場の中を走りまわる。
それをキュピルが追い掛け回す。
が、途中で二人とも強烈な睡魔に襲われ草むらの上で寝てしまった。

ロマニー
「私も寝よ・・・おやすみなさい〜・・・」


寝る間際、ジェスターはふと思った。

ジェスター
「(・・・あ、キュピルから相談事聞けなかった・・・。いいや、起きたら聞こうっと・・)
眠いぃ〜・・・。zzz・・・」


二人ともふかふかの草の上でぐっすり眠り始めた。


続く

追伸

元ネタ・ムジュラの仮面(クエスト・ロマニーのお願い



第四話



次の日の夜


〜〜〜残り36時間〜〜〜



ジェスター
「ふあぁ〜・・・。・・・あっー!!キュピル!!!おきて!」
キュピル
「むむ・・・。何だ?敵襲か?」
ジェスター
「じーかーん!!」
キュピル
「どれどれ・・。・・・ぎえぇっ!!実に12時間も眠っちまった!」
ジェスター
「もう夜だよ」
キュピル
「夜って言ったってまだ六時だ。六時間ぐらい何か行動すれば眠くなるだろう」
ジェスター
「だといいね」

二人が立ち上がるとクリミアの声が聞こえた。

クリミア
「あ、二人ともまだここにいたのね」
キュピル
「えぇ、すっかり眠ってしまいました」
クリミア
「ちょうどいいわ。今からミルクをクロックタウンのバーまで運ぶんだけど
乗っていかない?」
ジェスター
「乗る!乗る乗る!」
キュピル
「お、おい。ジェスター」

ジェスターが馬車に乗り込んだ

ジェスター
「ほら、キュピルも乗らないと損するよ!」
キュピル
「うーん、体動かさないと眠れなくなる気がするがしょうがないな。
乗らせてもらいます」
クリミア
「どうぞ」

にっこり笑うクリミア。
キュピルも馬車に乗ると馬が走り出し馬車が動き出した。

ジェスター
「馬っていたんだ。私いないかと思ってた」
クリミア
「この馬は借り物よ」
キュピル
「なるほど・・・」
クリミア
「最近ね、何かと物騒なの。だから貴方たちが乗ってくれて少しホッとしてるわ。」
キュピル
「(昨日の出来事は物騒以前の問題だろ・・・)」

クリミア
「私の父が死んじゃってから最近変な嫌がらせを受けるようになっちゃったの。
突然牛がいなくなったり・・・道に大岩が現れてミルクが届けられなくなっちゃったり・・」
ジェスター
「全部宇宙人の仕業!」
クリミア
「ってロマニーも言うのよね。でも宇宙人なんているわけないわ」

クリミアが苦笑いする。
ジェスターはムッーとした顔をしてる。

キュピル
「あれ・・・。なんか月・・でかくなってないか?」
ジェスター
「え?」

ジェスターが月を見る。確かにでかくなってるような気がする。

クリミア
「町中あの月の話題で持ちきりよ。何でも月がクロックタウンめがけて落ちてるんだとか・・・」
キュピル
「落ちてる・・?」
クリミア
「でも本当に落ちるのかな・・・?ちょっと不安ね」
ジェスター
「月が落ちたらどうなると思う?キュピル」
キュピル
「大爆発ってレベルじゃないな」
ジェスター
「・・・怖い!」

ジェスターが月から目をそらす。
その時馬車が止まった。

クリミア
「・・・おかしいわね、こんな所に柵なんかは・・」
ジェスター
「ん?」

二人とも前方を見る。
二人が通ってきた道だが確かに道中を塞ぐ柵なんかはなかった。
その代わり柵があった場所に柵がなくなっていた。

クリミア
「・・・回り道するしかないのね」

柵がなくなっていた道に入る。

クリミア
「お二人にちょっとお願いしていいかしら?
後ろからきっと何かが追いかけてくると思うの。恐らく狙いはこのでっかい牛乳瓶よ」

馬車に後ろに積んである大きな牛乳瓶を指差す。

クリミア
「この牛乳瓶を狙ってきたら弓でも何でもいいから追い払って頂戴。
一個でも守り通せたら大きなお礼をするわ!」
キュピル
「よく分からんが何かが来るってことだな。」

二人とも武器を構える。

クリミア
「それじゃ全速力で行くわよ!」

馬車のスピードが上がる。
そして別の道から、仮面をかぶった男二人が馬・・いや、ロバに乗って追いかけてきた!
しかしスピードは中々に速い。

ジェスター
「出た!宇宙人!!」
キュピル
「いや、人間だ。仮面をかぶってるだけだ。この牛乳瓶を狙ってるぞ」

仮面をかぶった男は巨大なフォークみたいな物を牛乳瓶目掛けて突いた!

キュピル
「おらぁっ!」

キュピルが剣でそれを弾く。
剣で弾いた瞬間敵は後ろに下がっていった。あまり武術は得意じゃなさそうだ。
続いてやってきたもう一人の攻撃も弾く。

ジェスター
「よーし、ロマニーから貰ったこの弓で!えい!」
キュピル
「いつ貰った・・・」

ジェスターが弓で敵を射た・・・が、全く関係ない方向に飛んでいった。

キュピル
「だめだめ、弓はこうやって使う」
ジェスター
「あ!返して!」

キュピルが矢を放つ。見事敵の胴体に命中した。

キュピル
「アインラッドの弓矢はこう使う!」
ジェスター
「わかんなーい!弓の使い方もネタも!」

キュピルが矢を連射する。正確に敵の胴体を射抜いてるのだが
どういうことか敵は失速するだけで落馬は一切しない。

キュピル
「なんだありゃ、本当に人間か!?」

気がついたら一人ものすごい近くまで接近していた。


「ハイヤッー!」

牛乳瓶が突かれた。
しかし表面上のヒビ割れだけで済んだ。

ジェスター
「私が弓使わないときっとダメ!」

ジェスターがキュピルから弓を強奪した

キュピル
「ぬお!」
ジェスター
「えいっ!」

が、全然関係ないほうへ飛んでいく。
気がついたら敵二人がかなり目前まで接近していた。

キュピル
「くそ、もうヤケクソだ!」
ジェスター
「あ!!」

キュピルが馬車から飛び降り直接敵に飛び掛った。
そのままキュピルと敵一人は何処かに転がっていった。

ジェスター
「キュピル!今援護するね!」

ジェスターが矢をバンバン放つ。奇跡的に落馬した敵にも追いかけてきてる敵にも命中した。

ジェスター
「えっへん!」
クリミア
「どんどん撃ってちょうだい!あともう少しでここを抜けるから!」
ジェスター
「よーし、えい!」

ジェスターの放った弓がまた敵に命中した。
今度は馬に命中したようで大きく失速していった。
気がついたら圧倒的に敵と引き離していた。

クリミア
「何とか切り抜けたみたいね・・・。キュピルという方は?」
ジェスター
「あ・・・・」

そうだ、落ちたんだった。

ジェスター
「馬車から落ちた!」
クリミア
「えぇ!?でも、ごめんなさい。もう少し進んだ場所で止めるわ」
ジェスター
「大丈夫、キュピルはこの程度じゃやられたりしないよ」
クリミア
「信じてみます」




馬車がクロックタウン入り口についた。
二人ともキュピルを待っている。

ジェスター
「・・・あ、キュピルだ」
キュピル
「いっちに、さんし、いっちにさんし」

普通に走って帰ってきた。

クリミア
「大丈夫ですか!?」
キュピル
「全然大丈夫。乱闘になったら向こうは逃げて行ったよ」
クリミア
「あぁ、よかった。」
キュピル
「牛乳瓶は?」
クリミア
「もうクロックタウンのミルクバーに届けてきました。久々の仕入れに
オーナーも安心してました。あ、そうだ。守り通してくれたお礼をしないといけませんね」

そういうとクリミアはあるお面を二つ取り出し二人に渡した

クリミア
「そのお面をかぶればミルクバーに入る事ができるわ。
本当は大人になった時に渡されるんだけど私が大人と判断しました」
ジェスター
「わーい、私は大人だって!お酒!お酒!」
キュピル
「いや、酒は悪いが俺が自主する」
ジェスター
「えー・・・」
クリミア
「それじゃ私はこれで失礼するね。今クロックタウンはカーニバルが近いから
前夜祭とかいっぱいやってるはずよ。それじゃ」
ジェスター
「前夜祭!?お祭りだ!キュピル、いこうー!」
キュピル
「うわ、おい!」

ジェスターがキュピルの腕を引っ張ってクロックタウンに入っていった。



==クロックタウン


ジェスター
「あれー・・・。前夜祭の割には静かだねー」
キュピル
「もう夜九時だぞ。流石にもう寝たんだよ(嘘」
ジェスター
「ふーん・・じゃぁ、ミルクバー行こうよ!」
キュピル
「ミルクバーか。まぁ酒は禁止するけどな」
ジェスター
「えー・・」
キュピル
「・・・・・・・。で、ミルクバーって何処にあるんだ?」
ジェスター
「・・・・・わかんなーい!」
キュピル
「・・・・・・・」

クロックタウンの番人に聞いてしてなんとかミルクバーの場所を教えてもらった二人。

番人
「クロックタウン東にあります」
キュピル
「助かった」
ジェスター
「ところでカーニバル前夜祭やってるんだよね?どこでやってるの?」
番人
「街の全域にわたって行われています。・・・が、現在ある事情によって
例年と比べると非常に人が少ないです。」
キュピル
「もしかして・・月のことですか?」

さっきよりもまた一段と近づいてきてる。
この世界にやってきた時は豆粒のように小さかったのに
今は空を覆いつくすかのような大きさになってる。

つまり近づいてきている・・・。

番人
「実は・・今この避難勧告を出すかそれとも
カーニバルを続行するか市長が悩んでいるんです。自分は・・今すぐ逃げたいです」
キュピル
「むぅ・・・」

月を見上げるキュピル。

キュピル
「(この世界に来てしまった以上。あの月をどうにかしないといけなくなる日が来るかもしれない・・。
仮にその日が来たら・・・俺はどうすればいい?)」

軽く悩んでしまったが・・・

キュピル
「ジェスター。とりあえずミルクバーにいこうか」
ジェスター
「あ、うん」

ジェスターも何か悩んでいたらしい。月のことだろうか。

番人
「道中、お気をつけてください」



==ミルクバー

店員
「会員証をお持ちですか?」
キュピル
「これか?」

貰ったお面を見せる

店員
「会員証をかぶってください」
ジェスター
「えー・・・。私の可愛い顔が見れなくなるよ?」
キュピル
「なんじゃそりゃ」

ジェスターの一言にキュピルが笑いそうになった。

ジェスター
「あー、今馬鹿にしたでしょ?」
キュピル
「とんでもない。ほら、お面つけてあげる」
ジェスター
「むっー。なんか馬鹿にされてる気がする!」

渋々お面をつけさせてもらうジェスター

店員
「どうぞ、お入りください」


中は薄暗い店だったがステージがあったり巨大なミルクタンクがあったり
確かにミルクバーの名には恥じなさそうな感じだった。

バーテンダー
「はい、いらっしゃい。ご注文のほうは?」
キュピル
「んじゃ、シャトーロマニーの方を」
バーテンダー
「ほぉ!シャトーロマニーですか。お客さん、その名を知ってるという事は
中々の通ですね?」
キュピル
「いや、ちょっと聞いただけで。その牛乳には不思議な力があると聞いていたから」
バーテンダー
「確かに、体から無限の魔力が沸いてくると言う人もいますね。」
ジェスター
「あ、じゃぁ私もシャトーロマニー!」
バーテンダー
「分かりました、では400ルピーになります」
キュピル
「・・・・うわ、しまった。俺Seedしか持ってないぞ!」
バーテンダー
「申し訳ありませんが・・当店はルピーのみのお支払いでお願いします」
キュピル
「ぬあぁー・・・。しまった・・。国外通貨だったか・・」
ジェスター
「えー、私のみたい!」

その時隣の席に座っていた変な親父が話しかけてきた

親父
「けっ、お前等。田舎からやってきたのか?それとも上京祝いか?
金がねぇ癖にこんなチンケな街にきても意味がねぇぞ。とっとと田舎に帰りな」

口使いが非常に悪かった。
キュピルは軽く流していたがジェスターは腹を立てたみたいだ。

ジェスター
「私を怒らせたね!?よくもそんな事簡単に言えるね!苦労してやってきたのに!」
親父
「・・・・・・。」

親父は黙ってしまった。何故か知らないが何か思い出しているようだ・・・。

キュピル
「ジェスター。帰ろう。」
ジェスター
「むぅー!わぁああああ!」

ジェスターが癇癪(かんしゃく)を起こした。
やれやれ、悪い癖だ。

キュピル
「ジェスター、癇癪起こしても何もならない」
ジェスター
「離してー!」

しっかりジェスターの肩を抑える。

ジェスター
「キュピルは腹が立たないの!?あんな事言われて!」

あぁ、だめだな。こうなるとジェスターはもう止まらない。
仕方ないからジェスターを一旦持ち上げてバーから出てしまおう。

キュピル
「よっこらしょっと」
ジェスター
「ぎゃっー!」

そのまま外に出て行った。


==クロックタウン 東

外に出てもジェスターの癇癪は止まらなかった。
とりあえずは落ち着くまではひたすらジェスターの愚痴を聞き
背中を軽くポンと叩いて眠気を誘わせる。

しばらくすると狙い通り眠くなってきたのかそのまま眠ってしまった。

ジェスター
「・・・zzz・・・zzz・・」
キュピル
「(やれやれ)」

ジェスターを抱っこして再びミルクバーに入っていった。


==ミルクバー


バーテンダー
「おや、先ほどのお客様。連れのほうは落ち着きましたか?」
キュピル
「えぇ、なんとか」

抱っこしてるジェスターを隣の椅子を並べて寝かせる。

親父
「・・さっきは悪かったな」
キュピル
「え?」

突然隣の親父が謝ってきた。

親父
「お前の連れの一言で昔を思い出しちまってよ・・・」
キュピル
「・・・苦労してやってきたのに?」
親父
「そうだ・・・。俺はな、ある牧場からやってきたんだ。
こんなチンケな牧場をチビチビと運営するんじゃなくて
でっかい夢をもってこのクロックタウンに上京してきたんだ」
キュピル
「でっかい夢か」

親父
「まぁ、いろいろとやってきた。このクロックタウンで。失敗の連続だったけどな」
キュピル
「ふむ・・・・」
親父
「今じゃその夢も気がつけばなくなってこうやって毎日。ただ牛乳を飲んでる飲んだくれだ」
キュピル
「酒じゃないだけまだマシだ。・・・ところで・・・」
親父
「ん?」
キュピル
「貴方の言う牧場って・・ロマニー牧場の近くにある牧場?」
親父
「・・・よくわかったな。そうだ」
キュピル
「今日シャトーロマニーを届けてる最中そこから襲撃を受けた」
親父
「・・・あいつ等も必死なんだよ」
キュピル
「必死?」
親父
「ああやって日の目に当たる者はいい。シャトーロマニーを生産してるクリミアとかな。
俺等も元々は牛乳を売って生活していた。しかしロマニー牧場の登場で俺等の
生産している牛乳は一切売れなくなっちまった。なんせすぐ近くに出来たんだからな。
その結果俺等は食う金すら困りだした。」
キュピル
「・・・・」
親父
「お前。覚悟はあるか?」
キュピル
「覚悟?何の覚悟で?」
親父
「生きていくためなら何でもやるという覚悟」

キュピル
「それは・・・、時と場合にもよる」
親父
「なら、時と場合もつけてやろう。お前はある仕事をしていた。
しかしその仕事はなくなり金を手に入れる手段がなくなった。
いよいよ生きていくには悪事を働かせなくちゃいけなくなった。
お前はその悪事をやる覚悟はあるか?
キュピル
「悪事・・・」

これは考えさせられる一言だった。
自分の立場に置き換えれば・・・突然クエストショップが廃業となり
ギルドは入部者の募集を打ち切った。その結果金の収入手段がなくなってしまった。
生きていくためには悪事を働かせないといけない・・・。

キュピル
「・・・・・・」
親父
「お前はまだ若い。悪事を働かせないで生きていける方法があるならその手段を取りな。
・・・俺は悪事を働かせて飲み食いをしてる。」

その言葉だけを聴くと怖い人に思える。
しかし・・何故か哀愁を感じる言葉だった。

キュピル
「もし、生きていくのに悪事を働かせないといけなくなったら・・・。
俺は多分1人分だけの糧を稼ぐと思います。」
親父
「その連れの分はいいのか?」

間があいた。
ジェスターを見る。

ジェスター
「zzz・・・zzz・・・・」

キュピル
「本当は・・俺含めて四人いるんですが・・・。どうしても残り3人は今。
いまいち気に食わない事があるんです。」
親父
「気に食わない事か」
キュピル
「ええ。・・・その残り3人の分も俺が養っているんですが・・・。
何だか、「ただ金を稼いできてくれる存在」って思われてる気がして」

親父がしばらく黙った。

親父
「そいつが気のせいじゃないんだったら・・・。
お前、本当に利用されてるかもしれないな」

その言葉が胸に響いた。
利用されている・・・。

言葉とは不思議だ。突然ジェスターが少しだけ憎く見えてきた。

ジェスター
「zzz・・・うぅ〜ん・・・。・・・・zzz・・・・」
キュピル
「・・・・はあ・・」

とりあえず変な考え持ってもダメだ。
ここで仮にジェスターに対して強い恨みを持ったとしてもどうにもならない。

キュピル
「今日はもう寝ます。」
親父
「そうか。あんたはこの街から逃げるのか?」
キュピル
「逃げる?」
親父
「月が落ちるらしいな・・・。この街は何だかんだで腹の立つ出来事が多かったが・・。
住めば都。何かな・・。」
キュピル
「・・・失礼します」
親父
「あぁ」


本当に落ちるのかどうか、いささか疑問だが・・・。
とにかく寝よう。

ジェスターを再び抱っこするとクロックタウンの外に出て行き
手ごろな芝生を見つけるとそこでまたテントを立てて一晩野宿した。




〜〜最後の朝〜〜


           残り24時間




月の落下はもう間近まで迫っていた・・・。



第五話

(かなり長いです)



すぐにパッと目が覚めた。不穏な空気に気がついた。

キュピル
「・・・地震・・・」

すぐにテントから出た。
そしていつもと違うことに気がついた。

キュピル
「うわ・・・。月が・・。凄い近いぞ・・・」

月を見た瞬間今すぐ逃げたくなった。
こんなの当たり前だが経験したことがない。月が落下してくるだなんて。

キュピル
「・・・クリミアさんが言っていた事は本当なのかもしれない・・・」

テントがもぞもぞ動いた。

ジェスター
「うぅーん・・おはようー・・。どうしたの・・・ってわあぁぁ!!月!月落ちる!!」

すぐ近くまで迫ってきているのを見てジェスターがいきなりパニックを起こした。

キュピル
「慌てるな。まだすぐには落ちない。今からゆっくり逃げればいい」
ジェスター
「う、うん・・そうだよね」

二人とも急いで荷物を纏めて出発の準備をした。



キュピル
「さぁ、クロックタウンから離れるぞ」
ジェスター
「街の人は皆避難してるんだよね?」
キュピル
「多分な。さぁ、どこへいこうか?」
ジェスター
「草原があって暖かくて気持ちいい場所!」
キュピル
「・・・行って見なければ分からない事言わないでくれ。まぁ、たどり着けること祈ろうじゃないか」


そういって二人とも東に向かっていった。



=タルミナ平原(東)

キュピル
「む、柵があって通れないじゃないか」
ジェスター
「登れない?」
キュピル
「掴む場所がなぁ・・・。無理だ」
ジェスター
「じゃぁ、北!」

二人とも北に向かっていった。



=タルミナ平原(北)

ジェスター
「寒い!!!」

北に続く道は山道で登れば登るほど寒くなっていった。

ジェスター
「私寒いの嫌だ。戻る!」
キュピル
「おいおい・・・」

ジェスターが走って降りてった

キュピル
「北に行こうって言い出して一時間しか経ってないぞ」
ジェスター
「西ー!西西ー!」

ジェスターが西に走っていった。
その後をキュピルが追っていった。


=タルミナ平原(西)

キュピル
「西はなんか岩石地帯だな」

西に進んでいくとまたしても柵が現れた。
この柵も高いから登れそうも無い。
・・いや、俺一人なら登れそうだ。ただジェスターが登れない。

ジェスター
「登れない?」
キュピル
「俺は登れそうだけどジェスターが登れるかどうか・・・」
ジェスター
「じゃぁ、南ー」
キュピル
「一周しちまう・・」


=タルミナ平原(南)

ジェスター
「こっちは密林って感じだね」
キュピル
「まぁ、そうだな。このままいけそうだ」

二人とも南の方向に突き進んでいく。

途中何体か敵と遭遇したが二人とも苦戦するような敵じゃなかった。


ジェスター
「うっ・・」
キュピル
「うっ・・」

二人とも南に降りていってある事に気がついた。

ジェスター+キュピル
「臭い・・・!」

臭いの原因はこの先にある沼だった。

キュピル
「うっわ・・臭い強烈だな・・・。」
ジェスター
「無効の水、紫色!」

流石に入る気がしなかった。

キュピル
「・・・ここもダメだな。ここから先は全部沼だから進むには水に入る以外ない」

大きな浮き葉が浮いてるが乗ったら沈むだろう。

ジェスター
「でもどうするの?北も南も東も西も全部行き止まりじゃん!」
キュピル
「行き止まりというよりは単純に環境が厳しいだけだ。
行こうと思えば南と北はいけるぞ」
ジェスター
「私、嫌ー。もっと良い場所がいいー!」
キュピル
「・・・そんなワガママ言ってたら放浪は出来ないぞ」
ジェスター
「もっと良い場所がいい・・・」

ジェスターが自分の服をぎゅっと掴む。

キュピル
「しかし参ったな・・・。閉じ込められた感じがするな・・・」

気がついたら時刻は12時を回っていた。
ここから先どうするか・・・。
ジェスターを見る。

ジェスター
「・・・・?」

キョトンとしてる。

キュピル
「・・そういえば最近ないな」
ジェスター
「何が?」
キュピル
「謎の光。異次元へワープするあの光だ。」
ジェスター
「あ・・・そういえば・・・」

謎の光が来ない・・・それはつまり・・。

キュピル
「この世界から脱出できないってことか・・?」
ジェスター
「・・・つまり・・?」
キュピル
「・・・微妙に閉じ込められてる今・・。月が落下した時の被害は免れない・・」
ジェスター
「じゃ、じゃぁ・・。」

ジェスターが考え始める。

ジェスター
「・・・逃げれないの?絶対」
キュピル
「いや、北に行って山上ったり南言って沼渡れば脱出できるかもしれない」
ジェスター
「じゃぁ私我慢するから沼渡っちゃおうよ」
キュピル
「よし、偉い。行くぞ」

キュピルが沼に足を突っ込む。底なし沼じゃないだけよかった。
ジェスターもぱたぱた飛んで沼に足を突っ込まないように移動していた。

・・が

ジェスター
「うーん・・!そろそろ落ちるー・・!!キュピル!足場にさせて!」
キュピル
「えっ!?」

ジェスターがキュピルの頭を踏んづけた。

キュピル
「んぐあぁっ!!」
ジェスター
「よーし、ジャーンプ!」

一旦キュピルの頭の上で着地した後再び飛び始めた。
が、キュピルの怒りのボルテージが大きく跳ね上がっていた。

キュピル
「・・・・人の頭を踏むってどういうことだ、こらぁぁあああーー!!!!」
ジェスター
「わぁー!キュピルが怒った!」

そのままパタパタ飛んで沼を横断する。時折キュピルの頭をまた踏んづけて着地しまた飛んだ。

キュピル
「はぁー・・・」

若干諦めてる。
なんとか陸地までたどり着けた。

キュピル
「よいしょっと・・・。」

が、今度はあることに気がついた。

キュピル
「ん・・・。ジェスター。」
ジェスター
「何?」
キュピル
「沼の色がここから先紫色になっている。」
ジェスター
「あ、本当だ」
キュピル
「・・・ちょっと触ってみるか」

紫色の水に触れた瞬間、火傷のような感覚が襲ってきた。

キュピル
「あつっ・・!!これ毒あるぞ・・」
ジェスター
「えー・・・。・・・じゃぁどうするの・・?進めないじゃん・・・」
キュピル
「・・・北の山に登るしかない・・・」





タルミナ平原(北)まで戻り山を登り始めた。

・・・だが、今度は巨大な雪の塊が道を塞いでいて行き止まりとなっていた・・・。
結局行く道全て失ってしまい気がついたら時刻は夜6時を回っていた。



   最後の夜

〜〜残り12時間〜〜



==クロックタウン(南)


ジェスター
「・・・・・・・」
キュピル
「・・・・・・・」

二人とも意気消沈していた・・というよりは疲れていた。
相当歩いたのに結局クロックタウンに戻ってしまった。

上を見る。月はもうすぐそこまで迫っていた。

ジェスター
「潰されちゃうのかな・・・」

ジェスターがガタガタ震えている。
さっきからに地響きが止まらない。

キュピル
「・・・何か行動しないと」

キュピルが立ち上がる。
一応ジェスターもついて来てる。


キュピル
「・・・・・・・・」

しかしどうすればいいのか分からない。
一度逃げたのだが・・・。どこへ行っても行き止まり・・・。
信じられない閉鎖空間・・・。

まるで滅亡が確定しているかのように。

キュピル
「・・・・何か手段は・・・」

その時変なハゲ男が通った
そのハゲ男に話しかけてみた。

キュピル
「貴方は逃げないんですか?この街から」
ハゲ男
「カァ〜ッ、ペッ!!馬鹿やろうが!月が落ちるなぞ嘘に決まってら!!
俺は最後までカーニバルを開く!!」

カーニバル・・。
そういえばクリミアさんも言っていたな・・・。

ハゲ男
「俺はぜってぇ逃げねぇぞ!!時計塔が開くその瞬間までここにいてやる!」
キュピル
「時計塔が開く・・?」
ハゲ男
「夜12時から明日の12時までの限定時間。時計塔の頂上に登ることが出来る。
それがこのカーニバルの一番の醍醐味だっつうのに!カァ〜ッ、ペッ!!」
ジェスター
「わ、汚い」

時計塔か・・。しかしそれが何だって話だ・・。
他の人にとにかく話を聞いてみよう。



キュピル
「・・・貴方は逃げないんですか?」
門番
「君。市長から撤退命令は聞かされていないかね?
いや、聞いてないならいいんだ・・・」
キュピル
「近くに避難できるような場所はあるのですか?」
門番
「・・・分からない。逃げれるのであれば可能な限りこの街から離れたい」

明確な逃げ場は分からない・・か・・。


キュピル
「・・ミルクバーのバーテンダーはいるだろうか・・」


==ミルクバー

係員
「・・会員証をお見せください」

二人ともお面を着ける

係員
「・・・どうぞお入りください」

中に入るとバーテンダーが一人と少し太ったお客さんが独り居た。

バーテンダー
「おや・・。昨日のお方ではありませんか。逃げていなかったのですか?」
キュピル
「逃げた。だけど何処も行き止まりで逃げる場所が分からないんだ・・・」
バーテンダー
「本当だったら山なり海なり逃げ場は一杯あるんですけどね。
どこの場所も異常地帯でとても入れるような状況じゃないらしいですよ」
キュピル
「・・・貴方は逃げないんですか?」
バーテンダー
「私はこのバーに残るつもりです。最後までバーテンダーを尽くす。
この店を建てた時そう決めましたから。」

キュピルもジェスターも下を向いてしまった。

婦人
「はぁ・・・。カーフェイ・・。最後に会いたかったわ・・・」

隣の人もいろいろと悩んでいるらしい。
かなり心が重くなる。

キュピル
「貴方も逃げないんですか・・?」
婦人
「そうね・・・。皆逃げたけど私はここに残るわよ。
カーフェイっていう人を探していたの。だけど見つからなかったわ・・・。
それにね私役所を勤めてる人なの。だからバーテンダーさんと同じく
最後までこの街を管理する必要があるの。市長さんもここにいるわよ」

皆逃げない・・・。
何故こうも諦めれるのだろうか。

バーテンダー
「お客さん。昨日シャトーロマニーを飲みたがっていましたよね。
もう最後の一日ですから。これは私のおごりです」

そういってバーテンダーがシャトーロマニーを二人に出してきた。

キュピル
「いただきます・・」
ジェスター
「牛乳?」
キュピル
「極上のね」





==残り6時間==



爽快な発破音が聞こえた。

キュピル
「何の音だ?」
バーテンダー
「あぁ、花火ですね。時計塔の扉が開いたようです」
キュピル
「時計塔・・・」
ジェスター
「時計塔・・・」

二人とも時計塔にまつわる過去を思い出していた・・・。

キュピル
「(時計塔・・・。あぁ・・まずい。シルクとティルを思い出した・・・)」
ジェスター
「(時計塔・・・。あー・・。そういえばリリっていうジェスターの子もいたなぁー・・・)」

地響きが酷くなってきた。時折瓶がカウンターから落ちてしまうぐらいの揺れ。

・・・・・。

キュピル
「(そうだ・・。シルクからどんな時でも諦めるなって言われたな・・・)」
ジェスター
「(そういえば私・・リリちゃんに何が何でも生きる事が大切って言った・・・)」

二人とも立ち上がった。

キュピル
「シャトーロマニー。ご馳走様でした。」
バーテンダー
「もう一杯いきましょうか?」

首を横に振った。

キュピル
「・・・すいません。突然生きたいという思いが強くなりました。
少し最後までもがいて見ます」
バーテンダー
「分かりました」

そういってミルクバーから出て行った。

==クロックタウン


まだ残ってる人に安全な逃げ場がないか聞いてみよう。

門番からひとり言が聞こえる・・。

門番
「ええい・・・逃げるな・・・・!!逃げるな、俺・・!!
門番が居なくなったせいで町にモンスターが入ったらどうするんだ・・!!
逃げるな・・・逃げるな・・俺・・・!!!!」


・・・他に聞けそうな人は・・。

・・・・。

キュピル
「そうだ、時計塔・・・」
ジェスター
「時計塔・・・?」
キュピル
「一応一日しか入れない限定場所だ。観光目的何なりで
一人か二人ぐらい人がいるだろう。安全な逃げ場を知っていないか聞いてみよう。」

どこも異常現象が起きてるとバーテンダーから聞いたから
あんまり期待はできないけれども・・・。


今まで閉まっていた時計塔の扉が開いていた。
その扉を通る。


・・・・。しばらく登ると時計台の天辺にやってきた。


天辺というよりは展望台と言った方が正しかった。
クロックタウンの中心にあるため街全体を見る事が出来た。
ただし、柵がないため落ちないように気をつけないといけない・・。


キュピル
「・・・誰も・・いない・・」

普通に考えてそうだよな・・。
っと、思ったその時。謎の物体が浮いてる事に気がついた。
物体・・いや、人だ。人が悪魔のような仮面を着けて浮いてる。

仮面を着けた人
「・・・ん・・。誰だ、君。緑の少年が来ると思ったら
全く知らない奴が来たね」
キュピル
「一体君は誰だ?街から逃げないのか?」
仮面を着けた人
「逃げる?クキャキャキャキャキャ」

ケラケラと笑い出した。

仮面を着けた人
「逃げるわけないよ。だってこの月は僕が動かしてるんだもん」
キュピル
「な、なに!?」

いきなりとんでもない事を知ってしまった。
・・・ということはこいつを倒せば・・。月は止まる・・!

ジェスター
「キュピル・・。怖い・・・」

ジェスターがじりじりと後ろに引いてる。

仮面を着けた人
「おやー?武器なんか構えちゃって。僕に攻撃を当てるつもりかい?
当てれるものなら当ててみな」

またケラケラと笑い出した。

キュピル
「ジェスター。弓を貸してくれ」

キュピルが弓を手に取り矢を発射した
が、いとも簡単にはじかれた。

仮面を着けた人
「クキャキャキャ、何だそのへなちょこな矢は
そんなんじゃ止められないよ。」

キュピル
「・・・くっそー・・・」

あんな高度にいると攻撃が届かない。
すると今度は別の人が展望台に上がってきた。

・・緑色の服を着た少年が展望台に上がってきた。
少年がこっちを見るなり驚いた。・・が、何も言わなかった。

仮面を着けた人
「ん・・。やっと着たね。もう月落下まであと三時間もないよ」

緑色の服を着た少年がオカリナを取り出し何かを演奏し始めた。

キュピル
「ここに来て演奏してどうすr・・・」

言おうとしたら白い虫みたいな生き物が突然目の前に飛んできた

白い虫みたいな生き物
「シッ!!今月を止めるから静かにしなさい!」
ジェスター
「わ!喋った!」

演奏が終わった。
その時遠くから遠吠えが聞こえた。

キュピル
「何だ?何の遠吠えだ?」
ジェスター
「・・・!何か来るよ!」

仮面を着けた男も気づいたらしく突然呻きだした。


北の大地から巨人が現れ・・・
南の大地から巨人が現れ・・・
東の大地から巨人が現れ・・・
西の大地から巨人が現れ・・・

四人の巨人が月を囲むようにクロックタウン周辺に立つ。
この巨人は本当にでかい・・・。月と同じぐらいあるんじゃって思う。

キュピル
「・・・・まさか」
白い虫みたいな生き物
「私達は約束を守ったわよ!きっちり月を止めてもらうからね!」

巨人が月を抑え始めた。
四人が一斉に月を押し返すように下から持ち上げようとしている。
しかし月は止まらない。

このとき初めて気づいたが月は落下しているのではなく
あの仮面を着けた男によって引き寄せられていたのだ。

キュピル
「止めてくれ・・・」
ジェスター
「月・・止まって・・・!!!」

少年も白い虫みたいな生き物も必死に願っているようだった。

しばらくして・・・。

ピタッと巨人も月も止まった。



月も止まった。






キュピル
「は、はぁー・・・」

安心して腰が抜けてしまった。
ジェスターも同じようだ。

なんか緑の少年やらさっきの白い虫みたいな生き物が何か会話してるけど
全く頭に入ってこない。

キュピル
「ふぅ・・・。ジェスター」
ジェスター
「何?」
キュピル
「俺等再確認したよな。まだ死にたくないってな」
ジェスター
「私絶対どうにかなるって思ってたもんー。キュピル一人だけオドオドして
面白かったよ」
キュピル
「・・・嘘つけ。一番びびってたろ」
ジェスター
「あー!私を疑ってる!」
キュピル
「ハハハ、怒れてるってことはもうすっかり安心しちゃってるな」
ジェスター
「キュピルは安心してないの?」
キュピル
「・・なんかちょっとな。まだありそうで・・」

その時、突然。倒れていたはずの仮面を着けてた男が浮かび上がった。

キュピル
「うわ!」

何か喋ってる。だめだ。頭が真っ白になってて何て言ってるのが頭に入らない。
突然月がまた落下を始めた。
巨人が必死に支える。

ジェスター
「わ、わああああ!!キュピル!月がまた落ちてる!!」
キュピル
「あぁ、わかってる。」

その時月からおぞましい声が聞こえた。


「オデ・・喰う・・・全部・・喰う・・!!」

そういうと口から強烈な吸引を始めた。
仮面だけが勝手に自力飛行し月の中に入っていった。

白い生き物
「ムジュラの仮面が!
・・・どうせあんたもいくんでしょ!
いつも無茶ばっかりしてるけど大抵なんとかなるってのはもう十分私は知ってるわよ。」

その後を追うかのように緑の服を着た少年と白い生き物が自ら月に吸い込まれていった。

キュピル
「わ、わざと入ったぞ・・。あの少年・・」
ジェスター
「助けて!助けて!!」

ジェスターが完全にパニックを起こしてる。

キュピル
「わざと入ったってことは・・。何かあるってことだな。
行くぞ、ジェスター!」
ジェスター
「助かるなら行く!!!」
キュピル
「うおおぉぉー!!」

ジェスターを抱きかかえて自ら月に吸引されていった。

ジェスター
「わあああぁぁぁぁぁ!!!」




==月の中


中に入ると、草原が広がるとても気持ちの良い場所にたどり着いた。

キュピル
「・・・・え・・?なんだこれは・・。これが月の中の世界なのか・・?」
ジェスター
「んぎゅぅぅー!離してー!」
キュピル
「っとと、悪い」

ジェスターを離す
それにしても平和だ・・・。草原の真ん中に一本の木が立っている。
木の傍まで移動するとさっきの仮面を着けた少年がいた。
仮面は同じだが着けてる人物は先ほどの人とは違うようだ・・。

仮面・・いや、ムジュラの仮面を着けた少年が話しかけてきた。

少年
「・・・鬼ごっこ・・するかい?」
キュピル
「鬼ごっこ?」
ジェスター
「やるー!こんな広い場所でやったら楽しいよ!」
少年
「そっか・・・じゃぁ・・・。    始めようか   」



そういうと突然別の場所にワープされた・・・。



連れてこられた場所は魔法で作られた空間だった。
どこだ、ここは・・・。目の前の壁にあの仮面がくっついてるが・・。

鬼ごっこって・・。まさか本当に普通の鬼ごっこをやるわけじゃあるまい。
ジェスターは疑いもなく答えたようだが・・・。
・・・って、そういえばジェスターがいない!

こんな狭い空間で迷子になるはずが・・。

・・その時。

目の前のムジュラの仮面が動いた。

キュピル
「!」

慌てて剣を抜刀する。
ムジュラの仮面が壁から離れゆらゆらと浮きながら接近してきた。

キュピル
「・・・・・っ」

しっかり剣を構えていつでも回避できる体勢を取る。
敵が浮いていては攻撃できない・・・。

っと、その時ムジュラの仮面が拘束スピンしながらこっちに向かって突撃してきた!

キュピル
「よいしょっと!!」

仮面の上にジャンプする。

キュピル
「下がってきた所がチャンス!!うおぉぉぉ!」

剣を下に向けて串刺しにするかのように急降下する。
見事ムジュラの仮面に命中した。

キュピル
「・・・ぐっ!」

見事敵の仮面を貫通したが
そのまま拘束スピンによって弾き飛ばされてしまった。

キュピル
「あいったたたた・・・・」

急いで立ち上がる。
気がつくとそれぞれ違う四つの仮面がキュピルの前に漂っていた。
仮面の口から球形の魔法弾を発射した

キュピル
「ぐおっ!」

剣に命中し弾き飛ばされた。

キュピル
「ええい、こなくそっ!」

ジャンプしてふわふわ浮いてる小さな仮面を素手で掴む。
掴んだ仮面をビシビシ殴る。
殴られる度に口から魔法弾を発射している。

キュピル
「良いこと思いついた・・!」

キュピルが掴んでる仮面を別の仮面に向ける。
そして思いっきり持っている仮面を叩いた。
持っている仮面の口から魔法弾が発射される。
発射された魔法弾が他の仮面にぶつかりそのまま燃えてなくなった。

キュピル
「よし、これを使えば・・!!」

すぐに他の仮面もこの方法で攻撃し見事燃やし尽くすことに成功した。
が、気がつくとムジュラの仮面がこちらに向けてレーザービームみたいなものを放ってきた!!

キュピル
「うわっ!」

慌てて横に転がって回避する。
転がった先にまでレーザーを回せていない。

キュピル
「これでも食らえ!」

持っている仮面を叩き魔法弾を発射する。
見事ムジュラの仮面に命中する。鈍いうめき声を上げた。

キュピル
「食らえ食らえ食らえ!!」

どんどん叩いて魔法弾を発射する。
すると突然ムジュラの仮面が不規則な動きをしながら高く浮かび上がった。

キュピル
「・・・?」

バキッ、メキッ という生々しい音を立てて仮面から長い腕と長い足が生えた。

キュピル
「き、気持ち悪い・・!!」

屈伸したかと思うと凄まじい速度で狭い空間の中を移動し始めた。
かなり早い。目で追うのが辛いぐらいだ。

キュピル
「くそっ、あたれ!」

持ってる仮面を叩いて魔法弾を発射するが早すぎて命中しない。
とうとう持ってる仮面が壊れてしまった。

キュピル
「くっそー・・・」

その時「わあああぁぁぁぁぁ」って声が聞こえた。
・・・・ジェスターの声!?

声のした方角はあの手足が生えたムジュラの仮面からだった!
何故かジェスターが仮面に握られていた。

ジェスター
「ここどこ!?真っ暗になったと思ったら!!ぎゃあぁぁぁ!!」

ぶんぶん振り回されてる。まるで赤ちゃんが新しいおもちゃを手に入れたかのように
はしゃぎまわっている。
時折くるくる回ったりコサックダンスを始めたり、まさに狂った行動をしていた。

ジェスター
「ぎゃあぁぁ!」
キュピル
「離せこんちくしょう!」

剣を投げる。奇跡的な確立だったが運がいいことに命中した。
キエェェ!という寄生を上げてジェスターを離した。

ジェスター
「いたたた・・・」
キュピル
「・・・!」

手足の生えたムジュラの仮面から謎の魔法光線がいくつも飛んできた!
早い!!

慌てて横に避けるが誘導してそのまま命中してしまう。

キュピル
「んぐっ・・!!」

当たったのが嬉しかったのか手足の生えたムジュラの仮面が
またくるくる回って踊りだした。

ジェスター
「わあああああああああああああああああああ!!!」

ジェスターが思いっきり叫びながら鉄の棍棒を持って突撃した。
その奇声にびっくりしたのか一瞬ムジュラの仮面が止まった。

ジェスター
「ええいいいっっっ!!!」

敵の細長い足に見事鉄の棍棒が命中した!
ンキャーと叫びながらそのまま転んだ。


キュピル
「ナイス!ジェスター!」

落ちている武器を拾って二人とも転んでるムジュラの仮面を
ビシバシ追撃をかけた。
ジェスターの強烈な攻撃が入っている。

すると突然謎の力によって吹き飛ばされた

キュピル
「ぐえっ!」
ジェスター
「痛い!」

急いで立ち上がるとムジュラの仮面に異変が起きていた。
突然腕や足に筋肉がつき始め先ほどのひょろひょろの姿から一変して
手には鞭を持っていて魔人のような姿になっていた。

キュピル
「うわ・・・!なんだあれは・・」

ムジュラの魔人が高速で鞭を振り回し始めた。

キュピル
「うおっ」
ジェスター
「わっ!」

なんとかスレスレの所で回避できているが
かすっただけで皮膚に切り傷が出来ていた。まともに直撃したら・・。
それを想像したのかジェスターが再びパニックを起こしそうになっていた。

ジェスター
「無理・・!無理!!絶対勝てない!!」
キュピル
「慌てるな。いつもこんな危機を何度か乗り越えてきたじゃないか・・!
奴の攻撃速度は確かに速い。だが、しかし!」

キュピルが荷物から小さな盾を取り出した。

キュピル
「うおぉぉぉー!!」

突撃した。敵の鞭の攻撃は何とか盾で防げている・・が、早くもぼろぼろになっている。

キュピル
「とりゃぁぁ!!」

思いっきり剣を振る。ところがひょいと大きくジャンプして対角の位置まで逃げた。

キュピル
「信じられん身のこなしだ・・・。」
ジェスター
「あ・・・!」

対角の位置にはジェスターが立っていた。
慌ててジェスターが武器を振り回した。

ジェスター
「えい!えい!!」

しかし簡単に回避され思いっきり蹴飛ばされた

ジェスター
「いっっ・・!!」
キュピル
「ぐあっ!」

吹っ飛ばされたジェスターがそのままキュピルとぶつかる。
ムジュラの魔人が鞭を振り回して接近してきている。

終わる・・!!

その時見覚えのある少年が振って来た。
・・・あの緑の服をきた少年だ!

白い虫みたいな生き物
「ちょっと!!何で倒したはずのムジュラの魔人がここにまたいるのよ!」

ジェスターは完全に気絶している。
なんとか力を振り絞って立ち上がる。

キュピル
「ええい・・落ち着け・・・。援軍が来たようだ・・・」

剣とぼろぼろの盾を構える。
緑色の服を着た少年が剣を抜刀し勇敢にも突撃していった。
ムジュラの魔人が気づいたらしく奇声を上げながらクルクル鞭を振り回しながら
高速スピンを始めた。

しかし華麗なステップと強靭な盾で全て防いでいる。

キュピル
「あの少年・・・強い・・!」

一定の間合いを取ると少年が一旦剣をしまい弓を取り出した。
そして一瞬の隙をついて矢を放った。
見事敵に命中しよろけた。

キュピル
「俺も今援護する!」
緑の服を着た少年
「今行くと危ない」

初めて緑の服を着た少年が喋った。
びっくりし忠告通り止まる。

その後ムジュラの魔人がすぐさま攻撃態勢に入り鞭をこれまで以上に振り回し始めた。
少年の忠告を聞かなかったら・・・背筋がぞっとした。

緑の服を着た少年
「君はあの対角の位置にいって。すぐに背中を見せて君の所に行く」

今はこの少年に従ったほうがよさそうだ。
敵から目を離さないように指示された場所まで移動する。
既に少年とムジュラの魔人は戦っていた。

再び敵の一瞬の隙を突いてジャンプ切りをした!
が、それをひょいと交わしこっちに飛んできた!
少年が言った通り背中を見せてこっちに飛んできた!

キュピル
「食らえ!!!」

太い足をスパッと斬る
クリーンヒットしムジュラの魔人が転びそうになった。
すると緑の服を着た少年が光り輝く弓を構え何かを発射した。
敵に命中した途端眩しい光が当たりに広がった。

キュピル
「ぐっ・・・」
緑の服をきた少年
「攻撃して!」
キュピル
「分かった!」

言われた通り自分が出来る範囲で強烈な乱舞攻撃を仕掛ける。
大きなダメージを敵に与えた!!

が、ムジュラの魔人が再び立ち上がると鞭で撒きつけてきた!

キュピル
「うわっ!」

そのまま緑の少年の方に投げ飛ばした!

キュピル
「避けてくれ!」

ひょいっと少年が避けた。
キュピルも必要最低限の受身のポーズを取りダメージを最小限に抑えた。
だが痛いのは事実だ。

キュピル
「ぐぐぐっ・・・」
緑の服を着た少年
「後は僕に任せて。ありがとう」

そういうと少年が再び光る矢を発射し、そして・・・・。







音も鳴く、ただ粒子化されていくように・・・。
ムジュラと月が光に包まれて消えていった・・・・・。

キュピル
「・・・まるで・・・勇者みたいだ・・・」





==新しい朝





カーニバルが始まった。
クロックタウンから逃げた人も月がなくなったのを見て戻ってきた。

ジェスター
「お祭りが始まったね!」
キュピル
「だな」

緑の服を着た少年が『後は任せて』と言った後からあんまり覚えていない。
光り輝く矢を発射して突撃してったあと・・・。
気がついたらクロックタウンの近くで横たわっていた。

目が覚めた瞬間。緑の服を着た少年はもういなかった。





==ミルクバー

二人の目が覚めた後。
生き延びたラッキーということでこのカーニバルを楽しむことにした。

ミルクバーのバーテンダーからもまた一杯おごりを受けた。

バーテンダー
「いやぁー、生き延びた本当にラッキーだと思っていますよ!」
ジェスター
「実はね、私とキュピルがあの月の中に入って魔物をやっつけたんだよ!
えっへん!」

すると見覚えのある親父が横に座ってきた

親父
「ハーハッハ。お譲ちゃん。そいつは面白い話だなー」
ジェスター
「あー!いつかの意地悪な叔父さん!」
キュピル
「まぁまぁ。ジェスター。こんな話したって誰も信じてはくれないさ。」
ジェスター
「むぅっー!」
親父
「ほら、ジャズの演奏が始まるぞ。・・・そうだ。俺の名前を教えてなかったな
俺の名前は『ゴーマン』だ。おっと、始まったぞ」

自分の名前を言う前にミルクバーで開かれるジャズが始まった。
ゾーラ族と言われる種族がジャズをするらしい。
その演奏メンバーの中に緑の袴をつけたゾーラ族を見つけた。

キュピル
「・・・・まさか・・・な・・?」

そのゾーラもこっちに気づいたらしいがそのまま演奏を続けていた。

バーテンダー
「さぁっ、お二人にだけおごって上げますよ」
ジェスター
「わーい!」
キュピル
「あぁ、本当にすいません」

二人でまたシャトーロマニーを飲む。
隣に座っている親父がジャズに聞き入っていた。
話によるとこのジャズを聞くためにこの街に上京したっとバーテンダーから聞いた。
・・・もちろん出世するためにというのもあったらしいがメインはこっちらしい。

ジャズの演奏が終わった。ゾーラ族がステージから降りた。

ジェスター
「わぁー、イケメンー」
キュピル
「・・・え?イケメンか・・?」

どうみても魚人にしか見えない。
するとさっきの緑の袴を着けたゾーラ族がこっちにやってきた。

キュピル
「お?」
緑の袴を着けたゾーラ
「・・・お疲れ。ありがとう」
キュピル
「え?」

そしてそのままミルクバーから立ち去ってしまった。


ジェスター
「・・・何がお疲れなの?何がありがとうなの?」
キュピル
「さぁ・・・。演奏聞くのお疲れ。聞いてくれありがとう。・・・こういうことかね?」

妙に考え込んでしまった。







そして時間が進み・・・。


気がつけばもう夜になっていた。
夜空には再び花火が打ち上がっていた。
昨日との違いは不気味な月がないことだ。


ジェスター
「・・・何か全部終わったって感じだねー」
キュピル
「あぁ。」

人の居ないタルミナ平原で花火を見ていた。

ジェスター
「・・・・あ・・・痛い・・!!」
キュピル
「え?」
ジェスター
「痛い・・!!また・・来た・・・!!痛い痛い!!」
キュピル
「またあの現象か!ジェスター。深呼吸だ。吸ってー・・・吐いてー・・・。」
ジェスター
「ううう・・・わあああ!!」

ジェスターからまた眩い光が広がりキュピル事包み込んでいった・・・。



キュピル
「あぁ・・、この世界には色んなトラウマが残ってったな・・・」



光が収まったとき。何処かの館の庭にいた。


続く


追伸

ムジュラの仮面編。凄い長くなってごめんなさい。
本当は一話だけに収めるつもりが・・つい・・つい・・orz<<懐かしすぎた

ムジュラの仮面を持ってる人なら凄い懐かしい話だったのではないでしょうか?
持ってない人は・・つまらなかったかもしれませんね( ´・ω・`)

次はついにあれです。



第六話


ようやく平和になったと思われたがまたしても別の世界へワープしてしまった二人。

キュピル
「やれやれ、今度は何処だ・・?」

辺りを見回す。とりあえず館の中庭にいるってのはすぐわかった。

キュピル
「人の敷地とはまた場所が悪い・・・。」

慌てて気絶してるジェスターを担いで近くの茂みに隠れた。
しばらく茂みの中で隠れていたが誰も通る気配がしなかったので
この館から脱出することにした。

キュピル
「見つかってお説教でも食らったら面倒だからなぁ・・・」

しかし気絶しているジェスターを抱きかかえていると圧倒的に行動しにくい。

キュピル
「どうしたものか・・・。
・・・・・・。お」

一旦キュピルの大きなリュックの中をチェックする。
食料やら水やら大分減っているからスペースが開いている。
一部の荷物をジェスターのリュックに移動させジェスターそのものをリュックに入れようと試みる。

キュピル
「・・・頭だけがどうしても出る・・・。まぁいいや。」
ジェスター
「zzz・・・zzz・・・」

ジェスターの荷物は手で持つとして・・。
いざ行動開始。

中庭から出るにはどうしても館の中を通らないといけないらしい。
窓で中の様子をチェックする。やはり人は結構いる。
通り過ぎたのを確認しゆっくりドアを開け中に入る。

通路は長く、広かった。隠れる場所が極端に少なく
このまま通路にいるとすぐばれると判断し即どこかの部屋に入った。

キュピル
「ふぅ、怖いな。」

そういえばスニーキングミッションだとかそういうの昔流行ったなーっと懐かしみつつ
安全に出れる場所がないか探索する。
今入った部屋は図書室らしい。
・・・誰か一人・・いや二人いるな。こっちには気づいて・・・いない?

すぐ本棚の影に隠れた。

・・・・何か話し合っているようだが・・・。
ここからでは聞こえない。

キュピル
「・・・でかいな・・。ここ・・・」

かなり広い。こんなに広い図書室は見たことない。

キュピル
「・・・ここからだと脱出できなさそうだなぁ・・・」

全体的に薄暗い。窓が無い時点でまず無理だな。
先ほどの二人を確認しつつ部屋から出ようとする

???
「あら、もう帰っちゃうの?」
キュピル
「げっ・・・・」

椅子に座ってる人に話しかけられた
かなり距離あるのに何故ばれた。
視力の問題でいまいち相手がよくみえない。なのにすぐ近くに話しかけられてる感じがする。

???
「貴方。見ない顔ね」
キュピル
「港町からやってきた一般人です」
???
「港町?魚は頭をよくするそうね」
キュピル
「足が速くなるって言う人もいる」
???
「それは興味深いね。新鮮な魚は持ち歩いてるなら一つ貰っていいかしら?」
キュピル
「魚は足が速いから持ち歩いてないな。」
???
「なら魚を食べてる貴方を食べたら足は速くなるかしら?」
キュピル
「人肉は鶏肉ような味がすると聞いたな。不味くないらしい」
???
「えーっと、目の前の黒いコートを消極的にやっつけるには・・・」
キュピル
「おいおい、まじで食べる気か?」
???
「一応侵入者は倒す約束してるから。素材のアクを取り除く調理法は・・・」
キュピル
「やばい、まじで喰う気か」

慌てて部屋から出ようとするが鍵がかかっていた。

???
「あった、まずは黙らせましょうか。」
キュピル
「ええい共食いする気か。」
???
「私は妖怪よ。妖怪は人間を食べるのよ」
キュピル
「ナ、ナンダッテー!?それは本当か!キバヤシ!」
???
「私の名前はパチュリー・ノーレッジ。キバヤシじゃないわ」
キュピル
「先に名乗られたか。ワシの名前はキュピル。
妖怪なら過去に何回も戦ったことある。妖怪ハンター舐めるなよ」
パチュリー
「それはどうかしら?」

そう言った瞬間いきなり空間が変わった。
障害物が消え広くなったと言ったほうが正しいだろうか?

とにかく敵から目を離してはいけない。
妖怪は何をするか分からない・・・。

キュピル
「先制攻撃!!」

持っていたジェスターの荷物を放り投げる。
が、横にスラッ〜と避けられる。

パチュリー
「・・・・!?」
キュピル
「その横にずれるのを待っていた!先読み!」

カバンの陰に隠れていてよく見えなかったが避けた方向にナイフが飛んでいた。

パチュリー
「うっ・・!」

いきなり肩に命中。

キュピル
「おっし!」
パチュリー
「・・・普通の人間だと思って甘くみてたわ・・。ここからは本気よ」
キュピル
「そもそもまだ手加減状態の攻撃を見たことないわけで」

その時背中がもぞもぞっと動いた

ジェスター
「ふわぁっ〜・・・。・・・・あれ?キュピル?なんで私カバンの中にいるの?」
パチュリー
「土水符:ノエキアンデリュージュ」

強大な魔法が発動したのはすぐわかった。

ジェスター
「わ、何!?」
キュピル
「ジェスター、丸まってカバンの中に隠れてるんだ」

ジェスターがスポンとカバンの中に隠れた。

パチュリーから大量の水弾が放たれている。

キュピル
「はっ、よっと」

上手いこと弾を横にステップして回避したり転がったりして避ける。
しかし接近が出来ない。接近が出来なければ得意の刀剣術が使えない。

キュピル
「ええい、必殺技でも食らえ!!」

そういうとパチュリーが一瞬身構えたのが分かった。

キュピル
「ジェスター!カバンの中にある折りたたみ式の鉄の盾取り出してくれ!」
ジェスター
「これ?はい!」

ジェスターがすぐに盾を取り出してくれた。

キュピル
「メイジ(魔法使い)によく効く武閃直伝の必殺技!リベンジガード!」

盾を左手に装着しジャブするかのように水弾にぶつける。
ぶつかった水弾がパチュリーの方向に返っていく。

パチュリー
「・・・っ!」

向こうも避けている。
しかし一方的に弾き返されていて不利なのは分かっているらしい。

ジェスター
「ムジュラの仮面であんなに苦戦してこっちのほうが強そうなのに
何でそんなに戦うのことが出来るの?」
キュピル
「一発350のダメージと35ダメージの攻撃がバラバラにやってくる。
どっちが危険か分かる?」
ジェスター
「先に言った方・・?」
キュピル
「正解。小さいほうが衝撃が少なくはじき返しやすい」
パチュリー
「なら、これはどうかしら?」
キュピル
「む・・・」
パチュリー
「金木符:エレメンタルハーベスター」

一気に急接近されパチュリーの中心に巨大な鉄の歯車が展開される。

キュピル
「うわっ!?」

盾ではじき返そうとしたが逆にはじき返されてしまった。

キュピル
「・・物理攻撃か!?」
パチュリー
「日符:ロイヤルフレア」

今度はたくさんの炎が召還され不規則な動きでじわじわ攻撃してきた
避けたかと思うと今度は巨大な炎の弾が召還されこちら目掛けて突進してきた。
避けようにも小さな炎が大量に撒かれていてとにかく逃げ場がない

キュピル
「くっ!」

急いで後ろを振り返り盾を回収しにいく

パチュリー
「そっちは小さな炎で一杯よ。もう逃がさないわ」
キュピル
「根性ーーーー!!!」
ジェスター
「ぎゃぁっー!熱いー!」
パチュリー
「えっ!?」

炎の海を駆け抜け、かなり熱を持った盾を素手で掴み取る
皮膚が焼けていく

キュピル
「食らえ!リベンジガード!!!」

迫ってくる超巨大な炎の弾をはじき返す!

パチュリー
「!!!」

炎の弾が直撃した。周りの炎が全て消えた。

キュピル
「はぁ・・はぁ・・。ぐぅぅ・・あっつい!!」

持っている盾を落とす。

ジェスター
「キュピル、はい。火傷治し!」
キュピル
「終わってから塗る」
ジェスター
「えー、倒したんじゃないの?」
キュピル
「まだ終わってない」

確かにまだやる気があるらしい

パチュリー
「スペルカードを持っているわけじゃないのに・・信じられない・・。
だけどこれでお終い・・・!!
火水木金土符「賢者の石」!!」


五つの石が浮かび上がりこれまでと比べ物にならない弾幕を撃ってきた。

キュピル
「これだけ多いとリベンジガードじゃ防ぎきれん・・!!」

完全にごり押しされてる。

キュピル
「・・・・っ!!」

横から魔法弾が入り込んだ。刺さるような痛みが襲う。

キュピル
「くそっ・・・やられる・・。」
ジェスター
「キュピル!良い案があるよ!」

ジェスターがゴニョゴニョ喋る。

キュピル
「・・・頼む、その作戦しかない」
ジェスター
「いつでもいいよ!」
パチュリー
「させない!」

更に弾幕が厚くなった。

キュピル
「いっけええぇぇぇっ!!」
ジェスター
「ぴょーん!!」

キュピルが思いっきりカバンを放り投げた。

パチュリー
「またナイフ?二度も引っかからないわ」
ジェスター
「私がいるー!!!」
パチュリー
「!」

カバンからジェスターが飛び出し鉄の棍棒を振り回しながら落ちてきた
が、バリアで防がれた。
しかしその防いだ瞬間弾幕が薄くなったのを見逃さなかった。

キュピル
「一閃!!」

刀を引き抜き突撃する。
そして一気に接近しパチュリーを斬り捨てた!
・・・が、またバリアで防がれた

キュピル
「・・・何だって・・」
パチュリー
「それは私の台詞。」

刀を力強く押す。しかしバリアの方もはじき返そうと必死に押し返してくる。

ジェスター
「えいっ!えいっ!」

ジェスターが鉄の棍棒で乱打する。当たるたびに少しずつバリアを押していく。

パチュリー
「はぁ・・わかったわ。降参する」
じぇすたー
「え?ほんと?わーい!勝ったよ!」

それを聞いてキュピルも刀を収刀する。

キュピル
「どうだ、人間も妖怪には負けないぜ。」
ジェスター
「えっへん!」
キュピル
「ジェスター、すまないけど火傷薬塗ってくれないか?背中までには届かん」

ジェスターが火傷薬を塗ってる間にパチュリーが喋った。

パチュリー
「妖怪ハンターは私の知る限りじゃ後二人ぐらいはいるわ」
キュピル
「二人?ふむ・・。逆に言うと二人しかいないのか・・・」
パチュリー
「それより、さっきは適当な会話で進めちゃったけど貴方本当に何処から来たの?
少なくともこの世界じゃなさそうね」
キュピル
「アノマラド大陸のナルビクっていう街からやってきた。実は・・・」

異世界から異世界へ転々と謎のワープしてることを告げる

パチュリー
「空間移動・・。えーっと、空間移動の原理は・・」

また本をペラペラ捲り情報を集めているらしい。

キュピル
「原理知った所で解決できるかどうか・・・」
パチュリー
「それはともかく、今の話が本当なら貴方は意図せずここに来たってことよね?」
キュピル
「まぁ、そうなるな」
パチュリー
「なら侵入者じゃないってことね」
キュピル
「これでもまだ侵入者って言われるなら即逃げる所だ」

その時鍵のかかっていた扉が開いた

???
「見させてもらったわよ!また面白い部外者が来たようね?」
パチュリー
「あら、レミー。そうね、スペルカード持ってないくせにこの世界で生きて行けそうな人達よ」
キュピル
「レミー?」

見た感じジェスターと大体同じ身長だが・・。子供?
しかし何よりも一番目立つのは背中の羽だ。ありゃ・・・。
つい最近一時的になったばっかりのドラキュラの羽じゃないか。
あの羽を見るとどうしても自宅で起きた問題を思い出し不愉快になる。

パチュリー
「レミーはあだ名。本当の名前はレミリア・スカーレット。」
レミリア
「・・・私の顔見て突然不機嫌な顔になったわね」
キュピル
「え?」
ジェスター
「渋い顔してたよ?」
キュピル
「あぁ、悪い悪い。つい嫌なこと思い出しちまって」

悩み引きずりやすいなー・・・っと自分で思った。
しかしただ金を稼いでくる存在or実験体だと思われるのは正直嫌だ。

キュピル
「・・・・・・・」
ジェスター
「おーい、キュピルー?レミリアって人が読んでるよー?」
レミリア
「様つけなさい」
ジェスター
「えー、じゃぁ様つけてあげるから私の事もジェスター様って言って」
レミリア
「はぁー・・・?」
ジェスター
「私世界で一番可愛いジェスターなんだもん」
レミリア
「だったら私は世界で一番カリスマ力のある吸血鬼よ!!」
ジェスター
「じゃぁ私は宇宙で一番可愛くて吸血鬼よりも可愛いジェスター!」
レミリア
「だったら私は(ry」

パチュリー
「・・・そこのキュピルって人。悩んでないであれをどうにかしたら?」
キュピル
「・・・ハッ、また考えてた。・・・で、何が起きたんだ?」
ジェスター
「むぅー!」
レミリア
「むぅー・・!!」
パチュリー
「どっちが可愛いかどっちがカリスマ力があるか競ってる」
キュピル
「はいはい、ジェスターは可愛いがカリスマ力がない。
レミリアはカリスマ力があるが可愛いさはジェスターに及ばない。これで解決だろ」
ジェスター+レミリア
「全然解決しなーい!!」


キュピル
「何故こうも世界一を目指したがる」
レミリア
「言っておくけど私はここの館主なんだからね!一番偉いんだからね!」
ジェスター
「・・・看守?牢屋でも監視してるの?」
レミリア
「ちがーう!!」

キュピル
「やれやれ」
パチュリー
「困った子・・・」


〜〜数十分後〜〜

レミリア
「空も飛べない癖に!」
ジェスター
「飛べるもん!ほら!吸血鬼なんでしょ?太陽の下歩けないね、やーいやーい」
レミリア
「うっ・・。五月蝿い!!」
ジェスター
「五月蝿い?わぁーわぁー!」

完全に子供の喧嘩が起きている。

キュピル
「パチュリーさん。何か分かりました?突然異次元へワープしてししまう原因」
パチュリー
「うーん、あのジェスターって子が突然光だしその光に包み込まれるとワープする・・・。
考えられるのは空間移動に対して何か干渉が起きているぐらいしか分からないのよね・・。
そもそも空間移動というのは・・」

ここから先は専門用語が大量に飛び出しキュピルには理解できなかった。

キュピル
「あーあー、人間にも分かる言葉でお願い」
パチュリー
「あら?人間でも理解できる言葉よ。ちゃんと勉強してればね」
キュピル
「・・・理解できないところが悔しいな・・・。」
パチュリー
「・・・で、レミー。貴方何しにここに来たの?ジェスターっという子とわーわー言うために
来た訳ではないんでしょ?」
レミリア
「そ、そうだった。そこの人間!」
キュピル
「・・・ワシ?」

ビシッと指で示されてる

レミリア
「一つ、頼みを受けてくれないかしら?」

しかし完全に見下してる態度の上に目つきが怪しい。

キュピル
「・・・すまない、断る」
レミリア
「えっ!どうして!?」
キュピル
「いや、なんだ。前の世界に戻るにはどうすればいいか調べているんだ。」
レミリア
「そんなのパチュリーにお願いしておくから引き受けなさい!!」
キュピル
「その上かr・・・」

言おうとしたが口を閉じた。忘れていたがこの人の場合本当に上だった。

キュピル
「・・・とりあえず約束は守ってくれるなら」
レミリア
「キュピルが居ない間異次元へ戻る方法調べてくれるよね?」
パチュリー
「別にかまわないけど・・・」

しかし何故か視線を逸らしている

レミリア
「というわけで、ほら!調べてくれるって言ってるから」
パチュリー
「とりあえず異次元へ移動する原因はマナに関する何かってのは分かってるから
これをもっておきなさい」

そういって汚い石を渡された

ジェスター
「何これ?あんまり触りたくない・・・」
パチュリー
「魔避け石。マナから避けさせる石だから全ての魔法現象を打ち消すわ」
ジェスター
「ふーん・・・」

半信半疑らしい

キュピル
「で、頼みごとっていうのは?」
レミリア
「もうすぐやってくるもう二人の侵入者を倒して欲しい。」
キュピル
「・・・なに?侵入者?」

思わずジェスターと顔をあわせてしまった。

キュピル
「泥棒に凄い人気だな、この館」
パチュリー
「泥棒じゃないと思うけどね」
キュピル
「・・・?」
レミリア
「どうってことない敵だと思っていたんだけど、状況を確認したら厄介そうなのよねー・・・。
倒してくれたら貴方が元の世界に戻るまで完全サポートするわ!!」
パチュリー
「調べるの全部私でしょ・・」
レミリア
「あー、うるさーい!」

その時扉が開いた
侵入者かと思ったが館の関係者っぽそうだ。
メイド服を着てる。

ジェスター
「ルイかと思った」
キュピル
「それはない」
メイド服を着た人
「レミリア様、お話した侵入者がそろそろくるそうです」
レミリア
「そう、ちょうどいいわね。じゃ、部屋から見物させてもらうよ」
キュピル
「倒したら元の世界にきっちり戻させてもらおう。」

異次元から異次元へワープで一番怖いのは元の世界に二度と戻れなくなってしまう事だ。
そんな最悪な現象に陥る前に戻らないといけない。
キュピルからすればこの依頼は絶対に達成したい。
パチュリーやらレミリアやら先ほどのメイドやら皆反対側のドアから出て行った。


バタン

ジェスター
「待ってる間漫画でも読もうかな?こんなに広ければ何かあるよね?」
キュピル
「のんきにした結果侵入者を素通りさせたなんてやったら泣くに泣けないけどね。」

その時扉が開いた。
箒に乗った黒い魔女の服を着た女性がやってきた。

黒い魔女
「わぁ、本がいっぱいだぁ。
後で、さっくり貰っていこ」
キュピル
「出たな、泥棒」
黒い魔女
「借りるだけだから泥棒じゃないぜ」
キュピル
「さっき貰うって言ったのに?」
黒い魔女
「あー、面倒だな。永遠に借りるから泥棒じゃないがそれだと貰うってことになるのかな?」

よく見るとジェスターがこっそり黒い魔女の後ろに回っていた。
やっていい?っと合図してる
それにあわせて頷く

ジェスター
「わああぁぁー!!」
黒い魔女
「おっと」

ささっと宙に浮いて避けた

黒い魔女
「不意打ちとは卑怯だな。ここで成敗してくれるわ」
キュピル
「くそ、失敗か」

とにかく刀を抜刀し斬りこみに行く。
しかし空高く飛んでいて攻撃できない。
それならば

キュピル
「おりゃぁぁーー!!」

近くの机に乗って本棚の上に乗りそのまま本棚を蹴り上げて高くジャンプする。
同じ高度だ!

キュピル
「一閃!!」
黒い魔女
「おっと、こんな原始的な攻撃するってことは人間か?」
キュピル
「お前は妖怪だな?妖怪ハンター・キュピルが成敗してくれるわ!」
黒い魔女
「真似されたぜ。私は霧雨魔理沙、人間だぜ。」

人間、それならパチュリーよりは簡単に仕留めれそうだ。
そう思った直後いきなり星形の魔法弾が大量に飛んできた。かなり細かい

ジェスター
「私こういうの嫌い!」

ジェスターが本棚の傍に隠れた。

魔理沙
「そこにずっと隠れてるといいぜ」
ジェスター
「あ、挑発!でも私偉いから乗らないー」
魔理沙
「良い子だな」
ジェスター
「えっへん!」

そういいずっと本棚の後ろに隠れてる
・・・それ逆に乗せられてる。
が、今の会話で多大な隙を見せた。

キュピル
「食らえ!」

自分のリュックを投げる。

魔理沙
「こんな飛び道具誰にでも・・・。・・!!!」

パチュリーにも仕掛けた奇襲技。
リュックでナイフの姿を消し先読みで避けた方向ナイフが飛んでくる技。
しかし惜しい事にかする程度で命中はしなかった。

キュピル
「くそー」
魔理沙
「んじゃ、今度はこっちの番だ。
『魔符:スターダストレヴァリエ』」

魔理沙を中心にたくさんの星型の魔法弾が召還される。
そしてそのままこちらに向かって突進してきた!
突進攻撃は簡単に避けれたがその後にやってくる大量の魔法弾が避けれない。

キュピル
「ええい」

盾で上手いこと防ぐ。リベンジガードをしようかと思ったが切り札の上に
ここでやっても当たらないのは確実。

魔理沙
「じわじわ追い詰めるぜ」

よく見るとキュピルを囲むかのようにグルグルと低空飛行してる。
全方向から魔法弾が迫ってくる!
・・・これはもう止むを得ない・・。剣を収刀する。

魔理沙
「降参か?」
キュピル
「道連れだ、こんちくしょう!」
魔理沙
「うわっ!」

自ら弾幕の中に突っ込み低空飛行してる魔理沙をとっ捕まえる。
かなり抵抗感があったが今は仕方が無い!
思いっきりグーで腹を殴る。腹部を差し込む強烈なダメージが襲う

魔理沙
「あぐっ!レディーを殴るのは最低な行為だぜ」
キュピル
「顔じゃないだけ許してくれ。魔法が使えない俺には物理技が命なんだ」
魔理沙
「私は怒ったぜ」

反撃に出るため再び箒に跨った。
が、飛ばす暇を与えない

キュピル
「ドロップキック!!」

しかし先に飛ばれてしまった。

魔理沙
「恋符:マスタースパーク!」

マナを集結させ信じられないほどの極太ビームを放った!
思わず怯んでしまった。しかしこれをまともに受けたら死が見えるかもしれない・・・。
すぐに切り札を出した。

キュピル
「リベンジガード!!!!」


打ち返すように極太ビームを盾ではじき返す。
しかし

キュピル
「うぐぐぐぐっっっっ!!!!跳ね返せ!!!!」

骨にまで響く痛みをこらえ思いっきり前に押し返す。
あの極太ビームを跳ね返した!!

魔理沙
「こいつは信じられないぜ」

あくまでもマスタースパークを打ち続けるらしい。
跳ね返したマスタースパークと相殺し合い最終的には両方消えた。
しかし跳ね返した衝撃はでかく完全な相打ちとは言えない。

キュピル
「こりゃ・・・きっつい・・・・」
魔理沙
「さっきのは驚いたけどこれは跳ね返らないぜ。
「『魔砲:ファイナルスパーク!!』」


さっきのよりも更に一段と太くなったビームが襲い掛かってきた。
これを跳ね返すのは無理だ。
当たったら死ぬ・・・!!
だがすぐに体が動いた。

キュピル
「命あってこそだ・・・。くそ!」

そう言って慌ててドアを通り廊下へ脱出し硬い壁に身を隠した。
向こうの攻撃が終わったのを確認し直に戻った。・・・が
既に敵の姿はなかった。

キュピル
「やっぱりか・・・。先へ進む道を与えてしまったようなものだ・・・」
ジェスター
「ふんふ〜ん♪
キュピルー、私挑発に乗らなかったよー?偉いー?」
キュピル
「・・・・・・・・」
ジェスター
「ねーねー。偉いー?偉いー?」
キュピル
「あぁ、わかったよ・・。ジェスター。お前さんは凄い偉い。」
ジェスター
「えっへん!!」

しかし事実上敗北である。
どちらにせよあのまま戦っても一方的な魔法攻撃で敗北は目に見えていた。

キュピル
「一発350のダメージと35ダメージの攻撃がバラバラにやってくる。
どっちが辛いか本当によく分かるな・・・・」

今戦った相手はまさに前者の方だった・・・。

キュピル
「残念だけど・・・。依頼は失敗だね。元の世界への完全サポートは諦めよう」
ジェスター
「私異次元大好きだから帰りたくないんだけど・・・・」
キュピル
「元の世界に戻れないのは・・個人的には少し・・・。・・・・むむ・・・」

視界が悪くなってきた。いや、暗い?
足がおぼつかない。
気がついたら倒れていた・・・

ジェスター
「あ、キュピル!!」

どこか大怪我してるんじゃないのかと心配し怪我してる場所を探すが
目立つ大怪我はどこにもなかった。




・・・場所は変わって・・・




魔理沙
「くっ、もうスペルカードが使えない・・・!」
レミリア
「これで終わりよ!!」

強烈な攻撃が襲い掛かる。
始めは避け続けていたが一発の魔法弾が炸裂。
それによってバランスが崩れ立て続けに強烈な魔法弾を食らった。
箒から落ちそのまま地面に激突した。

レミリア
「あなたの敗因。それは前の勝負でスペルカードを使いすぎたことよ!」

負けるはずの人が勝利。
この世界は少しずつ異なった道を歩み始めた・・・・。



そして更に場所は変わって・・・・



ファン
「ルイさん、ついにメンテナンス完了しましたよ」
ルイ
「おぉ・・!それで、どうなりました?」
ファン
「魂のカケラが二つに増えたことによってマナの量が不安定になり
位置分析と体積分析がバラバラになり、それによって異なった情報で異次元転送トレードが(ry」
ルイ
「すいません、やっぱり私には理解できないので・・・とりあえず直ったのであれば
さっそく呼び戻してみましょう」
ファン
「そうですね、ではさっそく・・・」

ぽち

・・・・

・・・・・・・・・。

ファン
「・・・こ、今度は何も起きない・・・!!」
ルイ
「・・・どうしてでしょうか・・・」
ファン
「・・・どうやら今本人自体がマナを拒絶する環境にいるそうです。
・・・ルイさん、直接行って確認してみてくれませんか?」
ルイ
「私ですか?かまわないですけど・・・戻れますよね?」
ファン
「この装置を使わなくても戻れる特殊なウィングを一つだけ作ってあります。
もし戻れなくなったらこれを使ってください。使ったら一応ナルビクに戻ります」
ルイ
「一応って・・・。」
ファン
「ナルビクのどこかなんで・・・」
ルイ
「・・とりあえず分かりました。行って来ます」
ファン
「出発して24時間後に呼び戻します。24時間経過しても戻らなかった場合は
任意のタイミングでそれを使ってください」
ルイ
「了解です。準備してきます」

一通りの荷物、銃器、弾薬、防具など
危険な環境でも何とか戦っていける道具を荷物に詰め込む。



そして・・・

ルイ
「では、行って来ます」
ファン
「気をつけて行ってください。では今飛ばします」

そういってスイッチを押した。
魔法の光が集結しルイはキュピルたちがいる世界へ飛んでいった・・・・。


続く



第七話

突然目の前が真っ暗になり倒れてしまったキュピル。


パチュリー
「単純に疲労ね」
ジェスター
「疲労?」
パチュリー
「そう、ダメージが蓄積し疲れも凄く溜まってるわ。さっきまであんなに機敏に動いてたのが
嘘みたい。とにかく寝かせてあげなさい」
ジェスター
「もう一人の侵入者は?」
パチュリー
「ここの図書室は絶対通るから私が食い止めておくわ」

そういえばパチュリーの怪我がもう完治している魔法だろうか。

ジェスター
「何で分かるの?部屋一杯あったじゃん」
パチュリー
「空間を弄る事が出来る人がいるの。どこ向かっても最終的にはここにたどり着く」

もしかしたらキュピルがこの部屋に入ったのはその仕掛けがあったからかもしれない。

ジェスター
「・・・その侵入者。先に私が戦って良い?」
パチュリー
「あら、勝算はあるの?お世辞にもキュピルと比べるとあまり腕はなさそうに見えるけど」
ジェスター
「現在進行形で私の方が強い!」
パチュリー
「手加減されてるんじゃない?」
ジェスター
「そんなことなーい!!とりあえず私に任せて!」
パチュリー
「そこまで言うなら任せるけど・・・じゃ、私は下がってるわ」

そういうとパチュリーは奥の方へ行ってしまった。
ジェスターにはある策が一つだけあった。

ジェスター
「よいしょっとよいしょっと」

その策を実行する。
そしてちょっとした策を仕掛け終え
今か今かと待ち構える。
・・・・

ガチャ

扉が開いた。巫女服を着た人がやってきた。

巫女服を着た人
「この家には窓が無いのかしら?
それに外から見たときこんなに広かったっけ?」
ジェスター
「あ、巫女さんだ」

ジェスターがわぁーと駆け寄る

巫女服を着た人
「ちょ、ちょっと。貴方この館に住んでる人?」
ジェスター
「違うよー。迷子!」
巫女服を着た人
「・・・迷子?」
ジェスター
「そこに倒れてる人いるのわかる?」

ジェスターがキュピルを指す。

巫女服を着た人
「あら、本当。どうしたの?」
ジェスター
「ここの人に倒された・・・。巫女さんなら神の力で治せるよね!?」
巫女服を着た人
「お生憎様。今忙しいから後にしてちょうだい」
ジェスター
「えぇー!ケチ!いけずー!あんぽんたん!」
巫女服を着た人
「あ、あんぽんたん・・?」
ジェスター
「ずるいー!ばかー!」

ジェスターの怒涛の挑発

巫女服を着た人
「あー、五月蝿いわねー・・。分かったわよ!」
ジェスター
「ほんと?やった!」

巫女服を着た人がキュピルに近寄り座った。

巫女服を着た人
「って、凄い血じゃない!背中から?
とにかく早く傷口を塞がないと命に・・・」

その時何かに気づいたようだ

巫女服を着た人
「なにこれ?ケチャップ・・?」
ジェスター
「わああああぁぁぁぁ!!」
巫女服を着た人
「わっ!」

ジェスターが突然近くに置いてあった鉄の棍棒を拾い
思いっきり巫女さんの頭を強打した。
こんな展開を予想していなかったらしく、そのまま数メートル吹っ飛んで気絶した

ジェスター
「一・撃・必・殺!」

えっへん、とポーズを取る。
すると凄い笑いを堪えながらパチュリーがやってきた

ジェスター
「何で笑ってるの?」
パチュリー
「あんぽんたんが・・ツボに・・・」

クスクス笑いながら歩いてきた。

パチュリー
「あー、可笑しかった・・・。いまどきあんぽんたんを挑発に使う人なんてそうそう見ないわ」
ジェスター
「むうぅーん・・」

ジェスターが少し不機嫌な顔になった

パチュリー
「そう怒らないで頂戴。何にしても貴方は見事侵入者を倒したのだから」
ジェスター
「えっへん」
パチュリー
「じゃ、さっそく約束通り貴方達を元の世界に戻るサポートをしなくちゃね」
ジェスター
「あ、しなくていいよ」
パチュリー
「え?」

突然の一言に驚いたらしい

ジェスター
「私元に戻りたくな〜い。それより美味しいご馳走が食べたい!!」
パチュリー
「美味しいご馳走・・・ね・・・。んー・・。咲夜に頼んでみるわ」
ジェスター
「咲夜?」
パチュリー
「メイド長よ。さっき貴方も会ったはずよ」

なんとなく会ったかもしれない。

パチュリー
「今日の夜は楽しみにして頂戴。
それより貴方の仲間はどうするの?」
ジェスター
「キュピル・・・。うーん、疲れてるんだったら寝かせてあげてー」
パチュリー
「ここじゃ痛いでしょうから客室まで運ばせておくわ」
ジェスター
「うん。ところで、ここの本自由に見ていい?」
パチュリー
「持って行かなければ構わないわ。」
ジェスター
「わーい!」

広い図書室の中を走り回るジェスター。
それを見て軽いため息をつくパチュリー。

パチュリー
「・・・さて、この紅白を館から追い出しましょうか」


〜〜〜夜8時〜〜〜


・・・・・・。

・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・。

キュピル
「ぬあぁぁ〜・・・。すっげぇー疲労溜まってる!」

30秒ぐらい体勢を変えつつ長い背伸びをする。

キュピル
「ふぅ、一瞬で疲れが抜けた感じがした。
・・・・ん?でも俺なんでベッドで寝てるんだ?」

記憶を呼び起こす。

・・・・・・・・。

キュピル
「あぁ・・。そういえばあの魔理沙とか言う奴を取り逃がして寝ちまったんだったな」

その時ノックが鳴った

キュピル
「ん?」
???
「入ってよろしいでしょうか?」
キュピル
「構わないよ」
???
「失礼します」

メイド服を着た人が部屋に入ってきた。

キュピル
「・・・失礼、何方で?」
???
「申し送れました、私の名前は十六夜咲夜と申します。
ここ紅魔館のメイド長を勤めさせてもらっています」
キュピル
「メイド長か・・・」

ルイが出てきた。多分ジェスターもそうだろう。

咲夜
「早速なんですが・・・。早く食堂に来て貰えませんか?」
キュピル
「え?」
咲夜
「貴方のお仲間、手が着けられない状態になっています」
キュピル
「なんだって、今すぐ行く」

急いでベッドから立ち上がり念のため腰に剣を結んでから行った。


〜〜食堂〜〜

ジェスター
「わははは〜」
キュピル
「げぇっ、ジェスター!」
ジェスター
「あ、キュピル!!ほら、食べようよ!」

超酔っ払ってるジェスターがいた

キュピル
「誰だよ、未成年に酒上げた奴!」
咲夜
「え、未成年だったんですか?」
キュピル
「見れば分かるだろうに!」
咲夜
「本人は二十歳を過ぎてると申したので・・・」
キュピル
「二十歳どころか10年生きてるかどうか分からんがな」
咲夜
「・・・ジェスター様のお歳はおいくつですか?」
キュピル
「レベル4」
咲夜
「・・・は?レベル4??え???」

本人は全く理解できていないが当然と言えば当然だろう・・・。

ジェスター
「ほら!キュピル!お酒!」
キュピル
「アホか!俺ですらまだ未成年だ!!」
ジェスター
「えぇー・・。じゃぁ、ほら!ご飯!」
キュピル
「食い残し渡すな!」
ジェスター
「むうぅー!私の作ったご飯が気に入らないって言うの!?わぁー!!」
キュピル
「本当に収拾が掴めないな・・・・」
ジェスター
「ねぇ〜、キュピルー。それより気になってるんだけどさー。
何で外赤いの?おかしいなぁー、飲みすぎちゃったかな?わぁ〜」

席から立ち何処か飛んでいった

キュピル
「外が赤い?」

ジェスターよりそっちの方が気になってしまった。
窓を覗く。

キュピル
「・・・・なんだこれは・・・。」

異様とも思える赤く深い霧。

キュピル
「これ異常気象か?それともこれが普通なのか?」
咲夜
「お嬢様が出してる霧です。お嬢様は吸血鬼ですので昼でも外に出れるようにするために
赤い霧を作りました。」
キュピル
「・・・つまり陽の光を遮ってるってことか・・・」

正気の沙汰じゃないな・・・・。
もしかして、ここ本当はヤバイところなんじゃないのか?

咲夜
「今からキュピル様のディナーを用意致しますので少々お待ちください」
キュピル
「いや、結構だ。ジェスターの食べ残しを喰う。飯を粗末にするのはちょっと
俺の住んでた世界じゃもったいなさすぎてな」
咲夜
「そうですか、ではごゆっくりと・・」

別に気にする素振りも見せずに立ち去った。


==その頃、ルイは・・・


ルイ
「こ、ここは一体どこなんですか!!赤い霧のせいで方向が全然分かりません!」

時々視界が開けるが基本的に夜ということも相まって殆ど見えない。
というよりかなり暗い。

ルイ
「キュピルさーん!ジェスターさーん!!返事してくださーい!!」

思いっきり叫ぶが返答は当然ない。

ルイ
「暗いし寒いし孤独で・・・辛いです・・・」

その時突然後ろから声が聞こえた。

???
「食べれる人間はっけーん」
ルイ
「!!そこっ!」

慌てて銃を引き抜き発砲するがスラリと避けられた

ルイ
「・・・?貴方も・・人間?」

撃った相手はどうみても人間にしか見えない。

???
「人間じゃないよ、妖怪だよ!」
ルイ
「よ、妖怪!!ってことは・・・幽霊、化け物、霊界!ついに私のあこがれる世界にやってきた!!」
???
「妖怪がそんなに珍しいの?」
ルイ
「もちろんですよ!一度でいいから会って見たかったんです!!」
???
「そーなのかー」
ルイ
「で、貴方は一体誰なんです?」
???
「私はルーミア!貴方も誰?」
ルイ
「ルイ・アリス・トラクシーです。ちょっと握手してください」
ルーミア
「どうぞどうぞー」

握手した後、一人で勝手に喜んだ

ルーミア
「何かこんなにちやほやされたの久しぶりな気がする。へぇー、妖怪って珍しかったんだー」
ルイ
「当たり前じゃないですかー。ところで話変えていいですか?」
ルーミア
「いいよー!」
ルイ
「この赤い霧は何?それに異様に暗くないですか?」
ルーミア
「暗いのは私の力!私の傍はいつも暗いよ?」
ルイ
「ね、根暗じゃないことを祈ります。それで、赤い霧は?」
ルーミア
「紅魔館って所から出てるみたいだけど?何でも陽を通さない霧らしいです」
ルイ
「陽を通さない・・・。それはまた困りますね。農協も大打撃を受けるでしょう・・・」
ルーミア
「この赤い霧の出所を叩こうと二人の人間が向かったよ。途中その人間と遊んだんだけど
ぼこぼこに・・・。」
ルイ
「ぼ、ぼこぼこって・・・。それ遊びじゃない気がしますよ」
ルーミア
「弾幕遊び!」

ルーミアが大量の魔法弾を放った

ルイ
「わっ!!危ないじゃないですか!」
ルーミア
「私達はこの弾幕勝負で遊んでるんだよ」
ルイ
「・・・当たったら当然痛いですよね?」
ルーミア
「痛いです」
ルイ
「遊びの域を超えてます・・・。・・・ところでその人間って
黒いジャンバーを着てませんでしたか?」
ルーミア
「黒いジャンバー?」
ルイ
「黒い服です」
ルーミア
「あ、来てたよー!」
ルイ
「白い服を着てた人もいませんでしたか!?」
ルーミア
「んー、部分的に白い人はいたよ」
ルイ
「キュピルさんとジェスターさんだ・・!!」

盛大な勘違いをする

ルイ
「その人たちは紅魔館に行ったんですよね?案内してくれません?」
ルーミア
「いいよー!でもお腹減っちゃって・・・。指食べて良い?」
ルイ
「ダメです!」
ルーミア
「じゃぁ、腕一本!」
ルイ
「もっとダメです!」
ルーミア
「だめなのかー」
ルイ
「伸ばし棒多様しますね・・・。とにかく案内してくれたら何か用意しますから」
ルーミア
「わかったー。私の腕に掴まって!」

ルイがルーミアの腕に捕まるとそのまま空高く飛んだ

ルイ
「お、落ちる!!」
ルーミア
「そーなのかー」
ルイ
「そーなのかーじゃないです!!」

必死に掴まったとか・・・。




==深夜(紅魔館)

ジェスター
「zzzz・・・・zzz・・」
咲夜
「おやすみなさいませ」
キュピル
「ありがとう、何から何まで世話になってしまって」
咲夜
「それなりの働きを二人はしましたので。では」

咲夜が部屋から出る。
ジェスターはもう完全に寝ている。

キュピル
「・・・居心地は悪くは無いんだ・・・悪くは無いんだが・・・。」

窓を見る。

キュピル
「・・・この赤い霧・・・。見るだけで心が落ち着かなくなる・・・・。」

とにかく今は寝よう。まだ疲れは残ってる。
私服のままベッドに潜り込みそのまま熟睡した。



キュピル
「(自分で考えた道を貫こう・・・)」






〜〜〜翌日、朝六時〜〜〜


何回も地面に降りて休憩はしたが目的地は見えてきた。

ルイ
「は、はっくしょん!!寒い!!」
ルーミア
「そーなのかー!私も寒いよー」
ルイ
「陽が出ないと冷え込みますね!」

全然陽が差し込まない。明るさも気温も夜に近い状態だ。

ルイ
「こんな霧出してるなんて・・。」

正直考えさせられる物だった。

ルーミア
「はーい、到着〜。」
ルイ
「ありがとう」

おろされた場所はとある館の敷地内だった

ルーミア
「そこの裏口から入るといいよ!」
ルイ
「そうですね、ノーマークみたいなので入っちゃいます」
ルーミア
「ばいばーい!」
ルイ
「では、また」

ルーミアが帰ってった。
帰った途端あたりが明るくなった。

ルイ
「・・・なんであの子の周りだけ暗いんでしょうか?」

明るくなって初めてわかったことも多い。
まず雲が全て赤い霧に変わっている。
日差しを一切入れてないせいでルーミアが去っても相当暗い。

ルイ
「・・・慎重に進みましょうか」

銃器を構えて中に入る。




==その頃キュピル達は・・・



ジェスター
「頭いた〜い・・!ぐすん・・・」
キュピル
「自業自得だ・・・。」

窓を開ける

キュピル
「さっぶい・・・」

思わず身震いした。

キュピル
「・・・・・・」

夜に近い暗さ。それでいて寒い。
異常気象というレベルではない

キュピル
「・・・・」

軽くため息をついた後窓を閉じる

ジェスター
「ねぇ、キュピル。何で私頭痛いの?」
キュピル
「昨日凄い酒飲んだからだ・・」
ジェスター
「えぇー、適量だよ?」
キュピル
「適量なら頭は痛くならないよ」

その時突然扉が開いた

パチュリー
「二人とも起きてるかしら?」
キュピル
「起きてる」
パチュリー
「またお願いが来たんだけどいいかしら?」
ジェスター
「お願い?」
パチュリー
「そう、また侵入者が来たらしいのよ・・・」
キュピル
「またか」
パチュリー
「お嬢様は脅威じゃないと判断したけど念のため貴方達にもお願いしたいらしいよ」
キュピル
「・・・つまりは、王手でもかかってるのか?」
パチュリー
「・・・王手?」
キュピル
「この侵入者も倒したらこの赤い霧を止めるものはそうそう出なくなると」
パチュリー
「さぁ、どうかしらね?お嬢様は早く昼の外を出歩いてみたいそうよ」
キュピル
「・・・ふーむ、分かった。とりあえず例の図書室にいればいいんだよな?」
パチュリー
「ええ」
キュピル
「分かった、行こう。ジェスター」
ジェスター
「私戦線離脱するー・・」
キュピル
「それは戦線にいるときに言う言葉だ。ほれ」
ジェスター
「ぎゃぁっ〜!」


==図書室


ルイ
「ええい・・!」

ルイが銃器を発砲する。
裏口から進入したのはいいが廊下に出た瞬間あっさりと見つかってしまい
戦いになってしまった。

ルイ
「一体何で戦ってるのか自分でも分からなくなってきた・・!!
本当はキュピルさんとジェスターさんを探しに来ただけなのに!」

弾切れを起こした。近くの棚に身を潜め一瞬でリロードを行う

ルイ
「そこっ!!」

ローリングしながら発砲する。見事に命中し敵は地面に倒れた。
すると今度は毛玉みたいなものが沢山現れ魔法弾を大量に撒き散らした

ルイ
「こういう戦法嫌いです!!」

魔法を詠唱し巨大なバリアを作り魔法弾を回避する

ルイ
「うぅぅ・・・そろそろMPが・・尽きそう・・・」

さっきから攻撃を防いでばかり。
今度は前方からレーザービームが飛んで来た
上手くレーザービームの間を潜り抜けて前進する
が、前進した先にはまた魔法弾がばら撒かれていた。避けるのは困難。
再び巨大なバリアを作る。

上手く掻い潜ると周りの敵がいなくなった

ルイ
「・・・?この感覚誰か待ち受けてる感じですね」

先に二人敵がいる。
・・・ところが

キュピル
「・・・・おや、ルイじゃないか」
ルイ
「・・・!!キュピルさん!!!」
ジェスター
「ルイ〜!助けてー・・・。頭痛いよ〜・・・」
ルイ
「何があったんですか?」
ジェスター
「頭ズキズキする〜。気持ちわるい〜」
キュピル
「二日酔い」
ルイ
「まぁ・・・。」

流石に二日酔いの薬は持ってきてない

ルイ
「キュピルさん、とにかくお話したいことが沢山あります」
キュピル
「うーむ、ワシもある」
ルイ
「外の様子は見ました?」
キュピル
「見た。赤い霧だろ?」
ルイ
「はい。・・・その元凶はここから出てるそうですが?」
キュピル
「らしいな。それを食い止めようとした侵入者が他に二人いたそうだが
昨日倒してしまった」
ルイ
「・・・倒して『しまった』?」
キュピル
「・・・おっと・・・」

気がついたら赤い霧の事を思わしくないと感じてる・・・。

ルイ
「ということは・・。お二人はここの館を守ってたんですね・・」
キュピル
「一応ワープしたら、ここにいてな・・。依頼されて守ってた」
ルイ
「キュピルさん、ここの世界のことはよく知らないので何とも言えませんが・・。
赤い霧。かなり迷惑なものですよ。」
キュピル
「ここの世界を結構歩いたか?」
ルイ
「一応移動はしました。基本田舎って感じがしましたね。ナルビクのように都会ではないです」
キュピル
「ふむ」
ルイ
「農作物も多かったので・・・。この気温と日差しじゃ間違いなく枯れますね」
キュピル
「・・・・同じこと思ってるな」

昨日の夜、近隣住人の被害を少し考えていた。

キュピル
「う〜〜〜〜む・・・・。やっぱ考えれば考えるほどこの赤い霧って迷惑だよな・・。
正直これは・・・人様に迷惑かけすぎてるよなぁ・・・・」
ジェスター
「ねぇ、ルイ〜。薬〜・・・」
ルイ
「あ、はい・・。今頭痛薬出しますから」
ジェスター
「うんー」

立って熟考する。

・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・。

正直重要な分かれ目ではあるよなぁ・・・。
この世界はあんまり自分と関係ないにしても・・・。

まだこの目で文句や被害、損害などを見ていないから
これが悪いことなのかまだハッキリ決められない。
ただ、ここの館主は吸血鬼、つまりドラキュア・・・。
人間じゃない。

つまりはドラキュアが良いように赤い霧を出して自分だけが良いように
やってるんじゃ?
少なくとも魔理沙ともう一人の侵入者はそれを食い止めようと来たわけだし・・。
確か二人とも人間だ。

・・・・・。

決まりだな。

キュピル
「ルイはここの館には何しに来た?」
ルイ
「一応キュピルさんとジェスターさんを探しに・・・。あとついでに霧の事も気になったので」
キュピル
「ルイ。ちょっとここの館主と話をしてくる。」
ルイ
「ってことは・・」
キュピル
「依頼放棄。ちょっと自分のしたいようにしてみる」

その瞬間突然回りから魔法弾が迫ってきた

キュピル
「!!」
パチュリー
「ずっと話は聞いていたわ。寝返ったのなら仕方ないわ」
キュピル
「ちくしょう、聞かれていたか!」
パチュリー
「あの時は負けたけど二回目は違う」
キュピル
「だが今度はルイもいる。ルイ、いけるか?」
ルイ
「はい!」
キュピル
「おらぁっ!」

キュピルが刀を引き抜いて突撃した。
パチュリーがスペルカードを取り出そうとしてる。

キュピル
「ルイ!あのスペルカードを使わせると厄介だ!撃ちぬけ!」
ルイ
「SDV!!」

狙撃銃を取り出し一瞬で狙いを定め打ち抜く

パチュリー
「!!」
キュピル
「タックル!!」

キュピルの強烈なタックルが炸裂する。
そのまま地面に打ち倒される。

パチュリー
「何今の攻撃・・!あんな超高速な攻撃・・・!」
キュピル
「狙撃銃と言う。この世界じゃない物か?」

パチュリーが起き上がってきたが直に刀の刃を首に近づけさせた

キュピル
「すまないな、数の問題で圧倒的にこっちのが有利だ。
・・・降参してくれ」
パチュリー
「・・・日符『ロイヤルフレア』」
キュピル
「!!」

突然パチュリーを中心に巨大な炎が燃え上がった。

キュピル
「熱っ・・・!」
パチュリー
「油断したのが運の尽きよ」
キュピル
「前回のワシの根性を覚えていないのが運の尽き!!」

思いっきり炎の中に入る。そしてその中にいるパチュリーの襟首を掴み
思いっきり地面に叩きつけた

パチュリー
「うっ・・!!」
キュピル
「これで終わり!!あつつつつっ!!」

パチュリーの首に再び刃を突きつける。またスペルカードを唱えられないように
腕には膝を乗っけている。

パチュリー
「・・・はぁ・・。数の問題よね・・ほんと。降参するわ」
ルイ
「回復魔法、リフレッシュ!」

ルイがキュピルに回復魔法を唱えた。
火傷も傷も一瞬で癒えた。

キュピル
「うし、この扉を通ればレミリアの所に繋がるんだな?」
パチュリー
「そうだけど・・・殺されるよ?」
キュピル
「話し合いで済めば最高だな」

扉を開けて先に進む。
扉の先はまた長い廊下だった。

ジェスター
「うーん・・・頭まだ痛い〜・・・」
ルイ
「頑張ってください」
キュピル
「・・・気をつけろ、すぐそこに敵がいる」

長い戦いが始まろうとしていた


続く


追伸

色々滅茶苦茶



第8話


館内部で色々戦闘中。


レミリア
「・・・まさか仲間が来て合流するなんて」
咲夜
「いかがいたしましょうか?」
レミリア
「結構な実力を持ってるとはいえ所詮人間よ。最初の二人ほど脅威じゃない。
適当にあしらって頂戴」
咲夜
「分かりました」




ルイ
「ショットガン!」
キュピル
「うおおお!!」
ジェスター
「えいっ!」

キュピルが前線でラインを張りルイが中距離から狙撃。
ジェスターは時々ラインを掻い潜ってくる敵に攻撃。
かなりバランスの取れた戦いをしていた。

その時ふらりと一人飛んで来た

咲夜
「こんなに派手にやってもらわれると掃除が大変なんだけど?」
キュピル
「あくまでも最初に攻撃仕掛けてきたのはそっちだからな・・・?」
咲夜
「いかなる理由であろうと勝負して負けない限りお嬢様は赤い霧をお出しになるつもりです。
説得はいりません」
キュピル
「赤い霧を出すことによって得られるメリットをどうぞ」
咲夜
「お嬢様が昼でも外に出歩けるようになる」
ジェスター
「地球温暖化がなくなる!」
キュピル
「今の後者はおふざけだと考えて・・・。
ワシも普通の一般人だから、色々言わせてもらうが
勝手にお偉いさんのところで決められると困るんだよ。
それに元々この赤い霧は見ただけで賛同の気にはならなかった。」
ルイ
「キュピルさん、無駄です。あのメイドはかなり自分の主人を信仰してるようです。
何言っても意思は変わらないでしょう」
咲夜
「その通りです」

咲夜が投げナイフを構える。

咲夜
「これ以上どんぱちやって館を汚されても困るので館から出て行って貰いますよ」

そういって咲夜が大量の投げナイフを一斉に投げた。

キュピル
「ええい、こいつは厄介だ!」
ルイ
「射撃ー!!」

ルイがサブマシンガンを取り出し発砲する。見事にナイフを撃ちつくした

ジェスター
「ふれー!ふれー!ル〜イ〜!へんてこりんなメイドに負けるな〜」
咲夜
「へ、へんてこりん・・?」
ジェスター
「ルイはメイド長なんだよ!魔法も出来るんだよ!銃も使えるんだよ!
あんなの簡単に倒せるよね?」
ルイ
「ちょ、ちょっとジェスターさん・・!!」
咲夜
「なら私は面白い芸が出来ますよ」
ジェスター
「芸なんて今時流行んな〜い」
咲夜
「これでもですか?」

突然咲夜が消えた。
きょろきょろ見渡すと後ろにいた

キュピル
「なっ!さっきまで前に・・!!」
ルイ
「いつ後ろに!?」
咲夜
「そこ!」

ノーマークの後ろから大量のナイフが飛んで来た。

ルイ
「うっ・・!!」
キュピル
「ジェスター、伏せろ!!シールドガード!!」
ジェスター
「わ、わぁぁぁ!!」

流石にこれには対応しきれずルイとキュピルにいくつかのナイフが刺さった。

ルイ
「くぅ・・・。右腕に刺さってしまうなんて・・・」
キュピル
「抜くな、出血する」
咲夜
「ふふ、どうです?同じメイド長でもこんなにも実力差がありますけど?」
ジェスター
「キュピル。何かネタやって?」
キュピル
「それでも・・それでもルイなら何とかしてくれる!!・・・って、何でここで振るんだよ!!」
ルイ
「だから何で私に頼るんですか!どう考えても私一人じゃ・・・」
咲夜
「面白いですね、ではルイとかいう名前の貴方。どうにかしてみてください」

そういうとまた再び大量のナイフを投げつけてきた。
しかしルイにだけでキュピルとジェスターには眼中にないらしい。

ジェスター
「ほら、キュピル。あの咲夜って人はルイだけを狙いだしたよ。」
キュピル
「まさかジェスター。お前さんこれが予測できたのか!?いつからそんな賢く・・。
とにかく何とかしないと!」
ルイ
「いえ、二人は先に!この程度の相手。どうにでもなります!!」
咲夜
「言いますね」

更に攻撃が激化した。
物陰に隠れても謎のワープで突然別の方向から飛んでくる。

キュピル
「ルイ、すまない。先に行かせて貰う。無茶するなよ!危なくなったら先に進んで逃げて来い!」
ルイ
「はい!」

そして腕を押さえながらキュピルとジェスターは先に進んだ。



咲夜
「いいのですか?間違いなく貴方死にますよ?
ルイ
「いや、私は負けません・・・!!」
咲夜
「ふぅ、その意気込みだけは大したものね。なら貴方にヒントをあげましょう」
ルイ
「ヒント・・・?」
咲夜
「私は時を止めることが出来る。貴方の時間はもうすでに私の手の中にある」

そういった瞬間突然咲夜が消えた。
そして後ろからナイフが飛んで来た。

ルイ
「うっ・・・!!」

背中にいくつかのナイフが刺さった。
しかし背負っていた銃器のおかげで実際に体に刺さったのは一本もなかった。

ルイ
「こうなったら・・!!!」

ルイが何かの魔法を詠唱し始めた。

ルイ
「風魔法・シルフウィンド!!」

シルフの妖精を呼び出し風のオーラーを身に纏った。
そして重たい銃器を持ちながらも人間とは思えない速度で動き始めた!

ルイ
「当たらなければどうということはない!誰かさんの台詞ですね!」
咲夜
「忘れたの?私は時を止めることが出来るのよ。」

突然目の前からナイフが降ってきた。
しかしそのナイフが突然はじかれ咲夜の方向にとんだ!
そのまま直撃かと思われたがぎりぎりの所で避けられた。

咲夜
「なっ!」
ルイ
「シルフウィンドは風のオーラーを身にまとうんです!
貴方のナイフなんて風で全て吹き飛ばして見せます!」
咲夜
「なら、いつまで持つかしら?
幻符:殺人ドール」

一瞬のうちにナイフがルイを囲み一斉に殺到した。

ルイ
「えっ・・!!?」

魔力を増強し風を強くする。
全て弾き飛ばしたが大量のMPを消費してしまった。

咲夜
「永遠に降り続く」

間を置かず次のナイフがやってきた。
冷や汗が流れる。

ルイ
「こうなったら・・・!!」

ルイが物陰に隠れた。
隠れた瞬間右に咲夜がいた。
しかし

ルイ
「その油断が命取りです!!自爆!!!

ルイがロケットランチャーを地面に向けて撃ち爆発させた

咲夜
「うぐっ!!!」
ルイ
「うぅぅ・・!!」

互いに重症を負った。

咲夜
「くっ、完全に油断しすぎた・・・」
ルイ
「もう一発・・・!!」
咲夜
「させない!」

一瞬過呼吸になったかのような感覚に包まれた。
すると突然手に持っていたロケットランチャーが消えた。

ルイ
「あれ・・・!?」
咲夜
「ここは完全に私の世界・・・。動く暇すら与えませんよ」

そういうと咲夜がロケットランチャーを後ろに投げ捨てた。

ルイ
「・・・!!」

ルイが手を振った

咲夜
「降参の合図かしら?」

突然爆発が起きた。

咲夜
「うあぁぁっ!!!」

背中にロケットランチャーが炸裂した。

ルイ
「私のRPG-7は遠隔からでも発射できるんです・・!!」
咲夜
「うっ・・・ぐっ・・・!!」

かなりのダメージを負ってる。
立つ事すら辛いらしい。もちろんそれはルイも同じだが叩き込むなら今しかない。

ルイ
「とどめです!!」
咲夜
「傷魂:ソウルスカルプチュア」



突然空気が変わった。







キュピル
「ええい、突入だ!!」

キュピルが思いっきり鍵のかかった扉を蹴飛ばす。
扉ごと押し倒した。
部屋はかなり薄暗く通路のような空間になっていた。

キュピル
「一気に駆け抜けよう」
ジェスター
「うん!」

案の定横から大量の魔法弾が飛んで来た。
しかしそれはもう読めていた事であり一目散に走っていった。

一定のところまで走ると完全に光という光が無くなり完全の暗闇に変わった。

ジェスター
「キュピル!見えない!」
キュピル
「だめだ、カンテラでも照らせない」

その時赤色の光が薄く辺りを照らした。

キュピル
「・・・紅い月か。そういえばこんな月。昔にもあったな・・・」
ジェスター
「何の話?」
キュピル
「過去の話だ」

その時ゆらりと何かが飛んで来た。

レミリア
「やっぱり、人間って使えないわね」
キュピル
「悪かったな」
レミリア
「こうも簡単に心情が動かれちゃ困る」
キュピル
「妖怪は一度決めた出来事は最後まで貫き通すのか」
レミリア
「さぁ?それは分からないわ。」
キュピル
「何にせよ今更赤い霧止めろって言ったって聞きやしないよな?」
レミリア
「当たり前じゃない。あんまり外に出して貰えないから赤い霧を出して
ようやく外に出れるようになったのよ?」
キュピル
「普通に夜だけ外に出ればいいものを・・・」
レミリア
「夜でも紫外線は降るけど」
キュピル
「お肌対策に赤い霧はやめてくれ」
レミリア
「とにかく人間如きに邪魔されちゃカリスマも丸つぶれ。
悪いけど本気で殺しにいくわよ?」
キュピル
「おう、俺も本気でいくぜ」
ジェスター
「私も本気!!」
レミリア
「あら、いたの?小さすぎて見えなかった」
ジェスター
「あー!それ酷い!!怒った!!」

ジェスターが勝手に怒り出した。

レミリア
「楽しい夜になりそうね」
キュピル
「今は朝だけどな」

火蓋が上がった。
初っ端から信じられない弾幕を撃って来た。

キュピル
「弾速が遅いぞー!」

ここの世界の人たちは弾幕が激しい割には弾速が鉄砲と比べて格段に遅い。
弾の間と間を通ってレミリアに接近する

キュピル
「一閃!!」
レミリア
「甘いよ」

すらりと避けられた後、魔法弾を拡散するように放ってきた。

ジェスター
「すらりと避けた場所に私ー!!」

ジェスターがブンッと鉄の棍棒を振る。
背中のドラキュラの翼に当たる。
当たったことによって軌道がずれた。

キュピル
「ずれた先に俺!食らえ!」

ズバッと切り下ろした。
見事にクリーンヒットしたが一瞬で傷が癒えた

キュピル
「ぬぅ、やっぱ流石はヴァンパイアか・・・。その傷の治りは異常だ」
レミリア
「一撃与えられただけでも大したものよ。
冥符:スターオブダビデ」

突然色んな方向から赤いレーザービームが降って来た。
それと同時に白い魔法弾も拡散するように飛んだ。
ジェスターを重心的に狙っている。

キュピル
「ジェスター!自分でなんとかできるか!?」
ジェスター
「避けるので精一杯!!」
キュピル
「任せろ!!」

一旦レーザーが止まった。
しかしすぐにまた発射された。

だがその一瞬止まった隙に猛烈な勢いでレミリアに接近していた。

そしてまたレーザーが一瞬止まった。

キュピル
「うおらぁっ!!」

だが次の瞬間レミリアを中心に沢山の白い魔法弾が飛んで来た。
それにぶつかり大きく弾き飛ばされた

キュピル
「うぐっ!」
レミリア
「ふふふ・・・」
ジェスター
「私も続く!!わああああああ!!」

ジェスターが鉄の棍棒を振り回しながら突撃していった
しかしそんなのに当たるはずもなく魔法弾を打ち返された

ジェスター
「えいっ!!」

鉄の棍棒で魔法弾を打ち返す

レミリア
「えっ!?」

あまりにも突然の出来事で一瞬被弾しそうになったみたいだが避けられてしまった。

キュピル
「避けた先に俺がいる!!!一閃!!」

ズバッとレミリアを斬り抜いた

レミリア
「うっ・・」

深い傷を負わせた。・・・しかしまたしても傷が癒えた。

キュピル
「くそっ、だめか」
ジェスター
「でも行けそうじゃん!さっきの咲夜とか言うのに比べたら余裕余裕〜」
レミリア
「あら?私は実力の10%も出しちゃいないけど?」
キュピル
「さっき本気で相手するとか言わなかったか?」
ジェスター
「負け惜しみー」
レミリア
「むっ・・!!」

今の一言がかなりムッと来たようだ。雰囲気が変わった。

レミリア
「なら半分ぐらい実力を見せてあげようか?
必殺:ハートブレイク」

魔力の槍を創り出し、かなりの速度で放り投げた!!
だが

キュピル
「リベンジガード!!」

ガンッと激しい鉄の音が鳴り一瞬で紅色の槍がレミリアに元に戻っていった
見事にレミリアに刺さった

レミリア
「うぁっ・・!!反・・射・・!?」
キュピル
「悪いが魔法は効かな・・い・・!」
ジェスター
「あ、キュピル!」

キュピルが倒れそうになる。
小声でジェスターに言う

キュピル
「悪い・・。リベンジガードは相当疲れる技なんだ・・・。ちょっと・・息を整えさせてくれ・・」
ジェスター
「分かった・・・!」

レミリアがしばらく宙に漂っていたが暫くすると傷が癒え再び戦闘態勢に入った。

レミリア
「今のは効いた。今度こそ本気で相手するわ」

目つきが変わった。

レミリア
「夜符:デーモンキングクレイドル!!」

赤い魔力に包まれながらこちらに向かって突進してきた!

レミリア
「一瞬で殺してあげる」

キュピルの元まで急接近しそのままキュピル事天井に突き上げようとした

キュピル
「体術を極めた俺を舐めるな!!」

突進してくるレミリアをジャストタイミングでしゃがみ、そのまま立ち上がって頭突きを浴びせる
レミリアの顔面に頭突きが炸裂した

レミリア
「いっ・・!!」
キュピル
「これぞ武閃直伝の技!!レッグストーム!!」

間髪入れずに三段蹴りを浴びせる。
足、体、肩に蹴りが入る。
レミリアの体勢が崩れた

キュピル
「そして、トドメの殴りだ!!!」

思いっきり突き飛ばすように拳を放ち殴り飛ばした
そのままレミリアが地面に倒れる。
だがすぐに立ち上がろうとした

キュピル
「貴様みたいな回復の早い奴には間を入れないのが得策!!」

そのままドロップキックをお見舞いする。

レミリア
「くっ・・!!」

魔法弾をばら撒く。

キュピル
「うおぉぉー!!」
ジェスター
「魔法弾を踏み台にしたー!?(ガイア風に」
レミリア
「なっ!!」
キュピル
「必殺のドロップキック!!」

もう一回魔法弾をばら撒こうとしたが先にドロップキックのが炸裂した。
胴体に思いっきり直撃しかなり遠くまで吹き飛んだ

ジェスター
「ばんざーい!勝った!!」
キュピル
「どうみてもまだ終わっていない」
ジェスター
「え?」

すぐにレミリアが起き上がった。
目を真っ赤にして完全に怒っている。

レミリア
「たかが人間如きに・・この私が・・!!!!」

激怒している。

キュピル
「ひねりのない台詞だ」

その時誰かがやってきた。

キュピル
「ルイか、よかった。もう少しでこいつをたおs・・・」
咲夜
「お嬢様・・・!!お気を確かに・・・!」
キュピル
「・・なに!?」
ジェスター
「ちょっとまって、咲夜が来たってことは・・・ルイは・・・?」
咲夜
「ルイ?魂ごと切り刻んであげたわ」
キュピル
「いや・・・そんなはずは・・」

こんなあっさり負けるはずは・・・。


ジェスター
「ルイは負けないもん。」
咲夜
「ふふ、そんなに疑うなら戻ってみたらどうかしら?
でも貴方みたいなお子様はその惨状を見ないほうがいいわね。跡形もないわ」
キュピル
「跡形も・・ない・・」
咲夜
「指一本すら残さない。そこに残るのは血だけ」
キュピル
「・・・くそ!!」

後先の事を考えずに刀を持って咲夜に突撃する

キュピル
「一閃!」

避けられる

キュピル
「袈裟切り!!」

避けられる

キュピル
「突き!!」
咲夜
「ふぅ・・」

ため息をつかれる。
ナイフが飛んで来た。

キュピル
「キャッチして、うおらぁっ!」

飛んで来たナイフを盾で受け止め落ちたナイフを拾い投げた。

咲夜
「もう少し落ち着いたらどうなの?疲れるわよ」

徐々に酸素が巡らなくなってきた。


レミリア
「さっきは・・よくもやってくれたわね!!
神槍:スピア・ザ・グングニル!!!」


先程の槍投げの時より更に大きな槍を召還した。
そのまま槍をありえない速度でキュピルに向けて投げた!!


咲夜
「幻葬:夜霧の幻影殺人鬼!」

数え切れないほどのナイフがキュピルを中心に囲み一斉に収束した!!

キュピル
「!!」

同時に繰り出された技。槍をリベンジガードではじいてもナイフは弾けない!
逆にナイフを盾で仮に全て防いでも魔法の槍が・・・。
ここまでか・・。

ジェスター
「むーん!!!」

ジェスターがバッと両手を広げてキュピルの前に立った
そして魔法の槍がジェスターに炸裂した・・・。
・・・かと思いきや謎の光が二人を包んだ。

レミリア
「何!?」
咲夜
「一体・・・!」

ジェスター
「えっへん、無傷!」
キュピル
「ジェスター・・。何を・・」

ジェスターが手に持ってる汚い石を見せた

キュピル
「それは・・。パチュリーから貰った魔法を一切向こうかする石か!!」
ジェスター
「うん!」
キュピル
「でかした!!」

一気に勝率が高くなった気がした。

ジェスター
「キュピル!私がこれでキュピルを守るから一気に攻撃して!!」
キュピル
「おうよ!!」

二人が一気に前進した

咲夜
「くっ、魔法がダメでもナイフは物理!!」
キュピル
「特攻ーー!!」

盾を前に掲げナイフを全てはじく。

咲夜
「時間が・・止められない!!」
ジェスター
「えっへん」
レミリア
「私にだって物理攻撃はある!」

レミリアが少ししゃがみ一気にこちらに向かって突進してきた

キュピル
「シールド!」

盾にレミリアがぶつかる。
そのままレミリアが弾き飛ばされた
魔法に頼らず自らぶつかったためか、大きな反動を見せた

キュピル
「レミリア!!覚悟しろ!!!お前のメイドが愛用してるナイフでトドメだ!!」

腕にささってるナイフを引き抜き渾身の力を込めてレミリアに向けて投げた
綺麗に胴体を貫いた。

レミリア
「あぐっぁ!!」
咲夜
「お嬢様!!・・許さない!!
傷魂:ソウルスカルプチュア!!」

ナイフが飛んで来た。
・・・ナイフが普通に飛んで来た。

ジェスター
「魔法は全部私が吸い取る!」

汚い石が凄く光っている。
かなりの魔力を吸収しているようだ。

咲夜
「くっ・・!!絶対に・・絶対に・・・うぐっ・・」

咲夜自身かなり傷を負っている。恐らくルイとの戦いでだろう。

キュピル
「とどめだ!!」

キュピルがレミリアに向けて刀を振り下ろした。
その時、汚い石が割れた。
綺麗にレミリアを叩き斬った・・・。

だがジェスターにも異変が起きた。

ジェスター
「・・・い、痛い!!!」
キュピル
「どうした・・!?」
ジェスター
「眩しい・・!!痛い!!」

ジェスターを中心にまた光があふれ出した

キュピル
「またあれか・・!!まずい、取り残される!!」
レミリア
「夜王:ドラキュラクレイドル」

かなり静かに言った。
後ろから凄い魔力を纏ったレミリアが突進しキュピルをかなり遠くまで突き飛ばした。

キュピル
「っぐぁ!!!」
ジェスター
「わああああああ!!!」

謎の光が一斉に広がった。
そして次の瞬間には居なかった。

・・・取り残された!!絶望的な状況で!!

キュピル
「く・・そ・・。不意打ちか・・!!」
レミリア
「終わる・・終わらせる!!」

レミリアの手には魔力の篭った槍があった。
それをキュピルに向けて振り下ろした!!

キュピル
「忘れたか!リベンジガード!!」
レミリア
「っ!!!」

魔法の槍がはじき返されレミリアを再び貫いた。
幾度のダメージに耐え切れなくなり流石のレミリアもそろそろ動けなくなったようだ。

その時思いもよらない声が聞こえた。

ルイ
「キュピルさん!」
キュピル
「・・・!ルイ!」
咲夜
「えっ!?」

無傷のルイが現れた。

キュピル
「負けたんじゃ・・」
ルイ
「ファンさんから貰った特殊なウィングで戻りました!回復して今再びやってきた所です!」
キュピル
「助かった・・・」
ルイ
「キュピルさん。帰りましょう。元の世界に。」
キュピル
「・・・とどめがまだ済んでない」

瀕死だが殺意に満ちた目でレミリアがにらんでる。
這いずりながらやってきてる

ルイ
「・・・ドラキュラ・・・。キュピルさん、魔法を付加します。ドラキュラによく効く魔法です」

ルイが何かを詠唱し刀に魔法をこめた。
金色に光り始めた。

キュピル
「ドラキュラ!成敗!!!」
レミリア
「っ!!!」

大きな光が辺りを照らした。
そして次の瞬間には完全に気を失っていた

咲夜
「生きて帰しません!!」

全方位からナイフが飛んで来た

キュピル
「主導者が気絶した今もうここにいなくていい。ルイ、脱出だ!」
ルイ
「ウィング使います!」

ナイフが今まさに刺さる瞬間。
特殊なウィングが発動し二人を一瞬でナルビクに帰した。







==ナルビク



キュピル
「ぐふっ・・・」

大分出血が激しいがもう安全だろう。

ルイ
「肩貸します」
キュピル
「いや、自分で歩ける」


まだやるべき事が大量に残っている・・・・。




だが、その一方で。

赤い霧が消えた世界もあった。




続く

追伸

スペルカードは殆ど萃夢想基準。STGの方だと絶対に死ぬので・・・。



第9話

無事紅魔館から脱出できたが、ジェスターが異次元に取り残されてしまった。


キュピル
「ぬぅー・・・・」
ルイ
「はい、治療完了です」
キュピル
「助かる」
ルイ
「ずっと何か考えていたみたいですけど・・?」
キュピル
「放浪するんじゃなかったなー・・・って」
ファン
「珍しい一言ですね。」
キュピル
「こんなに複雑な事になるとは思ってなかった。」
ルイ
「そういえば、なぜ突然放浪したんですか?」
ファン
「ル、ルイさん!!」
ルイ
「え?」
キュピル
「・・・・・・・・」
ルイ
「あっ・・・」

ことの発端を思い出し硬直してしまうルイ。

キュピル
「いや、なんかもういいよ。小さなことに見えてきた。
単純に俺の心が狭かったってことだ。」

ルイはそのまま無言になってしまった。


キュピル
「とりあえずだ。ジェスターを連れ戻しに行かないといけないが・・・。
ファン。何か方法はないか?」
ファン
「ワープ装置機を使って呼び戻そうとしても謎のバグが発生して戻すことが出来ないんですよ。
なので、ルイさんにも渡したあの特殊ウィングを使えば戻ることはできると思います」
キュピル
「そうか。それならそれを作れば・・・」
ファン
「実は・・・。材料費が・・高いんです」
キュピル
「・・・・いくら?」

ルイが家計簿を取り出し見せた

キュピル
「・・・・・・げぇっ!?50万Seed!?」
ファン
「すでに三つ作ってるので150万Seedですね・・」
ルイ
「これ借金手形です」
キュピル
「あっさり言うな!?」

頭を抱える。

キュピル
「150万って・・・。それに俺とジェスターの分で二つだろ?250万になるじゃないか!」
ルイ
「あまりこれも言いたくはないのですが・・・。・・・そろそろ家賃が・・」
キュピル
「ぎ、ぎえぇぇ!」

ファン
「ガス代や水道代などといった光熱費も・・・」
キュピル
「ぎ、ぎええ(ry」

ルイ
「ついでにこのワープ装置機のおかげで電気代がすごく・・」
キュピル
「ぎ、ぎ(ry」

ファン
「バグ修正でパーツも使って更に・・・」
キュピル
「ぎ(ry」


ファン
「・・・それで、借金は総計・・・。280万・・・」




キュピル
「(ry」




ルイ
「きゅ、キュピルさん!」

思わず後ろに倒れそうになった

キュピル
「の、呪ってやるー!!」
ルイ
「ぜひとも呪ってください!歓迎!」
キュピル
「・・・徐霊してやるー・・!!」
ルイ
「そ、それはやめてください!!!」
キュピル
「ふ、ふざけてる場合じゃねぇー!5年ぐらいかかるじゃないか!借金返済に!」

全員黙ってしまった。

キュピル
「・・・・。今考えても仕方ないか・・・。ファン。特殊ウィングってもう出来上がってるのか?」
ファン
「はい。二つ今あります」
キュピル
「わかった。それ使ってジェスターをすぐに連れて帰る。それからでいいだろう。考えるのは」
ファン
「そうですね・・。とりあえずまずはジェスターさんを連れてきてください」

特に武器も荷物もいらないだろう。

キュピル
「そいじゃパパッと行ってくる」
ルイ
「いってらっしゃいー」

機械を操作してジェスターの居場所を突き止めワープした・・・・。






ワープした場所はどこかの港だった。

キュピル
「うっ、冷たい・・・!」

よくみるとすごい雨が降っていた。

キュピル
「むぅー・・・。雨か・・。で、ジェスターはどこだ?」

あたりを見回す。
今ここの時間帯は夜みたいだ・・。雨も降っていてかなり見通しが悪い。
その時特徴のある髪を見つけた。
・・・ジェスターだ!!
かなり大きな船に乗り込もうとしてる。旅行でもする気か?

キュピル
「ジェスター!」

走ってジェスターの元まで行く。が、滑って盛大に転んだ。
すぐに起き上がる。
船に乗ろうとしたら黒服の男が道をふさいだ。

黒服
「まて、この船が何の船か知って来たか?」
キュピル
「知るわけない」
黒服
「なら乗せる訳にはいかんっ・・!帰れ帰れ!」
キュピル
「いや、今船に乗ってった白い髪の子居ただろ?その子と一瞬でもいいから会えればいいんだ」
黒服
「だめだめっ・・!!」

無理やり押し返されてしまった。

キュピル
「いや、頼むから乗せてくれって!」

その時別の黒服の男の携帯が鳴り電話に出た

黒服
「はい・・・。・・・ゲームの人数が足りない?そろそろ出港だろうが。
・・・・誰でもいいから乗せろだと?・・・ちょうど目の前にいいやつがいる。
おい、おまえ」

黒服がこっちをむく

黒服
「お前。借金はあるか?」
キュピル
「借金?・・・5年ぐらいかからないと返済できないのが・・」
黒服
「クククッ・・・。それならばお前はラッキーだ。
この船はこれからゲームを行う・・。そのゲームに勝てばしゃばの借金は0っ・・!
すべてなくなる・・!」
キュピル
「な、なくなる・・!?」

思ってもいない台詞が飛び出した

黒服
「まっ、せいぜい頑張ってくれ。ここに名前を記入しろ」
キュピル
「・・・・・・・」

黙ってペンを受取り名前を書く。

黒服
「ようこそ、希望の船。エスポワールドへ・・」

その後、連絡橋を渡って船に乗り込んだ・・・。



==船内・ホール

船に乗り込んでから黒服の男からAと書かれた袋とBと書かれた袋を渡された。
説明があるまで開けるなと言われたが・・・。
今はそれよりジェスターを探さないと。

キュピル
「ジェスターはどこだ?」

きょろきょろとあたりを見回す。
特徴のある姿のお陰ですぐに発見できた。

キュピル
「ジェスター!」
ジェスター
「あ、キュピル!!」

ジェスターが走ってきた

ジェスター
「キュピル、聞いた!?ゲームだって!勝ったら賞金だって!」
キュピル
「あぁ、聞いた。借金もチャラらしいな」
ジェスター
「借金?」
キュピル
「後で詳しく話そう。それより怪我は?」
ジェスター
「大丈夫!キュピルも大丈夫そうだね?」
キュピル
「あぁ」

本来ならここですぐ帰る所だが・・。
この借金全額返済というチャンスを逃してはいけない。

・・・・でも、まてよ?
ゲームって言うが一体何のゲームをやるんだ?

ジェスター
「すまぶら!!」
キュピル
「それはない・・・」

・・・それに・・。さっき聞かなかったが・・・。
負けたらどうなるんだ・・?
そりゃ借金を全額返済するんだ。負けたら・・・。
・・・・ただじゃすまないだろうな。

キュピル
「(負けたら特殊ウィング使って帰るか・・・)」

これがある限り基本的に最悪な事には至らないだろう。


さっきからジェスターが絶えずきょろきょろ見回っている。

キュピル
「どうした?何か気になる事でもあったのか?」
ジェスター
「うーん。あれなんだろう?ってね」
キュピル
「ん?」

電光掲示板があるが・・・。何もまだ表示されていない。
今わかるのは TIME と書かれた文字 と G と C と P と白い文字で書かれた部分だけである。

キュピル
「・・・なんだろうな・・・。」
ジェスター
「Gはグレート!Cは・・・クリア!Pは・・・パーフェクト!!」
キュピル
「ゲーム思考から離れるんだ・・・」

あたりがざわざわ騒いでるが・・。
その時黒服の男が叫んだ。

黒服
「静粛にっ・・!」

その時閉まっていた扉が開いた。
開いた扉から大量の札束を乗せたカートを黒服達が運んできた。
その札束を見るなりあたりがまたざわめきだした。


ざわっ・・・ざわっ・・。

群がる群衆を黒服が追い払い距離をあける。


キュピル
「これはまた凄い札束だな・・。いったいいくらあるんだ・・?」
ジェスター
「10億Seed!」
キュピル
「それはない」
ジェスター
「むぅっー!」

否定されてばっかりか少し不機嫌になってきた。

キュピル
「まぁまぁ・・・」


???
「ようこそ、エスポワールドへ」

ステージの上にスーツを着た男が立った。大分歳がいってる。

???
「私はホールマスターを務めさせていただく利根川です。
・・・・さっそくですが、まず皆様に決定してもらいたいものがございます。
それは、これから行うギャンブルの軍資金の額でございます」

キュピル
「・・・ギャンブル・・?」

利根川
「これからその軍資金の貸付を行います。
ただし、無制限というわけにもいきませんのでこちらの規定で
それなりに制限させていただきます。
下限は100万円。上限は1000万円とする」

ジェスター
「・・・円って何の単位?」
キュピル
「ジェスターは知らないよな。俺は知ってるぞー。でも俺の知ってる奴じゃなさそうだが・・。」

利根川
「つまり最低でも100万円は借りていただく・・・。
そして勿論ただで貸すというわけにもまいりません。
金利を設定させていただきます。
利率は3%・・・。10分複利・・・」

ざわ・・・ざわ・・・。

キュピル
「10分で3%の利息だ・・・!?ぼったくりだろ!?」
ジェスター
「わかんなーい」
キュピル
「つまり100万円借りたら利息として3%。つまり3万を10分ごとに払わないといけない。」
ジェスター
「それまでに返せばいいじゃん!そしたら儲かるよ!」
キュピル
「ジェスター。これは借りるんだ。もらえるわけじゃない」
ジェスター
「えー・・・・」


利根川
「当クルーズは4時間の予定となっております。
予定通り進めば借り額はほぼ倍になる計算でございます。
清算はゲームから勝ち上がった時点で行います。
皆様、ご自分のお名前のあとにご希望の額をお申し付けください」

黒服が前にでた

黒服
「では前の方から順に・・・」

その時誰かが抗議した


「おい、まってくれよ!先にルールを説明しろよ!」


他の人も何人か続いて講義した

「10分で利率3%だと!?ふざけるな!!」
「俺達は借金がチャラになると聞いて乗ってきたんだぞ!それなのに更に
俺達から金をむしり取る気かよ!!」

ざわざわざわざわ・・・・。

抗議の声が止まらない。
キュピルとジェスターは顔を見合せてポカーンとしていた。
その時利根川が怒鳴った。

利根川
「ふざけるんじゃねぇっ!!」

一瞬でホールが静かになった

利根川
「質問すれば答えが返ってくるのが当り前か?バカがっ!!」

ジェスター
「私ああいうの嫌い・・・」

ジェスターがのそのそと、唯一移動が許されてる休憩室に移動し始めた。

キュピル
「あぁ・・、どうするか・・。・・・ええい、どこへいく。ジェスター!」

キュピルとしては利根川の話を聞きたかったが渋々ジェスターの元へ駆けつけた。

黒服
「おい、お前」

黒服の人に呼び止められた

黒服
「先に軍資金を受け取れ!」
キュピル
「あぁ・・。」

まだどういうゲームか聞いていない・・・。
やはり軍資金は多いに越したことはないが・・・・。
金利が気になる所ではある。だが戻ろうと思えばすぐに戻れるわけだから
強気で行こう。

キュピル
「俺とジェスターは二人とも一千万で」
黒服
「受け取れ」

名前を記入した後、お金を入れるホルダーと軍資金2000万を受け取る」
そのあとすぐに休憩室に入ってった。

==休憩室


利根川
「お前らは負けてばかりいるから勝つことの本当の意味がわかっていない・・・っ!!
『勝ったらいいな』じゃない・・・!
人生は『勝たなきゃダメ』なんだ・・・っ!
勝てねぇ奴は人間のクズ!ゴミだ!!
世間はお前らの母親じゃねぇ!!」

休憩室にいても放送によって利根川の喋ってる事はわかった。

ジェスター
「聞きたくなーい!!」

耳宛てをギュッと抑えて耳を塞ぐジェスター。

キュピル
「むぅ、利根川の言うセリフも一理はあるんだが・・・。
なかなか厳しい人だな・・・」

とりあえずジェスターの隣に座る。

ジェスター
「キュピルー。まだあのオジサンしゃべってる?」
キュピル
「喝入れてる」
ジェスター
「ねー、キュピルー?聞いてるー?」
キュピル
「だから、まだ喝入れてる」
ジェスター
「キューピール!!聞いてるー!?」
キュピル
「耳抑えてるから聞こえないんだよ・・・!」

耳元で叫んだ

キュピル
「まだ、喝入れてる!」
ジェスター
「うるさーい!!」
キュピル
「ぐふっ!」

ジェスターが頭突きしてきた。顔面に直撃、鼻を押さえる。

キュピル
「いってててて・・・・」
ジェスター
「わーい、勝った勝った〜」
キュピル
「・・・・。利根川の次はワシが喝を入れてやるかー!?」
ジェスター
「嫌〜」

そういってまた耳を押さえた。

キュピル
「やれやれ」

そういえば利根川の喝が止まってる。
耳を傾ける。

利根川
「・・・・。では、改めて。今回のクルーズにおける主旨を説明させていただきます。
・・・・この船は我々がこれから生い先永いあなた方のような若者を
借金から救済するために善意で企画したものです。」

キュピル
「善意で企画したもの・・・・」

その割には黒服の人が多かったりしっかりとした保障もなかったり
善意という言葉には怪しいものがあった。

利根川
「・・・・・現在、皆様が背負っている借金・・・。
その理由、またその額は各人様々かと思います。
・・・・ですが、この船ではそれらについては一切問いません。
おそらくここにいる皆様、現在の状況では借金返済は非常に困難・・・。
このままではどうすることもできない・・・。
そういった経緯で意を決して今回の参加に踏み切ったのでしょう」

キュピル
「一部例外がいるけどな・・」

キュピルがジェスターを見る

ジェスター
「・・・・?何かあったの?」
キュピル
「いや、何でもない」

ゲームという言葉だけで釣られたジェスター・・・。

利根川
「そこで・・。もう一度、世間に入っていくための未曾有(みぞう)のチャンスを
我々が皆様に与えようというわけです。
さて・・・。さっそくゲームの説明をしましょう」

キュピル
「ジェスター。ゲームの説明が始まるぞ。ホールに戻ろう」
ジェスター
「え?ほんと?わーい!!」

ジェスターが真っ先にホールに戻ってった。

キュピル
「なんという単純回路」


==ホール

利根川
「質問は一切受け付けません。集中力を持ってお聞きください。
先ほど入口で配布したAの袋をおあけください。」

全員一斉にAの袋をビリビリ破り始めた。

キュピル
「なんだ・・これは・・?」

中からレントゲンで写された手の絵が出てきた。
カードにはそれぞれ G C P というマークが記されている。
よくみるとグーチョキパーになっている。

キュピル
「・・・まさか・・。じゃんけんか・・?」
ジェスター
「えー、いまどきじゃんけんなんて面白くないー」

利根川
「もうお分かりですね?
グー チョキ パーのカードがそれぞれ四枚ずつあるはずです。
…次にBの袋を開けてください」

ジェスター
「次は何かな?」
キュピル
「む・・・。星が三つ入ってるぞ」

利根川
「中に星が三つ入っているはずです。
ルールはいたって簡単・・・」

ざわ・・・ざわ・・・

利根川
「あなた方は任意の相手を選んでは勝負をし星を奪い合う。
ただそれだけです。ではこのゲームの最も重要な部分・・勝ちの条件について説明します。
この勝負・・。途中経過は一切問いません。なんにせよあなた方が最終的に
星を三つ確保できれば勝ちとなります。その際満たすべき条件はただ一つ・・・。
今あなた方が手にしてるグーチョキパーのカード・・・。
全部使い切るということだけです」

ジェスター
「な〜んだ、簡単だねー?私連勝しちゃうよー?」
キュピル
「うーむ・・。そんな簡単なものだろうか・・・」

利根川
「星が五つになったから残りのカードはいらない・・・。
破棄・・・というわけにはいきません。逆の言い方をするならこういうことです。
次に述べる条件に一つでも該当した場合・・。
負けとみなし別室へ連行させていただきます。
一つは例え星を四つ五つ持っていようと・・時間内にカードを使いきれなかった場合・・。
二つ目は時間終了時に星を二つ以下しかもっていない場合。
そして最後・・・。三つ目は・・・。
カードも持っている、まだ時間もたっぷり残っているが・・・。
このギャンブルの途中で星を三つなくしてしまった場合・・・。
この三つです」

ざわ・・ざわ・・・。

ジェスター
「まだ始らないの?」
キュピル
「す、すこし静かにしてもらえないか?ジェスター」
ジェスター
「あー、うるさくするよ?」
キュピル
「頼むから!ほら、機械のネジ!
ジェスター
「わーい!」

利根川
「では、ここで実際に勝負の流れを見ていただきましょう。
・・・まず勝負する相手が決まったら・・・」

黒服の男が二人。台のような場所で向かい合う。

利根川
「このようにホール内で設置してあるボックスに向かい合っていただき
ここで勝負に使うカードを選びます。
次にお互いカードが決まったら  『チェック』  こう発音し
カードを顔の斜め前に持っていき確認していただく。
続いて・・・お互いチェックが終わったら 『セット』 と発音し
カードを台の上に伏せて置きます。そしてお互いカードを台の上に置いたら
最後に『オープン』という掛声と共に自分のカードをめくる・・・・。」

ルール自体は確かにいたって簡単だ・・・。

利根川
「これで一回の勝負が終わったことになりますが・・・。
勝敗がついた場合は負けた者が勝った者に自分の星を一つ渡します。
ただし、あいこの場合は星の移動はありません。
これを、ここにいる全員で自由に相手を決め・・・。
ただ繰り返していただく。
なお、その際使用したカードは勝負結果にかかわらずボックスの中央にある
投入口に入れていただく。つまり・・・。
一度使用したカードは二度と使用できん!」

ざわ・・ざわ・・・。

キュピル
「つまりは・・。グーチョキパーそれぞれ四回しか使用できないのか・・」
ジェスター
「うーん、難しいー。どういうこと?」
キュピル
「それぐらいは理解できるよな?」

利根川
「そして・・・カードはボックスに入れられると・・・・。
自動的に集計されこのステージに向かって左側に設置してある
電光掲示板に情報として次々に掲示されていく。」

さっきジェスターが見つけたやつだ。
さっきまでは点灯していなかったのに気がつけば転倒している。
G、C、Pそれぞれ下に324と書かれている・・・。

利根川
「今、324とあるのは グー チョキ パー。それぞれ四枚ずつ配られ
まだ一枚も使用されていないから。つまり・・・。
ここにいる皆様の総数は81ということです。この数字は勝負が
始まるとそれぞれ減り始めることになる。
これは非常に貴重な情報・・・・。特に後半その動きに注意されれば
勝負をするうえにかなり有益。皆様のお役に立つと思われる。
あと・・・・。その上にある数字」

TIMEと書かれてる場所は4:00と書かれてる。

ジェスター
「四分?」
キュピル
「それはない」

利根川
「これは言うまでもなく残り時間を示す時計。
これも勝負が始まれば当然刻一刻と減っていくことになる。
つまりこのゲームは四時間ですべてが終わる・・・。そういうことです。
お分かりかな・・?」

最後に利根川がニコッと笑う。少し気色悪い。
だがすぐに厳しい表情に戻った。

利根川
「なお、今皆様が手に入している軍資金については各自ご自由に
判断しお使いください。」

ざわ・・ざわ・・・

また一部で抗議の声が聞こえたが利根川は一切無視して話を続けた。

利根川
「・・・また、先に申し上げた勝ちの条件。
星三個以上でカードを全て使い切った場合には・・・。
スタッフによるチェックを受けていただいたのち・・・。
二階にて貸付金清算等を行いますのでその際はこのホール奥、
階段前にいる黒スーツの男に声をおかけください。
以上、私の説明をすべて終えさせていただきます。
皆様のご健闘を心からお祈りいたしております」

キュピル
「こ、これで終わりか・・・!?
金の使い道は・・・負けた時の処遇は・・・?」

他からも同じような声が聞こえたがまた一喝するかのように大きな声で利根川がしゃべった

利根川
「それでは始める!!」



けたたましい音が鳴り響いた。そして電光掲示板のTIMEが3:59となった・・・。

キュピル
「(むぅ・・・。勝負のルールしかわからない以上・・・。
ここは出方をうかがうしかない・・・。不安なのは全員同じはずだ・・・)」
ジェスター
「勝負勝負ー。キュピルー。勝負しようよ〜」
キュピル
「ジェスター、俺等の間で星のやり取りをしても損するだけだぞ」
ジェスター
「えー。でもキュピルと勝負したい。私が勝つから!」
キュピル
「俺は勝負受けんぞ」

とにかく・・・。
しばらくは様子を見よう・・・。


しかし、この安心は後々崩れてくことになる。


続く


追伸

今回はほぼ説明ですね。



第十話


限定じゃんけんが始まった・・・・。


キュピル
「・・・さっそく戦い始めた人がいるようだな」
ジェスター
「どうしてわかるの?」
キュピル
「モニターを見てみろ。それぞれ324とあったのだが既に320となってる場所がある。
つまり既にそのカードは四枚使われている・・・」
ジェスター
「ふーん。じゃぁ、私勝負しにいってくるね!!」
キュピル
「お、おい!」

ジェスターがすたこらさっさと走ってしまった。

とにかくあのまま放置していてはまずい気がする。
すぐに追いかけようとした所で誰かに肩を掴まれた。

キュピル
「何だ?」
少し小太りの人
「きみ、ちょっとええ話があるんやけど。聞いてみんか?
この勝負の必勝法や・・・」
キュピル
「必勝法・・・?」

必勝法・・・。とりあえず聞くだけいいかもしれない。

少し小太りの人
「わいの名前は船井って言うんや。お前さんは?」
キュピル
「キュピルだ」
船井
「キュピル?変わった名前してるんだな。それはいい。
必勝法。どや、聞いてみないか?」
キュピル
「まぁ、聞くだけなら・・。」
船井
「クク、このゲームには裏があるんや・・」
キュピル
「裏?」
船井
「そう、裏だ。キュピル、じゃんけんであいこになったらカードと星はどうなる?」
キュピル
「む、確か・・。カードはそのまま消耗され星の移動はなし・・・。
・・・もしや」
船井
「お、気づいたようだな。そうだ、お互いにあいこで消耗するんや。
そうすれば船での利子は残るがシャバの借金は無くなって結果的に大儲けになる!
どや、この作戦。」

確かにこの作戦はおいしい・・・。
しかし気になる点がある。

キュピル
「しかし何故このようなおいしい話を教えた?」
船井
「簡単なことや。これを実行するには二人必要なんや。
わいも一人やしお前さんも一人や。どや、わいと手を組んでカードを減らさんか?」
キュピル
「うーむ・・しかし実は俺には連れがいて・・・」
船井
「連れ?あー、なるほどな。じゃぁわいから頼む。この作戦。ちょっと手伝ってくれや・・!
わいとお前でのカードの消耗が終わったら連れにも教えてやって誰かに頼んで消耗すればいい。
な?ええだろ?」

確かにジェスターにも教えればいいことか。
まぁ本人は戦いたいと言うだろうが無難な選択だ。

キュピル
「わかった。やろう」
船井
「助かる!」


さっそく台に立つ。

船井
「わいはグーを出す。お前さんもグーを出すんだぞ」
キュピル
「分かった」

二人ともカードを一枚取り出す。

キュピル
「チェック」

カードを確認する。

船井
「セット」

カードを台に置く。

キュピル
「オープン!」

二人ともカードをめくった。
互いにグーのカードが出た。

船井
「よし、この調子でどんどんやっていこう。利子が増えても困るからな」
キュピル
「だな」

その後も坦々とカードを消耗していった。

キュピル
「(しかしラッキーだったな・・・。こんないい作戦が聞けたとは・・・。
早く消耗してジェスターにも教えないと・・・)」

借金280万チャラ。しかし急がないと利子がそれを上回る。
10分で三割・・。俺らは二人合わせて二千万借りてるから10分で60万の利子がつく。
40分までならギリギリ得だが50分経ったら完全に赤字だ。
しかし20分もあれば簡単に終わる作業だ。

キュピル
「・・・・・。いや、まてよ・・・」

カードを消耗してる最中に気がついた。
ジェスターがもし他の人との勝負に負けて星が減っていたら?
減っていたらこの作戦は通用しなくなる。

鼓動が速くなった。

キュピル
「・・・まずい。急がないと」

8戦目に差し掛かろうとしていた。
だが異変が起きた。

船井
「オープン!」

二人ともカードをめくった。
キュピルのカードは。チョキ。
船井のカードはグー

キュピル
「・・・・え?」
船井
「あちゃー・・!!やってしもうた!!すまん!カードを見間違えてしまった・・!!」
キュピル
「え、あ、あぁ・・・」

一瞬びびってしまった。
黒服を着た人がキュピルから星を一つ奪い取り船井に渡した。

船井
「次、わいがチョキだすからお前さんはグーを出してくれよ」
キュピル
「わかった」

二人ともカードを台にセットした。

キュピル
「オープン!」

キュピルのカードはグー。


船井のカードはパー



ざわっ・・ざわっ・・
 

                 ざわっ・・・ざわっ・・・。

キュピル
「・・・・!!!?
おい、これはどういうk・・」

続きを言おうとした所で船井が笑った。

船井
「ククク・・。簡単。お前は騙されたんや。ごちそうさん」

そういって船井がキュピルから離れた

キュピル
「ちょっとまて!!」

頭に血がのぼりキュピルが船井に掴みかかろうとした。
その時横からジェスターが突進してきた。

キュピル
「いてっ!!」
ジェスター
「キュピルーーー!!」

横に倒れる。

キュピル
「なんだよ、ジェスター。悪いが俺いまちょっと頭に来てるぞ」
ジェスター
「負けた!!」
キュピル
「・・・え?」

ジェスターが胸につけてる星を見せた。

ジェスター
「星一個!」
キュピル
「・・・なんだって?」
ジェスター
「星一個!カードあと五枚!」
キュピル
「ちょっとまて。」
ジェスター
「キュピルー。どう?勝ってる?星あったらちょうだい〜」
キュピル
「・・・・・・・」

憤りのない怒りだけ込上がってしまった。

キュピル
「・・ジェスター。帰るぞ」
ジェスター
「え?」
キュピル
「俺の星も見ろ。ひとつだ。カードも3枚しか残っていない。」
ジェスター
「えー。運なし〜」
キュピル
「違う!!」


思わず怒鳴ってしまった。周りがこっちをみた。
ジェスターがビクッと震え脅えてしまった。

ジェスター
「・・・何かあったの・・?」
キュピル
「・・・あぁ・・。だめだ。最近怒りっぽくなってしまった・・。
悪かった。ジェスター」
ジェスター
「うん」

気がついたら船井はもういなくなっていた。
・・・まぁ狭い場所だから探そうと思えばすぐ見つかるが・・。やめておこう。
ジェスターに何があったのか話した。

ジェスター
「酷い!私が仇打ちとるよ!」
キュピル
「いや、いいよ。それよりも・・・。
ここから復活はかなり難しいし俺も気分的にあまりよくない。
ファンから元の世界に戻るウィングを貰ったから帰ろう」
ジェスター
「うん!」

キュピルがポケットに手を突っ込む。

・・・・。

・・・・・・・・・・。


キュピル
「ない!・・・・ない!!!」


ジェスター
「え?ないって・・・どういうこと・・?」
キュピル
「ウィングがない!!」

船で落とした?休憩室か?
慌てて休憩室に駆け込む。
ジェスターも後についてきた。


==休憩室

休憩室に入った瞬間異様な空気に包まれていることに気づいた。

キュピル
「うっ、なんだこれは・・」

全員泣いてたり落胆してる・・・。
星が一つしかなくカードがない人・・・。
星が二つだがカードそのものがない人・・・。
さっきまでと違ってこの部屋は凄い重い空間になっている。

こんな中で探すのは困難だが・・・。

キュピル
「・・・・・・・・。見つけたか?ジェスター」
ジェスター
「ないよ・・・」

もしかして・・・。
船に乗る前に転んだあの時か・・?
だとしたらもう取り戻せない・・!!

気分が急に悪くなってきた。
パニックに陥る一歩手前の状態だ。

ジェスター
「キューピール?」
キュピル
「あ・・・」

ジェスターの何気ない一言で正気に戻った。

ジェスター
「ないなら最後までやろうよ?勝てばいいじゃん!私がいるからもう勝利は確定〜」
キュピル
「さっき星ひとつに減らしてきながらよく言う。」
ジェスター
「こう見えても勝ちはあったんだよ?」

ふぅーっと深呼吸する。

キュピル
「行こう」
ジェスター
「うん」

ここで下がっても意味はない。
とにかく出る。

==ホール


休憩室から出ると黒服に連行されてる人がいた。
星が0になったらしい。
かなり抵抗しているが黒服の男が三人がかりで抑えつけ
別室に無理やり連れて行った。
扉を開けた時更なる悲鳴が聞こえた。
その悲鳴を聞いた男は更に抵抗を激しくしたがすぐに別室に連れてかれた。

ジェスター
「・・・・・・」
キュピル
「・・・別室・・。いったい何があるんだ・・」

空気が変わった。
とたんに辺りが静かになった。
今のを見て皆が慎重になってしまったのだろう。

負けた後の事を誰も深く考えなかったのだ。
考えたとしても何があるか分からないから少し明るい方に考える。
しかし今別室と呼ばれる場所が恐怖に満ちた場所だということがわかった。

誰もが慎重になるのは当然だった。


キュピル
「・・・カードの減りが遅くなるぞ・・」
ジェスター
「ねーねー、そこのオジサン!!」
メガネをかけた少し老けた人
「え、お、おれ・・?」
ジェスター
「勝負!勝負しy・・」

って言おうとしたところをキュピルに口をふさがれた。

ジェスター
「がぶっ!!」
キュピル
「いてぇっ!!」
ジェスター
「勝負しようよー!」
キュピル
「馬鹿!!運武天武は危険だぞ!!」
ジェスター
「勝つ!!私は勝つよ!!」
キュピル
「星一個だぞ!?負けてみろ!!俺はどうしようもできないからな!!
・・・頼む、ジェスター。この勝負。少し考えてくれ」
ジェスター
「えー・・・」

ジェスターの勢いは弱まった。

キュピル
「すまない、勝負仕掛けておいてやはりやめていいか?」
メガネをかけた少し老けた人
「あ、あぁ・・。俺も・・。あまり勝負したくなかったんだ・・・。」

この男。カードの枚数はわからないが星の個数が2。表情からみて
あまり勝利数は少なそう。

キュピル
「そうか。それじゃ」

その人から離れた。

ジェスター
「何で戦わないの?負けるにしても戦わないと星は増えないよ!」
キュピル
「今は確実な勝利が欲しい!運武天武に身を任すのは危険だ!」
ジェスター
「じゃぁその確実に勝てる方法はあるの!?」
キュピル
「方法・・・。ジェスター、カードを見せてもらっていいか?」
ジェスター
「うん」

ジェスターがカードを渡す。残り五枚だがGが一枚、Cが三枚、Pが一枚・・。

キュピル
「な、なんだこれは・・。かなりデタラメにカード切ってるな」
ジェスター
「だって何出しても同じじゃんー」
キュピル
「バランスだよ、バランス!例えば急にCとPの枚数が減りだしてGだけが圧倒的に
残り始めた。その時にバランスを保っていれば臨機応変に対応できるじゃないか!」
ジェスター
「ふーん・・・」
キュピル
「ふーんって・・・。・・・そうだ、バランスだ・・」
ジェスター
「ん?」
キュピル
「ジェスター。勝負してる人の中で別々のカードを出した人を探してくれ。
例えばG出したその次がCだった。P出したその次がCだったみたいに重ならない人を探してみてくれ。
出来たら敵の手持ちのカードもこっそり見てほしい。もしカードが均等になってるやつがいたらすぐに
俺に教えてくれ。」
ジェスター
「わかった!」

ジェスターがドタバタと走っていった。
キュピルも該当する人がいないか探し始める。

しかし、時間が経過するだけでそのような人物はいつまで経っても見つからない。
20分が経過しイライラがし始めたその時だった。

ジェスター
「キュピル!見つけたよ!」
キュピル
「見つけたか!?」
ジェスター
「いそいで!早く!カードがGCPそれぞれ二枚ずつ均等だった!!」
キュピル
「打ち方は?」
ジェスター
「Cの次にG打ってた!」
キュピル
「バランス理論の可能性が高いな!よく見つけた!」

ジェスターがキュピルを引っ張る。
目的の人物を見つけた・・・。

しかし。

茶色の服を着た人
「チェック」

既に勝負が始まっていた。

ジェスター
「あっー!!その人は私が戦おうとしたんだよ!」
茶色の服を着た人
「うるさい、俺は今集中してるんだ・・!この勝負に勝たなきゃいけないっ・・!!」
キュピル
「ジェスター。権利は平等だ。諦めよう」
ジェスター
「うーん・・!!」

ジェスターもだいぶイライラしているようだ。
とりあえずその場から離れた。
しかし・・・。このバランス理論・・。なかなかいい戦法だと思ったのだが・・。
肝心の相手が見つからないものだ。

ジェスター
「バランス理論?なにそれ?」
キュピル
「つまりさっき俺がジェスターに滅茶苦茶なカードの切り方をしたなって言っただろ?」
ジェスター
「うん」
キュピル
「普通はカードのバランスを保とうとG、C、Pそれぞれ均等に保とうとするんだ。
その均等を保とうとする点を突くんだ。例えばG、C、P。それぞれ三枚ずつ保持してるとする。
バランス理論を持つ人がCとGを出した。そしたら次何出すと思う?」
ジェスター
「えーと・・・。バランスよくするんだよね?P!!」
キュピル
「そう。Pを出す。」
ジェスター
「なるほどー!だからさっきあんな条件つけたんだー」
キュピル
「まぁ、必ず勝てる訳ではない。しかし運武天武より遥かに勝率は高い。
だけど・・。肝心の相手が見つからないもんだな・・」
ジェスター
「うん・・・」


この限定じゃんけんが始まって40ほどが経過しようとしていた。
二人は以前星一つのままで勝負もしていない。

このままでは絶望のみ・・。
その時やたらとキョロキョロしてる人がいた。
こっちをじっと見ている・・・。目があった瞬間目線を逸らしたが・・。
何を見ていたんだ?

きょろきょろしてる奴に近づき話しかけた。

キュピル
「さっきから何きょろきょろしてるんだ?勝負しないのか?」
白い服を着た人
「そんな無理ですよ!三回負けたら地獄より恐ろしい場所に放りこまれるんですよ!!」
キュピル
「そんなこと言っちゃ最終的に時間切れで地獄行きだ。
結果はどっちも最悪だ。」
白い服を着た人
「だから、誰か一種類のカードしかなくなるのを待っているんです。」
キュピル
「・・・な、なんだって?」
白い服を着た人
「僕は・・記憶力がいいんです。
おかげで司法試験は合格したけど借金ができちゃって・・。」
キュピル
「記憶力?」
白い服を着た人
「たとえばあの人。」

白い服を着た人が誰かを指さした。

白い服を着た人
「星四つのスキンヘッドの人。六回勝負して手持ちはグーチョキパーが二枚ずつです。」

さりげなくこの人は重要なことを言っている。
他にも聞き出せるかもしれない。

キュピル
「なるほど、他には?」
白い服を着た人
「あっちの後ろ髪をしばっている人
星五つもあるけど手持ちのカードはパー四枚とグー一枚だけです。」
キュピル
「へぇー・・。記憶力凄いんだな」
白い服を着た人
「仮にも司法試験に合格してますからね
どうです?これで相手のカードが限定できれば必ず勝てるでしょう?」

キュピル
「(なるほど・・・。特に後ろ髪を縛った人の手持ちは偏っている・・・。
奴の手持ちのバランスを考えるとするなら次に出すカードもおのずと見えてくる・・・。
相手の手持ちの情報といろんな理論を混ぜ合わせれば一つの理となりうるか。
もう少しバランス理論についてまとめてみれば更に有利な戦い方も生まれるかもしれない・・)」

これはとんでもない情報を手に入れた。

キュピル
「貴重な情報をありがとう。何か礼がしたくなったがあいにく
自分で精一杯だ・・。それじゃ」

キュピルがその場から離れる。

ジェスター
「何話してたの?」
キュピル
「特定の人物の持ちカードを教えてもらった。」
ジェスター
「おー!!じゃぁ今すぐ勝負しようよ!」
キュピル
「あぁ、だがちょっとまってくれ」

少し情報を整理したい・・・。

ジェスター
「ねぇ、キュピル」
キュピル
「ん?」
ジェスター
「私・・。さっきの船井って人から受けた仕打ちを考えてたら
良い事思いついたからちょっと勝負してくるね」
キュピル
「まて、その良い事って何だ」

万に一つでも負けるわけにはいかない・・・。

ジェスター
「教えたらキュピルがやめろって言うから言わない」
キュピル
「ジェスター。あまり俺を困らせないでk・・」
ジェスター
「やるったらやる!!」

ジェスターが腹に思いっきり頭突きしてきた。
突然の行動に咽返った。

キュピル
「ぐほっ!!」

しばらく咳をしながら痛みに耐える。
気がついた時にはジェスターがいなくなっていた。

キュピル
「・・・・くっ・・。ジェスター・・・。」

ただ無事なのを祈るだけ。
・・・・・。

こうしてはいられない。このまま待ち続けていても時間切れが待ち受けているだけだ・・。
勝負をしないといけない。

キュピル
「(あの白い服を着た人から聞いた情報・・・。
確かあのスキンヘッドの男は・・。G、C、Pそれぞれ二枚ずつ持ってると言ってたな・・・)」

ということは奴はバランス理論の可能性が高い。
そのスキンヘッドを監視する。
・・・・。勝負を始めようとしている。

キュピル
「・・・・・・・・・・・」

ばれないようにチラチラ見たりして監視する。
・・・。スキンヘッドの男はCを出した・・・。相手はP・・・。
勝ちあがっている。

キュピル
「(Cを出した・・・。ということは次出すのはPかG・・・。
ということはPを出せば負けはないということだ)」

スキンヘッドの男に近づき話しかける。

スキンヘッドの男
「あら、なにかしら?」
キュピル
「(うっ、オカマ・・・。)
なぁ、俺と勝負しないか?」
スキンヘッドの男
「あらあら、お若いのに闘争心があるのねー。お兄さん気に入っちゃった。いいよ」
キュピル
「そいじゃさっそく始めよう」

とにかく勝負に持ち込む事はできた。

・・・。出すカードはP。相手はCを出す可能性が低い。
最低負けを回避でいるCでなんとか星を手に入れる・・・!

キュピル
「チェック」

二人とも手持ちのカードを確認する。

キュピル
「セット」

台にカードをセットする

キュピル
「オープン!!」

二人同時にカードをめくった。
キュピルのカードはP。
敵のカードは・・!!


G!!


キュピル
「よっしゃ!!」

ここぞという所で神様がほほ笑んだ!!

スキンヘッドの男
「あらー・・・。参っちゃったね・・・。どうしてPを出したの?」
キュピル
「直感さ」

もちろん嘘だが

スキンヘッドの男
「直感・・。直感は危ないわよ」
キュピル
「まぁ、なんとかなるさ。」

黒服の男がスキンヘッドの胸についてる星を一つ奪い取り渡してきた。

キュピル
「それじゃ」

大きな勝利。
この勝利は大きかった。

キュピル
「(よし・・・よし・・!!)」

心の中で大きくガッツポーズをとる。
その時ジェスターも帰って来た。

ジェスター
「キュピルー!」
キュピル
「ジェスター!」
ジェスター
「見て!星三つになったよ!!」
キュピル
「三つ!?」

確かにジェスターの手には星三つがあった。

キュピル
「いったいどうやって・・・!?」
ジェスター
「秘密。」
キュピル
「秘密って・・・。でも必勝法なんだろ?」
ジェスター
「ううん。ちょっと危険だけど比較的楽に勝ちえる方法!」
キュピル
「・・・その方法。教えてくれないのか?」
ジェスター
「・・・終わったら教えてあげる。」
キュピル
「秘密か」

大事な所でジェスターが秘密にしてきた・・・。
こんなこと初めてかもしれない。

ジェスター
「でも可哀想だから星一個だけ上げるー」
キュピル
「え?」

ジェスターが星を手渡した。

キュピル
「勝負なしで星を動かすのはダメなんじゃないのか・・?」
ジェスター
「黒服の人ー。いいよね?」

黒服の人がルールブックを取り出した。

黒服を着た人
「ルールにそのような規定はない。」

ジェスター
「はい、キュピル」

星が一個渡された。

キュピル
「・・・ありがとう、これで強気に戦えれる」
ジェスター
「後で何かお菓子ちょうだい!」
キュピル
「ハハハ」
ジェスター
「カードの枚数あと三枚ー。どうしようかなー」

ジェスターがカードをしげしげと見つめている。
ジェスターの残りのカードはGが一枚Cが二枚のようだ。・・Pは出しつくしたのか。
その時誰かに話しかけられた

後ろ髪を結んだ男
「お前、俺と勝負する気はないか?」
キュピル
「ん・・?」

この男は・・・。

キュピル
「(さっき白い服を着た人が言っていた奴か・・?
確か・・・。手持ちのカードはG一枚P四枚・・・)」

カードのバランスからいってPを出す確率はかなり高い。

キュピル
「勝負?」
後ろ髪を結んだ男
「そうだ。ただ俺はちょっと星ひとつの勝負は飽きちまってな。
二つだ。星二つをかけた勝負はどうだ?」
キュピル
「星二つだと?」

勝てたら・・・かなり強引に攻め入ることもできるしジェスターとあいこの勝負して
カードを減らすこともできる。
それにこの勝負。勝てない試合ではない


キュピル
「わかった、受けて立とう」
後ろ髪を結んだ男
「へへ、いいやつ見つけたぜ。そいじゃさっそく始めようか」

ジェスターが後ろで祈りながら見ている。

キュピル
「(何のカードを繰り出すか・・・)」

相手はP四枚G一枚。
・・・Pがあれば最低でも引き分けに持ち越せた。
しかしさっきの戦いでPはすべて消費。ジェスターも手持ちにはない。
勝率が高いカードは間違いなくC・・!!

キュピル
「チェック」

・・・・。
・・・・・・・。でもいいのか?
俺は今バランス理論に頼っているが・・・・。
・・・・・・・・。

後ろ髪を結んだ男
「セット」

キュピルもカードをセットした。

・・・・。その時ある考えが頭に浮かんだ。


・・・そもそも奴がバランス理論に頼ってなかったら?

もしでたらめに出していたとしたら・・・?


考えてみたら奴の手持ちは・・・P4G1・・・。Cは出しつくしているしPは出してすらいない。
・・・バランスの片鱗も見当たらない!!!

まずい、急に心臓の鼓動が速くなった。

キュピル
「ま、まってくれ。やっぱカードを変える・・・」
黒服を着た人
「だめだ!カードをセットしたら変更はできない!!」
後ろ髪を結んだ男
「・・・オープン!!」

オープンしたそのカードは・・・。





G!!!





キュピル
「・・・・!!!!!」

ぞわぞわっと感覚が逆立った。

後ろ髪を結んだ男
「どうした、早くカードを開けろ!!」
キュピル
「こ、断る!!」

こんなこと言っても無駄なのは承知。
だが言わずにはいられなかった。

黒服の男がカードをめくった。

黒服を着た男
「・・・・ほぉ。」

キュピル側のカードはC。


・・・圧倒的な敗北・・・。

すぐ目の前まで見えていた勝利。生還。
それがするりと手のひらから抜け落ちた・・・・。


ざわっ・・・


           ざわっ・・・・


胸につけていた星二つを奪い取られる。

後ろ髪を結んだ男
「へへ、約束は約束だからな。いただくぜ」

がっくりと膝をついてしまった。

ジェスター
「キュ、キュピル・・!!」

キュピル
「こんな・・・こんな馬鹿なことがあって・・・いいのか・・・?」

手に入らなければならない星の数は残り三つ。

そして二人合わせての持ちカードの残数は4・・・。
キュピルの胸の中で絶望が広がっていく・・・。

続く


追伸

カイジ編はめっさ長いです



第十一話

二人合わせて星三つ、カード四枚。この船から生還するには星があと三つ必要・・・。
そして手持ちのカードはGが二枚Cが2枚・・・。Pは尽きている。
生還はかなり絶望的。

キュピル
「溺れてしまった・・・。自分の考えに溺れてしまったのか・・・」
ジェスター
「バランス理論・・だっけ?あれだめだったの・・?」
キュピル
「自分で考えた勝率の高いと思った理論・・。その理論に固執しすぎたんだ。」
ジェスター
「うーん、よくわかんない!」

ざわっ・・・

        ざわっ・・・

キュピル
「なんか騒がしいな」

電光掲示板の近くで人だまりが出来ている。

ジェスター
「あれ・・・。キュピル。電光掲示板見てみて」
キュピル
「む?」

制限時間は残り三時間。だがカードのバランスがおかしい。

Gは140枚・・・。Cは90枚・・・。Pは153枚・・・。
・・・・。Cが凄い減っている・・・・。

どういうことだ?

ジェスター
「Cが凄い減ってるっていうことは・・・。勝負でCが出にくいってことなの?」
キュピル
「・・・・・。」

電光掲示板をずーっと見詰める。
・・・またCが減った。それも二枚。

キュピル
「・・・あいこ勝負でCだけがどんどん減っているのか・・!?」

またCが二枚減った。

ジェスター
「PとGが全然減らない!」
キュピル
「どうしてCだけが減り続けるのか・・・。」

その時横から誰かに話しかけられた。

茶髪の男
「おい、お前。」
キュピル
「え?」
茶髪の男
「Pを持ってないか?持っていたら一枚につき20万で買い取る」
キュピル
「なんだって・・?」

こいつ・・Pをなぜ買おうとしているんだ・・?

茶髪の男
「で、あるのか?ないのか?」
キュピル
「いや、ない。」
茶髪の男
「ちっ、邪魔したな」

悪態をつきながら何処かに行った

ジェスター
「何今の人?殴りたい!」
キュピル
「物騒な事言わない方がいい。・・・しかし何故あの男はPを買おうとしたんだ・・?」

星が五つあったからカードはむしろ増やさない方がいいはずだ・・。

・・・・・。

もしかして・・・・。

キュピル
「買占め・・・!?」
ジェスター
「買占め?」
キュピル
「そう。このホールにあるPを全て買いつくす。」
ジェスター
「そんなことやって何か利益あるの?」
キュピル
「大いにある。例えばPを買い占めたとする。するとこのホールには残りGとCだけのカードが残る。」
ジェスター
「うん」
キュピル
「さて、ここで問題だ。このホールでのCの数は90。Gは140。Pは今すべて買いつくした
確率から言って相手が出すカードはどれ?」
ジェスター
「えーっと・・。Gの方がいいからグー?」
キュピル
「正解。Cに当たる事は少なくなる。」
ジェスター
「でもどうしてCばっかり減るの?Gも減ると思うんだけど・・・」
キュピル
「いい質問だ。さらに問題を出そう。
Gは140、Cが90、Pは153。今手持ちのカードがGが二枚Cが二枚だとしよう。
勝ちやすいカードはどれだ?」
ジェスター
「勝ちやすいカード?・・・う〜ん・・・。今Pが一番多いから・・。C!!」
キュピル
「正解だ。Gを出してもCの方が今圧倒的に少ないからCを出し渋る人は多いはずだ。
それに対しPはCは出し渋っている状況を作っているから必然的に負けは少なくなる。
つまり今Gを出すと狙われるということだ。」
ジェスター
「でもPは買い占められてるんでしょ?ピンポイントに当たらなきゃG出した方が有利じゃん」
キュピル
「さぁ、ここが核心だ。俺らは今買占めという部分に気づいている。だけど他の人は気づいていない。」
ジェスター
「・・・・あ!」
キュピル
「そう。つまり気づいた俺らは今が一番の稼ぎ時ってことだ。一気に挽回するぞ!」
ジェスター
「おー!勝負なら私が仕掛ける!」

ジェスターがすぐに誰かに話しかけた

ジェスター
「オジサン!!勝負しようよ?」
変な服を着たオヤジ
「あ?俺か?へっ、がきんちょ。負けて泣くんじゃねぇぞ」
ジェスター
「あー。がき言った!私大人!!チェック!!」

ジェスターがカードを持った。Gを持っている。

キュピル
「(いいぞ、いけー!)」

ジェスター
「セット!」

そして・・・。

変な服を着たオヤジ
「オープン!」


ジェスターのカードはG、
相手は・・・。

Cだ!!


ジェスター
「やったーー!!」
変な服を着たオヤジ
「おいおい、まじかよ!くそやろうが!」
ジェスター
「やーい、負け惜しみー。」
変な服を着たオヤジ
「なんだと!!」
黒服を着た人
「とっとと星を渡して散れ!!」

黒服の人が制裁に入る。
見事ジェスターは星ひとつ手に入れることに成功した

ジェスター
「キュピル!やったよ!!」
キュピル
「よくやった!」

まだCは一枚ある。一気に波に乗るべきだ。

キュピル
「そこの兄さん」
若い人
「え?ぼく?」
キュピル
「勝負しようぜ」
若い人
「・・・いや、困るな・・・」
キュピル
「何故?」

若い人がためらう

若い人
「だって・・・。星二つ・・。カードは一枚しかないんだ・・・」
キュピル
「それなら尚更勝負時じゃないか」
若い人
「どうして?負けたらゲームオーバーなんだよ!?」
キュピル
「よく考えてみろ、このままダラダラと勝負を先延ばしにしてみろ。
勝負する人は確実に減っていくし星の流れはもっと早く減っていく!
それに金利だってどんどん増えていく。それでも先延ばしにする気なのか?」

キュピルの言う事はもっともだった。
ゲームが始まってから大体一時間10分。会場の人数は大きく減っていた。
そもそもスタート時それぞれ300枚以上あったカードが既に100枚を切った物もある。
今どれほどの速度でこのホールから人・星・カードが無くなって言ってるかよくわかる。

キュピル
「ためらう人ほど勝機を逃していくんだ!」
若い人
「・・・わ、わかったよ。でも・・」
キュピル
「さぁ、始めるぞ」

強引に勝負に引き込んだ。

キュピル
「(俺の星は一つ・・。ここで負けたら別室行きは確定・・・。しかし、Pが買い占められている今。
Gを出せば負けはない・・!!)」

キュピル
「チェック!!」

カードを確認する。このGに・・かける・・!

キュピル
「セット!」

お互いセットする。

キュピル
「オープン!!」

キュピルのカードはG。相手は・・・・。


C!!


キュピル
「よっしゃあぁぁ!!」
若い人
「そ、そんな・・!!俺はこれからどうすればいいんだよ!!!」
キュピル
「金はあるんだろう?」
若い人
「え、3百万なら・・・」
キュピル
「その金で星三つ以上ある人からカードを買えばいい。
星三つ以上ある人ならカードは不要だ。そいじゃ」
若い人
「あぁぁぁ・・・!!!」

かなり落胆してるがこれ以上話すと罪悪感が積ってしまう。
早々に立ち去った。

ジェスター
「やったね!キュピル!!」
キュピル
「あぁ、星はこれで二人合わせて五つ。カードは二枚。
脱出できるかも・・・し・・・」

脱出できるかもしれない。
そう言おうと思ったが肝心な事に忘れていた。

残りのカードは二枚ともC・・・。
今Cは凄い勢いで減っていてなおかつあいこ勝負で消耗している・・・・。
Pは流れていない。ましてやGだって出る可能性が皆無とは言えない。

・・・・いや、しかしまてよ。

ジェスター
「このまま波に乗って星二つ手に入れちゃおう〜!」
キュピル
「いや、待機だ」
ジェスター
「えっ!?」

ジェスターが不可解そうな顔してる

ジェスター
「何でー?」
キュピル
「考えてみろ。それは今Cによる消耗試合が続いたから勝てたんだ。
今GのカードはなくなりCだけ。これで勝負してみろ。
あいこか負けで終わるぞ」
ジェスター
「えー・・・。でもPを買い占めてる人を探せば・・きっと・・!!」
キュピル
「Pを買い占めたやつか・・・」

電光掲示板を見る。瞬く間にCだけがどんどん減っていく。
しかしGもいくつか減ってきてはいる。
だがその減りは微々たるもので殆どCだけが減ってゆく。

・・・・その時。初めてPが減った。

ジェスター
「Pが減った!!」
キュピル
「あぁ、見た」

ついにPが減り始めた。


ホームレスっぽい男
「んな・・!やめろ!放せ!!」
黒服を着た人
「黙れ!おとなしく別室へ行け!!」

誰かが別室に連れていかれる。

別の場所でも誰かが別室に連れて行かれるのを目撃した。

キュピル
「・・・ずいぶんと急に別室に連れて行かれる人が増えて言ったな」
ジェスター
「・・・あ!あの人も別室に連れてかれてる!!」

突然凄い勢いで別室に連れて行かれる人が増え始めた。
一人。また一人。2分置きに別室につれてかれてる人を目撃する。


ざわ・・・・

        ざわ・・・・


キュピル
「会場から・・・。一気に人がいなくなってゆく・・・」





ざわ・・・・

        ざわ・・・・


電光掲示板をチェックする。
・・・

キュピル
「PとGばかり減ってゆくぞ・・!?」
ジェスター
「Cが全然減らなくなってきたね」

その時、誰かから話しかけられた。

目つきの鋭い男
「お前、俺と勝負しないk・・・」

っと、言われた時口をつぐまれた

目つきの鋭い男
「おっと、わりぃ。やっぱやめにするわ」
キュピル
「え?なぜ?」
目つきの鋭い男
「どうだっていいだろ。じゃあな」

そういって男は戻っていった。
しかしキュピルはしっかりと相手の星の数を確認した。

星7・・・。

かなりの数だ。
しかし男はいったいなぜ俺に勝負を仕掛けようとしてそのあと断ったのだろう?

ジェスターがじーっとさっきの男を見つめている。

ジェスター
「・・・さっきの男の人。他の人と勝負を始めたよ」
キュピル
「ちょっと遠めから奴の勝負。見てみるか」

疑問に駆られながらもさっきの男の勝負の末を見つめる。


目つきの鋭い男
「オープン!!」


男がオープンした。
男のカードは・・


P!!



そして相手のカードはG




がたいのいい男
「んだぁと・・!?」
目つきの鋭い男
「へへ、星は貰うぜ」



キュピル
「見たか、ジェスター?」
ジェスター
「うん、見た!」
キュピル
「あいつはPを出した。ってことは買い占めてたやつに違いない
奴と上手く勝負をすれば確実に勝ちは拾える。問題はどうやって勝負するか・・だが・・。
ジェスター。ちょっと勝負してきてくれないか?」
ジェスター
「うん、わかった!!」


ジェスター
「ねーねー」
目つきの鋭い男
「あ?」
ジェスター
「勝負!私と勝負しようよ!」
目つきの鋭い男
「・・・・・・。だめだめっ・・!!お前さっきの男の側にいた奴だろ・・!
勝負してこいって頼まれてるのはまる見えなんだよ!」
ジェスター
「ねぇ、何でそんなに私と戦いたがらないの?何で?」
目つきの鋭い男
「どうだっていいだろ」
ジェスター
「じぃー・・・」
目つきの鋭い男
「帰れ帰れ」
ジェスター
「嫌だ!戦うまで私粘り続ける!」
目つきの鋭い男
「あのな、この際はっきり言わせてもらうぞ。お前ら大体感づいてるから俺に勝負を仕掛けることに
執着してると思うんだが俺等はお前らの手持ちを知ってるからな。Cしかねぇんだろ?」
ジェスター
「うっ・・・」
目つきの鋭い男
「お前と戦っていい事なんかねぇんだよ。帰れ帰れ」

簡単にあしらわれてしまった。

キュピル
「・・・ダメだったか」
ジェスター
「うん・・」
キュピル
「だけど会話は聞かせてもらった。奴はパーを買い占めてる事を認めるような発言をしたな。
この推論が当たっててよかった。しかし問題なのはこちらの手持ちのカードがばれてるってことだ。
・・・これは一体何で・・・」

時間がどんどん過ぎてゆく。気が付けば残り2時間5分・・・。
会場内の人数はさっきと比べると圧倒的に減った。

現段階の状況でGは64。Cは30。Pは74だ。

さっきまで一方的に減っていたCがめっきり減らなくなってしまった。
これはいったい何故だろうか・・・。
減るものの殆どはGとPの組み合わせだ。PとPはなくGとGは極稀にあった。

しかし、何よりも一番困っているのは対戦相手がいないということだ。

キュピル
「くそー・・・」
ジェスター
「こうなったら誰でもいいから勝負仕掛けようよ〜!」
キュピル
「忘れたのか?今この状況で勝負を仕掛けても相手はGのみ。負け必然だ。」
ジェスター
「でも・・。Pの人は・・・。私の手持ち知られてるし・・・」

完全に手詰まり状態。このままではどんどん時間だけが経過してしまう。

キュピル
「はぁ・・どうすればいい・・・」
???
「よう、調子はどうだ」

三人組の男に話しかけられた。
・・・さっきの目つきの鋭い男もいる・・・。・・P買占めた連中か?

キュピル
「む・・・。一体何の用だ。」
金髪の男
「俺は品川だ・・。こいつは山城」
山城
「どうも」
品川
「それにこいつが星山」
星山
「ヒヒヒ・・」

さっきの目付きの鋭い奴は品川というのか・・。
ジェスターが警戒している。

キュピル
「それで、何の用だ?」
品川
「見回してみろ。真っ青な顔をしてるやつが大勢いるだろう。
ありゃ勝負をあきらめた顔だ。」
山城
「そりゃそうだ。なんせ俺等がPを全て買占めましてやCも30枚買い占めたもんな」
キュピル
「な、なんだって!?」

PだけじゃなくCまで買い占めてるだと・・・
予想外の出来事に困惑しか見せれない

品川
「それで物は相談だ。俺達からカードを買わないか?」
キュピル
「え?」
品川
「今お前がここでパーを買えば他の連中共に勝てる。そうなりゃPを買った分だけ
星が手に入る」
キュピル
「しかし何故そんな事を俺に?」
品川
「俺等の星を見てみろ」

全員ニヤニヤ笑いながら見せつける。
8・・・7・・・10・・・。

総計25・・!?
これだけの星を持っているなんて・・・

キュピル
「・・・なぜそんなに星を持っている?」
品川
「あ?」
キュピル
「上がるのに星は三つあればいいんだろ?前々から思っていたんだが何故星を三つ以上持つ。
そんな必要はないだろう?」
品川
「ククク・・・。ところがな・・。この船は星の売買タイムってのがあるのさ・・」
キュピル
「星の売買タイム・・?」
ジェスター
「星を・・売り買いするってこと?」
品川
「正解だ。星三つに満たない者は星が余ってる人から買う事ができるのさ。
ただし、ここの利根川ってやつは言ってないがこの星は黒服に売る事もできる」
キュピル
「黒服だと・・?」
品川
「そうだ。星の売買タイムの相場を維持するために奴は存在している。
この星を黒服に売った場合四百万手に入る」
ジェスター
「四百万!?」

ジェスターが驚く。

品川
「どうだ?これで俺等が星三つ以上持つ理由がわかっただろ?」
キュピル
「まぁ・・・」
品川
「それで、本題に戻るがお前は俺等からカードを買うか?」
キュピル
「・・・」
品川
「おっと、別に企んではいねぇーよ。もう俺等がPを買い占めてるのは
殆どのやつらが知っちまってる。だから俺等はそのカードをお前らに売って消耗しようとしてるわけさ」
キュピル
「ははん、それじゃ俺だけじゃなく全員断ったら?」
品川
「簡単な話だ。身内であいこ勝負やってカードを減らせばいい。リスクなんか何一つねーよ」
キュピル
「くっ・・・」

少し悔しい

品川
「んで、買うのか?買わないのか?一枚百万で売るぜ。
このP一枚が確実な勝利をもたらす・・・。それなら安いもんだぜ?」

これは選択に悩んだ。
買えばこの先の勝負は殆ど負けなしだ。

目の前の利益に食いつこうと思えばすぐ食いつける条件・・・。

ジェスター
「キュピル・・・。買っておこうよ・・・ね?」

しかし・・・。
はたしてこれは好条件・・・なのだろうか?
何か・・何かがぬぐえない。

・・・・・・。

キュピル
「・・・!おい、まて。品川。お前俺等意外にもカードを売ってないだろうな?」
品川
「あ?」
キュピル
「・・・お前は他のやつらにもPを売ってなかったかって聞いてるんだ」
品川
「・・・・・・・・。・・・・さぁ?俺は初めてカードを売ったが?」
キュピル
「・・・・Cだ」
品川
「え?」
キュピル
「Cも買い占めたんだろ・・・!Cを売れ!」
品川
「・・・ほぉ。こりゃ面白い事言うじゃねーか。
だがな。・・・断る」
ジェスター
「キュ、キュピル・・?何でCを買おうと思ったの?Pじゃん!今P買えばすぐ上がれるよ!」
キュピル
「売れないなら散れ。カードは買わない!」
品川
「な、なんだと?正気か!?」
キュピル
「正気だ」
品川
「ちっ、自らチャンスを泥に沈めたか。クズがっ。いくぞ」

そういうと品川と他二人がほかの所に歩いて行った
ジェスターが叩いてきた

ジェスター
「何でP買わなかったの!?自殺するの!?わああああああ!!」
キュピル
「落ち着け。ジェスター。品川をこのあともずーっと見てみろ。ただばれないようにね」

ジェスターが品川の後をこっそり目で追っていく。

・・・・・・。

・・・・・・・・・・・。

ジェスター
「あっ、他の人に話しかけた」
キュピル
「今に見てろ。Pを売りつけるぞ」

キュピルの目論見通り品川は他のやつらにカードを売り始めた。
しっかりと現金とカードを交換されたのをキュピルが見逃さなかった。

ジェスター
「ってことは・・・。今Pが一杯ホールの中に流れ始めて・・・。
Cは品川が買い占めてるから・・・。ってことは今逆にC出せば勝てるってこと・・だね!?」
キュピル
「・・・・はて・・・」

ジェスターの言う一言は確かに一理ある。
だがしかし・・・・。
何か・・・。何か違う気がする。

今Cを出せば確実に勝てる。・・・・それは・・正解だろうか・・?

そもそも何故品川はCを売らなかった?それが一番気になる所ではある。
なぜ品川はCを売らなかった・・・。
そして・・・。この突っかかる感じは・・・。

・・・・・。

茶色の服を着た人
「おい、俺と勝負しないか?」
ジェスター
「え?キュピル。勝負していい?」
キュピル
「ん、あぁ。構わない・・・」
茶色の服を着た人
「さっそく始めよう。」

ジェスターが勝負してる間もキュピルは考えていた。
今会場内はPが流れ始めてる・・・。
Cが買い占められてるということは品川から誰もが聞いているはずだ・・・。
でなければPが売れなくなり利益が減ってしまうからだ。
確実に勝てる。それを売り文句にして奴は今Pを売りさばいてる・・・。

・・・・。

・・・・・・・・・・。

待てよ・・・。もし・・・。この取引が見られていて裏をかかれたら・・・?

つまり俺たちは今Pが会場内にたくさん溢れたのを知る・・・。
だがPを買わない・・・・。なぜならCがあるから・・・。
・・・・しかし取引をしなかったってのを他の人に見られたら・・・?

キュピル
「っ・・・・!!!」

嫌な予感がした。

ジェスター
「オープン!」

ジェスターのカードはC。

相手がにやりと笑った・・・。


相手のカードは・・・・。



G!!!



ジェスター
「えっ・・・!!?」
キュピル
「!!!!」
茶色の服を着た男
「詰めが甘かったな。」
ジェスター
「何で!何で負けたの!!?」
キュピル
「ジェスター・・。さっきの品川との会話を奴に見られたんだ・・・。
そして取引しなかったのも見たんだ・・・。裏をかかれた・・・・」
茶色の服を着た男
「中々鋭いな。当たりだ。情勢に流されたな、お前。」

星を一つ奪われた。
致命的な敗北。

星が一つ減り今ある星は四つ。
しかし残りのカードは一枚。


・・・地獄の淵が今。ゆらゆらと見え始めた・・。


続く


追伸

まだまだ続くカイジ編。なげー。



第12話

あの一戦から負けて以来。ジェスターとの口数が凄い減った。
時々ジェスターが凄いにらんでくる。

ジェスター
「あの時P買えばすぐ勝てたのに・・・」
キュピル
「・・・・・」

間違っていたのだろうか・・・。
ある作戦・・奴らの魂胆が見えたと思ったんだけど・・・・。
それは気のせいだったのだろうか・・・。

ジェスター
「P買えば上がれたのに・・・」
キュピル
「・・・・・」

もう何度聞いただろうか。そのつぶやき。

キュピル
「くそー・・・」

不思議とパニックに陥らない。
人は希望を失った状態に陥るとパニックになりにくいと聞いたことがある。
今まさにその状況なんだろうか?

でもおかげで考えがよく動く。

今この状態で勝負を仕掛けて仮に勝ったとしても星は五つ。カードはない。
つまり一人しか脱出できない状況だ。
・・・一人なら脱出できる・・。

・・・・

キュピル
「(あぁ、嫌な考えはよそう)」

でも一人は脱出できる・・・。

ジェスター
「Pがあれば・・・」
キュピル
「うるさい・・」
ジェスター
「うるさい?でもこんな状況にしたのはキュピルだよ?」
キュピル
「ああ、わかってる!だから今考えてる!」
ジェスター
「偉そうにしてても実際は全然だめじゃん・・」

かなり頭にくる発言はいくつか聞こえてきている。
だけど必死に抑える。とにかく今の状況を整理しよう。

あれからかなり時間が経っている。
残り制限時間は25分
現段階の状況でGは5。Cは29。Pは10だ。

Cはいっぱい残っている。
こちらの手持ちはC一枚。
現状知っている情報はCとPは品川という連中が買い占めている・・・。
Gは恐らく何もない普通の人がカードをギリギリ持っているという形であろう。

しかしいくら考えても打開策は生み出されない。
無理だ・・・。

五分がまた経過・・・。

そしてまた五分が経過・・・。

どんどん時が過ぎていく。
だが残り10分となったその時電光掲示板である変化が現れた。

CとPが一気に減り始めた。
ホールを見回す。今人がほとんどいない。誰がやっているのかすぐ分かった。
品川達だ。
品川達がカードをあいこ勝負でカードを消耗し始めた。
二枚ずつどんどん減っていく。

だがおかしな数でピタッと止まった。

Gが5、Cが2、Pが0・・・。

・・・・?Cが2・・・?
俺たちは今Cを一枚持っている・・・・。
・・・・もしかしてカードを奇数で残してしまった・・・!?

品川達の方に目をやる。
言い争いを始めている。

それを見たキュピルの脳に電流が走る・・・!!

キュピル
「・・・・!!!ジェスター!!現状を突破する打開策を見つけたぞ!!!」
ジェスター
「え!?」
キュピル
「だが時間がない!情けなくてどうしようもない俺だが頼む!!今は俺に従ってくれ!!」

突然のキュピルの行動。
流石にジェスターもびっくりしたのかうなずいた。

ジェスター
「何をすればいいの・・・!?」
キュピル
「グーを金で全部買い占めてくれ!!!
もし買取を渋ったら『星を大量に獲得して君たちに配れる可能性がある!』って言ってくれ!」
ジェスター
「え!?そんな方法があるの!?」
キュピル
「とにかく急いでくれ!」
ジェスター
「わ、わかった!」

ジェスターがどこかに走って行った。
キュピルもまだホールに残ってる人たちに話しかけ始めた。

キュピル
「君、Gのカードは持っていないか!?」
顔面蒼白な男
「え・・・。一枚・・・あるっすけど・・・」
キュピル
「それを売ってくれ!3百万出す!!」
顔面蒼白な男
「・・・・だけどそんなことしたって今更結果が変わらないし・・・」
キュピル
「いや、変わる。あの品川ってやつを出しぬいて星を大量に獲得できるかもしれない・・!
そうしたら君たちに星を配れるかもしれない!!」
顔面蒼白な男
「な、なんだって・・・?それは本当か?」

男が食いついた。一気にたたみかける

キュピル
「そうだ!君は星ひとつ。このままただ待っても別室行きは変わらないだろ!?
それなら望みを俺に託してくれ!!」
顔面蒼白な男
「・・・わ、わかった・・。君に託す・・・。だが君の後をついてっていいか・・・?」
キュピル
「構わない!」

無事Gのカードを一枚手に入れた。
同じような呼びかけでまたGのカードを一枚・・・また一枚手に入れる。

手元に三枚集まった。

ジェスター
「キュピルー!二枚手に入れたよ!!」
黒いジャンバーを着た男
「必勝法があって俺たちに星を配れる可能性があるって聞いた・・!」
ハチマキをまいた男
「本当なのか!?」
キュピル
「ああ!」

ジェスターの後をついてきたようだ。
Gのカードを二枚受取これで五枚・・。今このホールに残ってるGのカードがすべて集まった。
品川達の元に行く。



品川
「誰だ!こんなヘマしたやつは!!」
山城
「それはてめぇにも言えることだろうが!」
星山
「そうだそうだ!カードを全て持っていたのは貴様だろうが!!」
品川
「くそが!!」

完全に品川の方に非がありそうな言い争いになっていた。
だがそこにキュピルが割って入りこんだ。

キュピル
「話し合いの途中悪いが勝負を申し込みに来た。」
品川
「ああ?」

品川が何か言い返そうとしたがキュピル達の後ろにたくさんの人がいて少し怯んだようだ。

キュピル
「お前らは今カードが一枚だけ残ってしまい上がるにも上がれない状況・・!!
だったら俺たちと勝負して消費すればいい」

品川達にはかなり都合のいい話だったようで食いついてきた。

品川
「・・・ふん、不満だがそうしよう。チェック入るぞ」
キュピル
「待て」
品川
「なんだ?」

時間は残り五分・・・。
とにかく急いで話さねば・・・

キュピル
「星の賭け数だ・・・」
品川
「ふん、そんなことか。星二つか?三つか?」

キュピルがとんでもないことを発言する

キュピル
「16だ・・!」

品川
「16だと!?」



ざわっ・・・・

     ざわっ・・・・



品川
「ふざけるのも大概にしろ!!16だと!?そんな勝負受けるとでも思ってるのか!?」
キュピル
「当然だ!」
品川
「おい、そこのでくの棒!俺と勝負しろ!勝負してくれたら星三つやる!!」
キュピル
「ハハハ、品川。俺のカードを見ろ」
品川
「あ?」

キュピルが六枚のカードを見せる。
Gが五枚、Cが一枚・・・。
・・・・つまりキュピルは品川の持っている一枚のカード以外。すべてを手にしていることになる。

キュピル
「今お前以外にカードを持っているのは俺だけだ!」
品川
「んなばかな・・・。買い占めたというのか!?」
キュピル
「星を16手に入れたら配るという条件のもとでな」
品川
「だがそれでも俺は受けねぇ!!星がなくちゃあがれないのはお前らも同じだ!!」
星山
「・・・う、うわあぁぁ!!」
山城
「く、くそぉぉぉ!」

星山と山城が品川を置いて逃げ始めた。
このままカードを持ってる品川を置いて先にあがるつもりだ!
そうなれば星16は手に入らない

キュピル
「誰か取り押さえてくれ!!」
ハチマキをつけた男
「俺は元陸上部だったんだ・・!!待て!!」
ジャンバーを着た男
「俺はアメリカンフットボールをやっていた!!喰らえ!!」

逃げる二人を見事タックルや服をつかむなどして取り押さえることに成功した。
今完全にキュピル側は連携が取れている。

だが残り三分。

キュピル
「俺等はもともとお前が承諾しなければ地に落ちる運命だ。
となればもう地に落ちているのも同然。つまり俺たちは条件を変える気はない。」
品川
「あほか!!お前らの足りない星の個数を合わせれば12・・!!
普通16じゃなくて12だろうが!!」
キュピル
「そろそろ準備運動しておくかな・・・」
品川
「何の準備運動だよ・・・!」

キュピルが指の骨をポキポキ鳴らす。

キュピル
「俺はこうみえても武術かなり極めている方だ。
・・・・・・ただの一般人のお前なんか速効で殺せるぞ

そういって近くの台を思いっきり蹴りつけた。台が大きく吹っ飛んでバラバラに壊れた。

黒服
「お、おい!!やめんか!!!」

アノマラド大陸ならこのぐらいは誰でも出来る。だがこの世界ではそうではないらしい。
誰もがが身震いし、恐怖で顔が引き攣る。
それは品川も同じだったようだ・・・。
別室は確かに死同然・・。だが本当にそこに死が待っているのかは分からない・・・。
もしかしたら生きている可能性がある。
そんな僅かな可能性があるのに対してキュピルと共に地に落ちたら確実な死が待っている・・・。
これには流石の品川も屈伏せずにはいられなかった。

品川
「くそ・・・・くそぉぉぉぉおおおお!!!!」

・・・ついに品川が折れた。
星16の勝負が始まった。
キュピルの出すカードが当然G。

キュピル
「チェック」

品川
「セット・・・」

品川の目が涙ぐんでいる。

キュピル
「オープン」

キュピルのカードはG。
品川のカードはC。

星16というとんでもない個数を手に入れた!!

ジャンバーを着た男
「いよっしゃあぁぁぁぁあああ!!」
顔面蒼白だった男
「やった・・・やったんだ・・!!!やったああああ!!」

歓喜乱舞。
全員が奇跡の生還に歓喜し涙する。

黒服
「星16だ。・・・だが次から台は壊すな。いいな」
キュピル
「わかりました、気をつけます」

黒服から星16個受け取る。
それをみんなに配る。

星が四つだけ余ったが皆星を三つ手にした時点で急いで上がりとなる2Fに走って行ってしまった。

キュピル
「ジェスター。G二枚だ。引き分けでカードを減らすぞ」
ジェスター
「うん!」

キュピル
「チェック」
ジェスター
「セット」
キュピル&ジェスター
「オープン!」

引き分け一回とキュピルの敗北一回。
だが星は余ってるし仮にジェスターが余った星を持っていたとしても返せばいい。
二人も急いで2Fに駆け上がる。

黒服
「残り10秒!!」
キュピル
「いそげ、ジェスター!!」

急いで階段を上る。

5・・・


4・・・・

3・・・・




2・・・・




1・・・・。



0!!!!



爆音とも言えるブザー音がホール内で響いた。



キュピル
「ぜぇ・・・はぁ・・・」
ジェスター
「はぁ・・はぁ・・・。こ、こわかった〜・・・・ぐすん・・」

ギリギリの所で星三つを黒服に渡し無事上がれた。
生還した!!

黒服
「お前は星が余っているな。ルールで一つ四百万で買い取る事になっている。
向こうで手続きや決算を済ませろ。」
キュピル
「はぁ・・・はぁ・・。・・・わかった」

息を整え気持ちを落ち着かせる。



==ホール

利根川
「・・・ほぉー・・。面白い事があったようだな・・・。
星16一気に奪うか・・・。品川という奴も爪があまいな・・。」
黒服
「それで、いかがいたしましょう・・・?」
利根川
「全員別室へ行くか二階へ上った。ホールに誰もいないなら星の売買タイムはなしだ。以上」


船は今港へと向かっている・・・。

==30分後・・・


見覚えのある港に降り立った。雨はあがっている。
手元に一枚の紙が残った。決算書だ。

借りた資金に利子を上乗せして請求額は4千万。
だが余った資金と売った四つの星を合わせても四千万には到達しない。
・・・残念ながら赤字だ。

ジェスター
「どうしよう・・・この赤字・・・」
キュピル
「・・・元の世界に帰ろう」
ジェスター
「え?」
キュピル
「元の世界に帰れば次元が違う。ちょっとあの人たちには悪いけど踏み倒すよ。」

そういってキュピルはあるものを探し始めた。

キュピル
「うーむ、この辺で落としたと思うんだが・・」

知らないやつが使ったらかなり面倒なことになるが・・・。
あんまり人気のない場所だったから多分残ってると思うが・・・。

キュピル
「お、あった・・・。」

無造作に一つ置かれていたが心底ほっとした。
・・・でも一つ地味に気になっていることが残っている。

キュピル
「・・・なぁ、ジェスター」
ジェスター
「んー?」
キュピル
「あの二つの星・・・。普通に勝負で勝ったのか?」
ジェスター
「二つの星?」



ジェスター
「キュピルー!」
キュピル
「ジェスター!」
ジェスター
「見て!星三つになったよ!!」
キュピル
「三つ!?」

確かにジェスターの手には星三つがあった。

キュピル
「いったいどうやって・・・!?」
ジェスター
「秘密。」
キュピル
「秘密って・・・。でも必勝法なんだろ?」
ジェスター
「ううん。ちょっと危険だけど比較的楽に勝ちえる方法!」
キュピル
「・・・その方法。教えてくれないのか?」
ジェスター
「・・・終わったら教えてあげる。」
キュピル
「秘密か」

大事な所でジェスターが秘密にしてきた・・・。
こんなこと初めてかもしれない。



ジェスター
「・・・あー。あれ?」
キュピル
「考えてみたら最初からその戦法使えば今頃大金持ちだったかもね。ハハハ・・」

苦笑する。

ジェスター
「あれね・・・。キュピル・・。怒らないでほしいんだけど・・・。
あの星・・・。騙して盗った物なんだ・・・

笑いが止まった。

キュピル
「・・・騙して盗ったもの・・・?」
ジェスター
「キュピルが船井って人にやられたのと同じ戦法使ったの・・・。
あいこでカードを消耗すれば勝てるよ!って。協力してあげるって言って・・・。
グー出してねって言って私はパーを・・・」

騙し・・・。

キュピル
「・・・・その人は?」
ジェスター
「わからない・・。でも上がった人たちの中見たけどいなくて・・・。
キュピル・・。怒らないで・・・?」

けど怒る気にはなれなかった・・・。
犠牲・・とでもいうべきか。

最近綺麗事ですべて済むような場所にいるのではないと・・。
ちょっとずつ適応力というか慣れてしまったというか。

・・・・・・。

キュピル
「(俺も黒くなってきたな・・・・。悪い事をしなきゃ生き残れないのも事実だったし・・・。
しかしそれを叱るほど俺はジェスターに頼られていないのかもしれない・・・)」



あの船の中で一瞬ジェスターの本性を聞いてしまった・・・。



ジェスター
「キュピル・・・・?」
キュピル
「とにかく帰ろう。黒服が近くにいちゃ落ち着きやしない」
ジェスター
「うん!」


水にぬれたウィングを使用した。


ものすごい光に包まれた・・・・。



再び目をあけるとそこは・・・。




冬の山にいた。


続く


追伸

次回いよいよあれです。



第十三話


自宅に帰ろうとウィングを使ったはずが突然冬の山に飛ばされた二人。


ジェスター
「さ、寒い!」
キュピル
「な、なぜだ!?なぜ冬の山に飛ばされた?」

ウィングに原因があったとしか思えない。
しかし原因追求は後だ。この極寒の寒さから急いで
抜け出さないと凍結という事態もあり得る。

その時突然鋭い咆哮が鳴り響いた。
一瞬大地が揺れたかのようにも感じた。

ジェスター
「わっ!」

あまりの五月蠅さにジェスターが耳をふさいだ。
キュピルも耳もふさぐ。

キュピル
「何だ、今のは・・・」

気が付くと自分のいる場所だけ黒い大きな影が出来ていたのに気づいた。
・・・・上から何かが来る!!

キュピル
「よけろ、ジェスター!」
ジェスター
「わっ!」

キュピルが躊躇なくジェスターを思いっきり遠くに投げ飛ばし自分も慌ててどこか遠くへジャンプする。
その直後自分たちが居た場所に巨大なモンスターが降り立った
見た瞬間思わず背筋が凍った。で、でかい・・!

ジェスター
「わ!何あの敵!」
キュピル
「恐竜みたいな敵だな・・・」
ジェスター
「ファンー?」
キュピル
「ふざけてる場合じゃないかもしれんぞ!?」

その直後恐竜にも見えるモンスターが突進してきた!

キュピル
「うおぉぉっ!?」

慌てて大きく横に走って突進を交わす。
だがクルッと回って再び突進してきた!

キュピル
「だめだ!武器も防具もない状態では戦えない!
とても素手で倒せる相手ではない!」
ジェスター
「じゃぁ、どうするの!」
キュピル
「ぐわっ!」

後ろから追ってきたモンスターにそのまま轢かれ、かなり致命傷を負う。
足・・・。いや、他の所の骨も骨折したか・・・?
動こうにも激痛が遅い立ちあがることが出来ない。

ジェスター
「キュ、キュピルー!!」

モンスターがジェスターめがけて突進する。

ジェスター
「わ、わああああ!!」

そのままモンスターの突進をまともに食らい崖から転落してしまった。
獲物を見失ったモンスターは再びキュピルの方に向き直る。
ゆっくりと近づいてくる・・・。

キュピル
「ぐっ・・!」

ポケットに何か入っていないか探る。
・・・・。くっ、武器という武器は全部黒服に持ってかれてしまった・・。
どうすれば・・・。

その時目を焼きつくような眩しい閃光が辺りを覆った

キュピル
「うわっ・・!」

その光にモンスターも驚いたらしく、何もないところで暴れ始めた。
すると鎧を着た人がキュピルの元に駆けつけてきた。

鎧を着た人
「おい、大丈夫か。そんな私服でよくここまで来たな。
早く、こっちに来い!ここは危険だ!」
キュピル
「悪い・・!足が折れたようだ・・・」
鎧を着た人
「なんだって?ほら、肩貸してやる。急げ!」

鎧を着た人に肩を貸してもらい急いでその場から離れる。

キュピル
「今の光は何だ・・?」
鎧を着た人
「閃光玉だ。モンスターの目をくらませる便利な道具だ。だが、そろそろ奴も正気に戻る。」

モンスターが正気に戻る前に何とかその場から離れることに成功した。



鎧を着た人
「もう大丈夫だ・・・・って、何だよ。気絶してるのかよ。しょうがないな、村まで運ぶか・・・」






==どこかの村



キュピル
「む・・・ぐ・・・。・・・いてて!!」

目が覚めた瞬間起き上がろうとしたが足に激痛が走り
再び横になってしまった。

「おう、起きたか」

ちょっと離れた箱の前で青年が立っていた。

キュピル
「・・・さっき助けてくれた人ですか?」
青年
「ああ、そうだ。・・・っしかし驚いたぞ。私服であんな雪山にティガレックスに追われていたんだからな」
キュピル
「ティガレックス?」
青年
「飛竜種のモンスターだ。知らないか?今この付近で陣取っててかなり危険な地区なんだが・・」
キュピル
「・・いや、全く知らない」
青年
「そうか。まぁ怪我が治るまでゆっくりしてるといい」

そういうと青年は自分の使っている武器を砥石で研ぎ始めた。

キュピル
「・・・・・・はっ、しまった!!」

またバッと起き上がるが痛みでまたすぐ横になった。

青年
「ん、どうした?」
キュピル
「俺の仲間があのティガレックスに襲われて崖に転落して・・」
青年
「崖に転落だと?・・・厳しいラインだな・・・。」
キュピル
「厳しいラインだって?」
青年
「ああ。あんな雪山に怪我を負った状態で崖から突き落とされちゃ・・・。
ただ崖の下は柔らかい積った雪がある。
落ちても歩ける状態だったら希望は高い。崖の下は暖かな気候で小さな集落がいくつかあるからな」
キュピル
「ふむ・・・。」

そんな絶望的・・・っていう感じはしない。
青年の言う通りなら十中八九ジェスターは生きている。
・・・あとは自分で食べ物を探して水を探して飲んでいるか・・・。
それだけが気がかりだ。

一旦ベッドから降り立ち上がろうとする。
・・・痛みこそはあるが立てた。そして少しだけなら移動もできた。

青年
「なんだ、骨折れてないじゃないか」
キュピル
「いてて・・・」

それでも痛いのは痛い

青年
「ヒビは入ってるかもしれないな。今そんな状態で救出しにいってもミイラ取りがミイラになるだけだ」
キュピル
「ぬぅ・・」

青年の言ってる事は最もだ。
一旦落ち付いて再びベッドに座る。

キュピル
「・・・・そうだ。申し遅れたけど俺の名前はキュピル。助けてもらって感謝してる・・」
青年
「俺の名前は アディール だ。この村でハンターをやっている」
キュピル
「ハンター?」
アディール
「モンスターを狩る仕事さ。村に被害を与えるモンスターを討伐したり
時には捕獲、時には貴重なアイテムを採集したり。まぁ野に出かける仕事なのは確かだ」
キュピル
「ハンターか・・・。あのティガレックスとか言うモンスターも狩るのか?」
アディール
「ああ、狩れる奴は狩っている。・・・・だがうちの村は小さいからな・・。
武器も防具も中途半端なものしか作れなくて。悔しいけど俺実力ないから討伐したことない」
キュピル
「ふむ・・・」
アディール
「足が治ったらこの村の施設とか色々紹介するよ。
君は見た感じ武器も防具も身につけてないが商人なのか?」

ここは・・。この人たちが言うあの職業を言ってみるか。

キュピル
「俺もハンターだ」
アディール
「ハ、ハンター?」
キュピル
「ああ、訳ありで武器も防具も置いてきちまったけどね・・・」
アディール
「・・・ほぉー・・・」
キュピル
「・・・なぁ、君はハンターなら仲間を救う事は出来る?」
アディール
「救出作業か?」
キュピル
「ああ・・・」
アディール
「一応やれるぞ」
キュピル
「・・・・厚かましいのは承知している・・。俺の仲間を探してくれないか?」
アディール
「そうだなぁ・・・キュピル、君もハンターなんだよな?」
キュピル
「非力ながらも一応ハンターだ」
アディール
「それなら俺と一緒にあのティガレックスを倒さないか?一人では辛くても二人なら行ける気がする」
キュピル
「・・・正気か?」

あのモンスターを思い出すだけで冷汗をかきそうだ。

アディール
「ああ。そのついでに仲間を探してあげよう。奴の生息地域は君を見つけた場所と近い。
仲間を見つけられるとすればその近くにきっといるだろう。
俺も仕事があるからずっと探すわけにはいかないが仕事ついでに探す事は約束する。どうだ?」
キュピル
「だが武器と防具が・・」
アディール
「任せろ、近くに鍛冶屋があるんだ。そこで武器と防具を揃えればいい。
金は出世払いにしてやるよ。ハハハ」

・・・今、全く動けない状態なのにジェスターを探す約束をしてくれた。
この条件なら呑んでもいい。むしろ好条件だ

キュピル
「わかった。よろしく頼むよ。アディールさん」
アディール
「呼び捨てで構わんよ。その代り俺も呼び捨てで呼ばせてもらうけどな」

握手をする。彼の手は大きかった・・・。

アディール
「よし、そいじゃさっそく雪山で狩りでもすっかな。その仲間とやらも探して置くぜ。
特徴とか名前は?」
キュピル
「名前はジェスターだ。大体このぐらいの身長で見た目は・・」

さらさらっと髪にジェスターの姿を書く。

アディール
「・・・また珍しい容姿してるな。はぁー、なるほど」

紙をマジマジとみる。

アディール
「これだけ目立つ容姿してるなら見つけやすいな。そいじゃ、俺は言ってくる。
キュピルはベッドで休んでて構わない」
キュピル
「ありがとう」

そういうとアディールは自分の家から飛び出していった。
・・・・動ける訳でもないしお言葉に甘えて熟睡させてもらうか・・。
再びベッドの上に転がると布団をかぶって再び眠りについた・・・。

もちろんジェスターの無事を祈りながら。




あれから数日がたった。


医者に診て貰った結果ただの捻挫だった。大袈裟だった・・・。
足の具合もだんだんよくなり、ようやく歩けるようになった。

しかしジェスターが見つかったっという報告はいまだになかった。




場所は変わって・・・・



==自宅


ルイ
「ファンさん!またしてもキュピルさんとジェスターさんが戻ってきません!」
ファン
「五日も待ったのに来ないとは・・・またしても何か起きましたね。
今回はトラブル尽くしですね・・」
ルイ
「どうしましょう?私もう一度行ったほうがいいでしょうか?」
ファン
「毎回毎回ウィングやマナに関係するトラブルで皆さん帰って来れないようですので・・。
今回は僕が行きます。もちろん材料は持っていきますので。
・・・それよりもルイさん・・。申し訳ないのですが借金どうにかしてください・・」
ルイ
「うっ・・・は、はい・・」
ファン
「ジェスターさんとキュピルさんは任せてください。では、行ってきます」
ルイ
「あ、ファンさん!」
ファン
「はい?」
ルイ
「・・・ワープ装置機で降り立った場所がキュピルさんのいない場所で
敵がいたらどうするんですか・・?」
ファン
「・・・・・・・。ルイさん」
ルイ
「はい」
ファン
「やっぱり来てください」








アディール
「ここが雑貨屋だ。」
おばさん
「あらま、あなたが噂の裸のハンターさん?」
キュピル
「は、裸?」
おばさん
「私服でモンスター狩りに行くことを裸って皆言うのよ。
よく生きてたわねー・・・」
キュピル
「ま、まぁ・・・。予期せぬ出来事でして・・・」
アディール
「薬とかはここで買うといいよ。その隣が鍛冶屋だ」

厚着の職人
「よっ、あんたが裸のハンターさんか。話は聞いてる。
ほら、装備だ」

鍛冶職人の人はいきなりドンと装備を出した。

厚着の職人
「アディールから話は全部聞いてるよ。礼はアディールに言うんだぞ」
キュピル
「助かるよ。俺も私服でモンスター倒せるとは思えないからね・・・」
アディール
「さて、武器なんだが・・。キュピル。君は何の武器を使っていたんだ?」
キュピル
「剣だ」
アディール
「剣?剣は剣でもさまざまな種類があるんだが・・・。
大剣とか片手剣、太刀から双剣。色々ある」
キュピル
「ちょっと現物見てみないとわからないな・・・」
厚着の職人
「ほら、これがその武器だ」

今アディールが言った武器のカタログ本を見せてくれた。

キュピル
「お、これカッコイイ・・・・」
厚着の職人
「エクスキューションか?骨で作られた奴か。切れ味もそこまで悪くはないし良いと思うよ」
キュピル
「・・・アディールさん。この借金必ず返すからこれ頼んでいい?」
アディール
「呼び捨てでも構わないって言ったのに・・。構わんぞ」
厚着の職人
「素材は今回だけ特別にこっちで負担するよ。また後日来てくれ」

そういうと鍛冶屋の人は金床のある場所に戻っていった

キュピル
「ふぅー、それにしてもこの村は寒いなー」
アディール
「山にある集落だからな・・。でもここからポッケ農場と呼ばれる場所は中々暖かい」
キュピル
「お、それならぜひその農場とやらに・・・」
ルイ
「わああああああ!!」
キュピル
「!?」

突然上からルイとファンが落ちてきた。

アディール
「ぐはっ!」
キュピル
「いて!」

ほぼ真上に落ちてきた。

ルイ
「す、すいません!大丈夫ですか!?」
アディール
「・・・・・(気絶」
ファン
「ひ、久々に冷や冷やしました。下にクッションが・・・って、キュピルさんでしたか」
キュピル
「ファンで助かった。ルイはちょっと重いかr・・」
ルイ
「今聞き捨てならない台詞が聞こえた気がしますけど!!」
キュピル
「銃器の事だ銃器」
ルイ
「そ、そうでしたか。アハハ・・・」
ファン
「・・・それで、この人は誰ですか?」
キュピル
「アディールと言って・・・って、気絶してる!ちょっと彼の家まで運ばないと!」
ルイ
「分かりました・・・。ところで、ここの世界はどういう世界ですか・・?また滅茶苦茶な人とか妖怪とか・・出ます?」
キュピル
「めちゃくちゃ強いモンスターが出る」


果たしてルイとファンはこの世界に適応できるか・・・。


続く



追伸

ちょっと短くてすいません。



第十四話

突然ルイとファンが天空から落ちてきた。

キュピル
「親方ー!天から女の子と生物が!!」
ファン
「そのネタはやめなさい」
キュピル
「・・・ハイ」



==アディール家

アディール
「く・・首が・・・」
ルイ
「完全に首の筋を痛めてしまいましたね・・・」
キュピル
「これは・・・治療に幾分が時間かかりそうだな」
ファン
「とりあえず首をテープで固定させてしばらく動かさない方がいいです」
アディール
「なぁ、キュピルよ。こいつらは誰なんだ?」
キュピル
「俺の仲間だよ。」
アディール
「そんなかにジェスターとかいう子も混ざっているのか?」
キュピル
「いや、ジェスターは・・このなかには」
ルイ
「ん?ジェスターさんがどうかしたんですか?」

そういえばまだ言ってなかった・・・

キュピル
「実は・・・」


とりあえずこれまで起きた出来事を全て説明する


ルイ
「えぇ!!雪山から落下!!何で今すぐ助けに行かないんですか!!!凍死しますよ!!」
アディール
「あわてるな。雪山の下は温かな気候だ。木の実や薬草などといったものが豊富だ。
それにポポという温厚なモンスターも存在する。」
ルイ
「モンスターがいるならなおさら・・!!」
アディール
「アホか!ポポはちょっとでも蹴られたら逃げるようなモンスターだぞ!しかも倒すのは安易!
倒した奴から肉を剥ぎ取って焼いて食う!ハンターの常識ぐらい知っているはずだろうが」
ルイ
「ハ、ハンター・・・」

もちろんルイは知らない。

キュピル
「アディールが一度落ちた場所から下に降りて捜索してくれた。
ジェスターが落ちた後はあったようだが移動した形跡もあってまだ見つかっていないんだ・・」
ルイ
「・・・水は?」
アディール
「湖がある」
ルイ
「湖の水って飲めるんですか?」
アディール
「浅瀬のはやめたほうがいいな。山とつながってる川は雪解け水だ。
そこの水はかなり綺麗で飲み水としても利用できる」
ルイ
「はぁ・・・・・それなら大丈夫そうですね・・・」

なぜか溜息をつくルイ。

ファン
「ところでキュピルさん。その足に巻いてる包帯は何ですか?」
キュピル
「あぁ・・実はティガレックスとかいう凶暴なモンスターに丸裸な状態の時に襲われてな・・。
御覧のありさまだ」
ファン
「・・・え?丸裸?」
キュピル
「剣と防具がないって意味だからな・・」
ファン
「で、ですよね。ですが足の調子はよさそうですね」
キュピル
「んむ」

ファンがキュピルの足を見る

ファン
「・・・筋痛めただけですね」
キュピル
「よくわかったな」
ファン
「最近ちょっと医療の方も勉強を始めたので・・・」
キュピル
「ファン・・。君はどこまで万能化するんだ・・・」
アディール
「ちょっと首のテープ巻くの手伝ってくれ」
ファン
「今やりますよ」

ファンがテープを巻いてる間にルイが武器の点検を行う。

ルイ
「キュピルさん。その雪山まで案内は出来ますか?今すぐ探索しますよ」
キュピル
「それはすごいありがたい」
アディール
「待った、そこの女。名前はなんていう?」
ルイ
「女って言わないでください。せめて女性と・・・」
アディール
「名前は?」
ルイ
「・・・ルイです」
アディール
「ルイか。武器は何を使っている?」
ルイ
「銃器です」
アディール
「銃器?・・・そんな小さな武器じゃモンスターは倒せんぞ」
ルイ
「な、なんですって?」
キュピル
「ルイの銃器はなめないほうがいい・・・」
ルイ
「そうですよ!」
キュピル
「(自分で言うな)」
アディール
「どこまで威力あるのかは知らんがせめてヘビーボウガンとかにしておけ」
ルイ
「ヘビーボウガン?」
アディール
「ボウガンの基本構造を用いた武器だ。弩に似てるかもしれん。
だが弾は火薬を用いて威力が向上している。重いが威力はあるぞ」

そういって装備が入ってる箱を蹴る。蓋が開き中からヘビーボウガンらしき武器を取り出した。

ルイ
「で、でかい・・・」
アディール
「昔俺が趣味で作った強力なヘビーボウガンだ。名前は青イャンクック砲だ」
ルイ
「・・・・何ですかそのかっこ悪い名前は・・」
アディール
「かっこ悪いのは認めるが威力はあるぞ。ほら、使いな」

そういってヘビーボウガンを投げた。
それをルイがキャッチする・・・が

ルイ
「わわわ!!」

あまりの重たさに後ろに倒れた。

ルイ
「お、重いー!!」
アディール
「持てないか?」
ルイ
「も、持てます!」

急いで起き上がりベルトを肩にかけて一応発射態勢を見せる。
何とか扱えそうだ。

アディール
「大丈夫そうだな。弾薬は俺の使い残しがそこの箱に入ってるから自由に持ってくといい」
ルイ
「うーん、なんか嫌な感じがあるけど使わせてもらいます」

ルイが弾薬をかばんの中に入れる。

アディール
「で、君は何の武器を使っているんだ?」
ファン
「僕ですか?・・・僕は基本戦いませんよ」
アディール
「ってことはハンターではないのか」
ファン
「そうですね。その代り後方支援はしてます。」
アディール
「後方支援か・・。それならこれはどうだ?」

そういうとアディールがまたボウガンを取り出した。しかしルイのと比べると圧倒的に小さい

キュピル
「それは?」
アディール
「ライトボウガンっていうやつで子供でも扱えるぐらい軽くて小さい。
その代り威力は皆無だけどな。でも回復薬を飛ばしたり後方支援にはうってつけの武装だ。
まぁこれはもう使わないから自由に使ってくれ」

そういってライトボウガンを置いた。

ファン
「・・・改造の余地がありそうですね。自由に弄っても大丈夫ですか?」
アディール
「そっちの知識があるか。自由にしてもらっていい」
ファン
「では」

そういって工具を取り出しガチャガチャといじり始めた・・・。

ルイ
「キュピルさん。いつでも雪山行けます」
キュピル
「肝心の俺の武器が来てないんだよな・・・。それに足がこの通りだ。
歩けるがまだ走れん・・・。」
ファン
「あ、キュピルさん。これ」

愛用の剣と使い込んでる大きな盾を渡す

キュピル
「おぉ!!ロマベ(中略)の剣!これがあれば戦える!」
アディール
「ほぉ、太刀か」
キュピル
「俺の愛用の武器だ。幾度も闘いもすべてこの武器で乗り切った」
アディール
「どれ、ちょっと見せてくれ」
キュピル
「おう」

アディールが太刀を見る

アディール
「・・・こりゃ驚いたな。随分と高価な素材を使ったな・・・。
一体何の素材を使ったんだ?」
キュピル
「・・・えーっと・・・」

普通の鉄の鉱石で普通の安物の剣からどんどん強化して・・・。
最後に修理したのはジェスターが放浪しに行って修理してもらいその時さらに強化されて・・・

キュピル
「ちょっと訳ありで覚えてない」
アディール
「ふむ。この武器なら申し分ない。きっと戦える」
キュピル
「そうか!」

ちょっと嬉しい

ルイ
「・・・ではキュピルさん。行きます?」
ファン
「ルイさん。心配なのは分りますがちょっとキュピルさんは動けませんよ」
キュピル
「一応地図は貰ってあるから使ってくれ」

そういって地図を手渡す

ルイ
「現在地はどこです?」
キュピル
「ここ。」
ルイ
「雪山は?」
キュピル
「ここ。ちょっと鉛筆でジェスターの落ちた場所と俺たちがこの場所にワープしたエリアを記しておく。」

そういって地図に記しをつけた

ルイ
「なるほど、分りました。では私はさっそく雪山に行ってきます」
キュピル
「気をつけてくれ。本当に敵は強かった」
ルイ
「大丈夫ですよ」
ファン
「自分もうちょっと弄ってから行きます」
ルイ
「はーい、そいじゃ」


ルイがヘビーボウガンを背中に背負うと勢いよくアディールの家から飛び出した。


アディール
「活気のある子だな」
キュピル
「普段もうちょっと大人しいんだけどね」
ファン
「いらついてましたよ」
アディール
「・・・俺なんか行ったか?」
キュピル
「・・・いや・・・。」

もちろんちょっと言った。




==雪山

雪山と言うが山のふもとはアディールの言う通り大変気候がよくかなり暖かい。

ルイ
「確かにこの辺に落ちたとしたら生きてる可能性は大きいでしょうけど・・・」

ルイはアディールとキュピルに苛立ちを覚えている。
なぜあんな風に平気だと断定が出来るのだろうか?
せめてもう少し不安そうにしてる姿を見せてもいいのに・・・

ルイ
「とにかく、早くジェスターさんが落ちた場所から辿って探さないと・・・」

重たいヘビーボウガンを背負いなおして雪山へと突撃していく。
地図を頼りにジェスターが落ちた場所まで進んでいく。
途中ひたすら崖を上り途中からは蔓を使ってどんどん上に上ってく。
・・・しかしかなり苦しい。腕が震える。
やっとの思いで崖を登りきる。

ルイ
「はぁ・・・はぁ・・・。つ、つかれた〜!」

バタンと地面の上に寝転ぶ。
・・・冷たい。

その時バタバタと走ってくる音が聞こえた。

ルイ
「ん?何でしょう?」

起き上がると・・・





==アディール家


キュピル
「うーむ」
ファン
「どうしました?」
キュピル
「やっぱり俺もジェスターを探しに行くよ」
ファン
「キュピルさん。今動くと悪化しますよ。心配なのは分りますがもう少し待ちましょう」
アディール
「同意。よほどの事がない限り死ぬような環境じゃないと思うんだが」
キュピル
「・・・情けない話だがジェスターはハンターじゃないから正直・・。
サバイバル環境を生きていけるかどうか不安だ」
アディール
「・・・つまり?」
キュピル
「食べ物はちゃんと作った料理しか食わないし水は水道水しか飲まん」
アディール
「・・・・・早く探しに行った方がいいと思うが」
キュピル
「・・・やっぱり」

その時厚着の服を着た鍛冶職人がやってきた

厚着の職人
「よぅっ、裸のハンターさん。お望みの武器を用意しといたぜ」
キュピル
「は、早いな」
厚着の職人
「元々この武器は加工が簡単で・・・。火を使う必要もないし骨を削るだけ。
それに大本の形がすでに出来上がっているものを使わせてもらった。
多少切れ味の不安が残るが良い武器だ。ほら」
キュピル
「・・・・ごめん。既に俺の愛用の武器がここに・・・」
厚着の職人
「な・・・」

ちょっとショックを受けてる鍛冶職人

ファン
「・・・おや、キュピルさん」
キュピル
「ん?」
ファン
「その骨の武器・・・。使わせてもらってもいいですか?このライトボウガンの素材として
使わせてほしいです」
厚着の職人
「使ってくれるなら何でもいいよ。」
キュピル
「俺も使わなくなっちまったし同意だ」
ファン
「助かります。良い武器が作れそうです」
厚着の職人
「君も鍛冶職人なのかい?」
ファン
「大体当たりです」
厚着の職人
「よかったらうちの工房使いなよ。・・・・出来たらお互いの技術交換でも・・」
ファン
「大変助かります。ぜひ使わせてください」
厚着の職人
「うちの村は小さいからな。職人仲間がいてうれしいよ」

そういうとファンと鍛冶職人はアディールの家から出た。

キュピル
「・・・・ファンの容姿って人気あるよな」
アディール
「アイルーみたいなもんだな」
キュピル
「・・・アイルー?」
アディール
「ペット」
キュピル
「あぁ・・。確かに似てる」

ってか、まんまペット・・・

アディール
「で、結局雪山行くのか?」
キュピル
「そうだな・・・。リハビリがてらに歩きでいくよ」
アディール
「そうか。俺はご覧のありさまなのでここにいる」
キュピル
「わかった。そいじゃ」

そう言ってキュピルもアディールの家から出て行った。

アディール
「やっと静かになった」




==雪山

ルイ
「ま、負けませんよー!!」

再び蔓にしがみ付いて絶壁を登り始める

ルイ
「えーい!!」

一気に勢いをつけて崖を登りだす!
ものの数分で頂上までついてしまった。
・・・が、しかし登りきる手前で止まった。

ルイ
「・・・・そぉーっと・・」

何かに警戒している。
頭を壁から出す

ルイ
「・・・まだいるよー・・・」

しばらく崖にしがみ付くルイ。
しかし腕がそろそろ限界にきていた。

ルイ
「も、もう我慢・・・できない・・」

落ちるよりせめて登る!
胴体を上に持っていく。が、敵もこちらに気がついた。

ルイ
「ヘビーボウガン!!」

武器を取り出す。
・・・しかし重くてなかなか取り出せない。
【猪】がこちらに突進してくる!!

ルイ
「わ、わ、ちょっと待って!!」

もちろん待つわけもなくそのまま敵の突進をまともに食らい再び崖の下に落とされるルイ・・・。

ルイ
「ぎゃあああぁぁぁぁぁ!!!」


雪の上に落下。
・・・でも痛い


ルイ
「う、うぅぅ・・・。もうあの猪大嫌い!!」




==雪山 ベースキャンプ


アイルー
「ここがベースキャンプだにゃ。ハンターなら自由に使っていい決まりになってるにゃ」
キュピル
「き、きみ猫なのに喋れるんだな」
アイルー
「喋れないアイルーもいるにゃ。僕たちアイルーは人語をしっかり勉強してるからにゃ」
キュピル
「へ、へぇー・・・」

ファンと似たような存在か?(違

アイルー
「はい、地図にゃ」
キュピル
「ど、どうも」

とりあえずルイに地図を貸してしまっているので再び支給品地図を受け取る

アイルー
「終わったらそこの青い箱にちゃんと戻すんだにゃ。皆物だから!」
キュピル
「あ、あぁ」
アイルー
「あと、あの青い箱に入ってるホットドリンクは持って行っていいにゃ。
ギルドからの支給品!無料!なんて響きのいい言葉なんだろう・・にゃ」
キュピル
「そ、そうだね」

必ず最初びびったような喋り方をしてしまう。
とりあえず支給品ボックスに入っているアイテムをいくつか頂戴し
地図を頼りにジェスターが転落した場所まで移動することにした。




キュピル
「・・・この崖を登らないといけないのか」

足が痛いキュピルにとって少し苦痛。
痛い足をあまり動かさないようにゆっくり登る。
最初は草原だったのにある所まで登ると雪になっていた。

キュピル
「そんなに登ったような感じはしないだが・・・。」

どこからともなく猿の鳴き声が聞こえる。
白い毛皮の猿がある地面の上にひたすら雪玉を投げていた。
こちらに気がつくと接近してきた。牙をむき出しにしたまま来ている・・。これは敵意を持っている。

刀を引き抜き威嚇としてとりあえず剣を適当に振り回す。
猿も警戒して近づいてこなくなった。
が、にらみ合ったまま。

キュピル
「くっ・・・」

足をあまり動かしたくない。
が、しばらくするとキュピルを相手にするのをやめて再びある地面の上に雪玉を投げ始めた。
そこに何かあるのだろうか?

キュピルが接近すると猿が威嚇し始めた。
が、負けじと剣をぶんぶん振り回し追い払う。
しかし今度は猿が鋭い爪でキュピルを引っ掻こうと攻撃してきた!
だが剣を前に突き出していたのでそのまま猿の胴体を突いた
流石に猿も大怪我はしたくないらしく大人しく何処かに逃げて行った。
猿がひたすら雪玉を投げていた場所まで移動する。

ルイ
「・・・うぅぅっ・・・」
キュピル
「うお、ルイ」

膨らんだ場所はルイが寝そべっていた。

ルイ
「あの崖を何回登っても猪が突進して落としてくるんです・・。
挙句の果てに疲れて気絶してたら猿に雪玉投げられてたんです・・・うぅぅ・・・」

悔しいのか少し半泣きしてる。

キュピル
「と、とりあえずルイ。そのまま埋まってると寒いだろ。起きるんだ」

ルイの手を引っ張り状態を起こさせる。

ルイ
「キュピルさん。あの崖の上には上らない方がいいです。猪がマークしてます」
キュピル
「元々足の関係でこの蔓は登れない。回り道していこう。」

地図によるとわざわざこの蔓を登らなくても洞窟を通っていけば
そのうちジェスターが落ちた場所までたどり着くようだ。
洞窟をさっそく通る




ルイ
「さ、寒い!!」

寒さに震えるルイ。

キュピル
「こりゃ寒いな・・・・」

コートを着ているキュピル。
ルイは普通の私服。

ルイ
「・・・す、すすみましょう。止まってると凍えそうです」
キュピル
「あぁ」

通り道は狭くちょっと左に逸れるとそのまま崖に落ちてしまう。
だが底は普通に見えていて白い恐竜みたいなのが群がっている。

ルイ
「あのモンスターは何でしょうか・・・?」
キュピル
「えーっと、この図鑑によると・・・」

支給品ボックスに入っていたモンスター図鑑をぱらぱらとめくる。
・・・

キュピル
「ギアノスって言うらしい。基本的に群れていて個々はそんなに強くないらしい」
ルイ
「へぇー・・・」

まるでピクニック感覚のように山を登っていく。
狭い道を通り終え上り坂を登っていく。
その途中先程よりさらに深い崖が現れた。

ルイ
「うわー・・。これはまたずいぶんと深い崖ですね・・・。ここ落ちたらもう生きて
帰ってこれませんね・・・。・・・・・」
キュピル
「別にジェスターはそこに落ちたわけではない」
ルイ
「ですよね」

何を考えているのやら。
道中に先程のギアノスがキュピル達の前に立ちはだかったが
勢いよく飛びかかってくるわりには簡単に迎撃が出来たのでたいして苦労しなかった。

登り坂が終わりとうとう洞窟の外に出た。

ルイ
「ひ・・・!さ、寒い!!!」

天候は吹雪。
雲の中にいるところをみると長い間山を登っていたのがよくわかる。

キュピル
「これが噂のホワイトアウト・・・」
ルイ
「なんです、ホワイトアウトって!寒い!!!」
キュピル
「昔登山してたことがあってその時知り合いから聞いたことがある。
山の吹雪は視界が真っ白になってどこを見渡しても真っ白な景色。
帰り道も分らなくなって危険な状態・・・それがホワイトアウトだ」
ルイ
「なるほど!しかし寒いです!!」
キュピル
「わ、わかってるって。俺も凄い寒いって」

コートを着てても全く寒さが和らがない。
次からもっと寒さ対策をすることにしよう・・・。

キュピル
「このホットドリンクでも飲んで少しは・・・」
ルイ
「ありがとうございます!」
キュピル
「ぬあぁっ!!」

ひとり言で言ったつもりがルイがもらったものだと勘違いしホットドリンクを奪い取り一気に飲んだ。
体の底から少しぽかぽかしてきた。

キュピル
「・・・・・・それ支給品ボックスに入ってたものなのに・・・」

二つあるうち一つ取られてしまった。仕方ない。自分も飲もう・・・。

キュピル
「このホットドリンク。ジンジャーみたいだな」
ルイ
「ジンジャーは体を温める作用がありますからね。
これいいですね。今度作ろうかな?」
キュピル
「料理出来るって凄いな・・・」
ルイ
「どちらかというと醸造ですね」

雪が吹雪いているのに寒くない。なんか魔法の世界みたいだ。
そんなこんなで雪山の頂上まで上り詰めた。


キュピル
「ここだ。ジェスターが落ちた場所は・・・」

今でも鮮明に蘇るあの光景。
・・・・何にも出来なかった・・・。
ルイが崖の下を覗く。

ルイ
「うーん、視界がホワイトアウトしちゃって下が全然見えないです・・・」
キュピル
「本格的な調査をするなら吹雪じゃない日が望ましいな・・・」

地図を見てもこの下の地形は書いていない。
・・・どうやら雪山にしか対応していないらしい。

ルイ
「仕方ありませんね。とりあえず今回は地形把握ということで一旦撤退しましょうか・・?」
キュピル
「そうだな・・・。俺も足がこんな状態だ。流石にまだ崖を降りるには早いし天候も酷い。
・・・まぁ、下は粉雪程度なのかもしれないが・・・」

とにかくちゃんとした装備が必要だ。
アディールがいないと厳しいだろう・・・



ドシン


その時地響きが鳴った。

ルイ
「え、何!?」
キュピル
「まさかティガレックス!?」

すさまじい咆哮が鳴った。その咆哮に二人とも耳をふさぐ。
だがこの咆哮・・・。ティガレックスじゃない・・・。
ホワイトアウトした視界から突然巨大な山猿が現れた。

ルイ
「わわ!!何ですか!あの巨大な猿は!!」
キュピル
「くっ」

急いでモンスター図鑑をペラペラめくり該当する絵を探す。

キュピル
「あった!!ドドブランゴって言うらしい!!」
ルイ
「特徴は何です!?」

そうこうしてるうちにドドブランゴがこっちに突っ込んできた!
二人とも同じ方向に避ける。

キュピル
「ええい、今本読んでる暇はない!戦って特徴を掴め!」
ルイ
「キュピルさん!足の状態は!?」
キュピル
「走れば相変わらず痛い。なるべく引き気味に戦う。」
ルイ
「ここは私に任せてください!」

ルイがヘビーボウガンを取り出し武器を構える。
弾薬を素早く装填させる。

ルイ
「当たって!」

ルイが弾を発砲する。その音はもはやバズーカに近い。
弾がドドブランゴの顔面に刺さる。刺さった後その弾は爆発した!!

キュピル
「うお、RPG7に近い弾か!?」
ルイ
「来ます!」

ドドブランゴが大きな雪玉を投げつけてきた。
ルイは素早く横に転がって回避したがキュピルはそのままその雪玉に激突する

キュピル
「ぐあっ!」

派手に後ろに吹き飛ぶ。
雪玉の中に石と土が混ざってやがる・・・・。

キュピル
「こ、このやろう・・・」

遅いながらも武器を抜刀する。
とにかく戦闘姿勢を見せる。

横でルイがヘビーボウガンを連射している。
だが怯まずラリアットのポーズをとったままこっちに勢いよく転がってきた!!

キュピル
「ええい、もうままよ!!」
ルイ
「えぇっ!?」

キュピルが剣を構えて飛び込んでくるドドブランゴに切りかかりに行った。
転がってきたドドブランゴの下を潜るように滑りこみ通りさる瞬間に刀を振った!
敵にすこしかすった。

キュピル
「案外捨て身になればどうとでもなるな」
ルイ
「危険なことはやめてください」

だが再びドドブランゴが突撃の姿勢を見せた。また突っ込んでくる・・・!

キュピル
「くっそぉ、突撃されてたまるか!閃光弾!!」

支給品ボックスに入ってた閃光玉を投げつける。
まぶしい光があたりを覆う。
ドドブランゴが大きなうめき声をあげ怯んだ!!

ルイ
「ま、まぶしい・・・!」
キュピル
「ルイ!いまだ!バンバン撃ちこめ!!」
ルイ
「はい!」

ルイが弾を連射させる。

キュピル
「うおぉぉぉぉぉ!!」

足の負担を顧みず剣を持ってドドブランゴの背中に接近する。

キュピル
「食らえ!一閃!!」

得意技の一閃を繰り出す。
返り血を浴びる

キュピル
「まだまだ!!」

縦切り、横切り、袈裟切り・・・。
とにかくやたらめったら振り回す。
良い感じに攻撃が入っていく。だが突然ドドブランゴが当てずっぽうに腕を振り回し
キュピルを遠くにぶっ飛ばした!

キュピル
「うぐえっ!!」

思いっきり顔面に直撃し派手に転がりながら遠くに吹き飛ぶ。

ルイ
「大丈夫ですか!?」
キュピル
「ま、まずい・・・。頭がクラクラする・・・」

軽い脳震盪が起きている。
顔面を叩いてハッキリさせる。ここで気絶しちゃ死ぬ!

その時ドドブランゴが再び大きな咆哮で叫んだ。
すると何処からともなく小さな山猿が一杯現れた。・・・ドドブランゴの手下、ブランゴだ!
その中に先程キュピルが軽く威嚇して突いた猿もいた。
・・・・まさか復讐なのか?

キュピル
「この小さなブランゴは任せろ。あの大ボスを頼む・・・」
ルイ
「はい!」

キュピルが再び剣を構えてブランゴを切り始める。
だが軽快なステップでキュピルの攻撃を軽々と避ける。

キュピル
「くそっ・・・。足さえ・・・」

別のブランゴが小さな雪玉をキュピルの後頭部にぶつける。
雪玉の中に小石がたくさん入っていてかなり痛い。

キュピル
「こ、こんのやろう・・!!」

頭に血が上りだす。
我を忘れ痛みも同時に忘れ無謀にもキュピルが突撃を始めた!!

ルイ
「キュピルさん!!冷静に!!」
キュピル
「くっそぉぉ!!」

大きく剣を振りかぶってドドブランゴの近くにいたブランゴを一閃する。
見事に切り刻んだ!!

キュピル
「お前もだ!!」

近くにいたドドブランゴを切りかかる。
するとドドブランゴがカウンターパンチを繰り出した。
それに直撃し綺麗にカウンターを浴びせられまたしても遠くに吹き飛んだ。
吹き飛んだ後三秒ぐらいキュピルの動きが止まった。
満身創痍。まさにそれに近い状態。
だが今の一撃で少し冷静になってきた。

キュピル
「ぬぅぅ・・・。イラだってはダメだ・・・」
ルイ
「キュピルさん!これ使ってください!!」

ルイが何かを投げてきた。
ルイの愛用の武器。ハンドガンだ。

ルイ
「それで後方支援を!」
キュピル
「ああ」

剣を収納しハンドガンを発砲する。
パン、パンと音が鳴る。
この異国の武器に驚いたのかブランゴが少し逃げ腰になりはじめた。

キュピル
「ええい、逃がさんぞ」

顔面を狙ってハンドガンを打ち鳴らす。
一発見事に顔面に当たったが普通に活動を続けてる。
その光景に今度はキュピルが怯んだ。

キュピル
「ゾ、ゾンビか!?」

狂ったようにハンドガンを連射する。
何十発も当たってようやくブランゴが動かなくなった。
だが後ろから別のブランゴが接近されてることに気付かずブランゴの鋭い爪で背中を思いっきり引き裂かれた!

キュピル
「うぐあっ!!」

背中から出血。
雪が赤く染まりだした。

キュピル
「くそっ!!うおらぁぁっ!!」

剣を抜刀しブランゴを切り刻んだ!
銃なんかより全然威力があった。

一方ルイはドドブランゴと上手く戦っていた。
奴の突進は左に転がって回避し大きな雪玉も冷静に避ける位置を見極めていた。
そして遠くからビシビシ弾を撃ち込む。
地味だが堅実な戦い。確実にドドブランゴにダメージを与えていた。
その小賢しさにドドブランゴも再び大きな咆哮をあげ怒りに我を忘れ始めた!
その咆哮に引き付けられまたブランゴが現れた。

ルイ
「き、きりがない・・・」
キュピル
「うおらっ!!」

次々とブランゴを剣で貫きまくる。
足の痛みは今完全に忘れているらしく動きが怪我していない時と同じ動きをしている。
だがその時、突然ドドブランゴが左右にステップしながらルイに突進してきた!
前触れなく突然やってきたため反応が遅れドドブランゴの下敷きになる。

ルイ
「うっ!!」

腹の上にドドブランゴが乗っかる。内臓が圧迫され吐きそうになる。
ドドブランゴが腕を上げその鋭い爪でルイの喉を貫こうとしてる。貫かれたら即死だ。

キュピル
「させねぇっ!!」

キュピルが大きくジャンプして剣を下に突きたてドドブランゴの背中を刺した!!
かなりのダメージが入ったらしくドドブランゴが暴れる。ルイから離れた!
だがあまりの痛みにルイがその場でうずくまる。
ドドブランゴが体を左右に激しくゆすりキュピルを振り落す。

キュピル
「ぐわっ」

雪の上にドサッと落ちる。
落ちたキュピルの上にドドブランゴが乗った。
さっきのルイの状況と同じだ。
重い。かなり重い。呼吸が出来ない。

キュピル
「ぐぐっ・・・」

ドドブランゴの腕が上がる。やばい、死ぬ!!
ルイはまだ横になってる。自分で何とかするしか・・・・
空いてる右腕でポケットの中をガサゴソ漁る。
何か・・・何かこの状況を打破するアイテム!!!

その時指にしびれが走った。・・・これだ!!

ドドブランゴの鋭い爪がキュピルの喉をめがけて振り下ろされる!!
だがそれと同時にキュピルの右手がドドブランゴの顔面にぶつかる!

ビリビリビリッ

激しい電流が流れキュピルを巻き込みながらドドブランゴに電流ダメージを与える!
強烈な痺れにドドブランゴが横に転がりうずくまる。

キュピル
「がはっ!ごほっ!!」

肺がつぶれたかと思った。
痺れ罠というアイテムを使った。本来地面に設置するアイテムらしい。
じゃないと自分がしびれるとか・・・。でも生きたからどうでもいい。

ルイ
「キュピルさん・・・・大丈夫ですか・・・・!」

ルイがやっとのことで起き上がった。

キュピル
「だめだ、俺も重症だ・・・」

ドドブランゴはまだ痺れてる。

キュピル
「強い・・・。撤退だ・・・撤退だ!!」
ルイ
「はい・・・!」

二人とも満身創痍な状態で急いでドドブランゴから離れる。
だがブランゴが現れ進路をふさぐ。激しく威嚇し雪玉を投げつける。

キュピル
「邪魔だ・・・どけ・・!」

剣を振り回すが一匹のブランゴが突撃しキュピルに体当たりする。

キュピル
「うぐわっ!」

キュピルの肩に思いっきりかみつく。激痛にキュピルが声にならない叫びをあげる。
それをみてルイがいよいよパニックを起こしそうになる。
完全に死を辿る一歩手前。
その時突然眩い閃光が当たりを覆った!!
全員その眩しさに目を塞いだ。

ファン
「援軍ですよ」
ルイ
「ファンさん!!助けてください!!!」
ファン
「任せてください。ですが、危険です。急いでキュピルさんと一緒にこっちまで来てください」

ファンが謎の乗り物に乗っている。
アディールがいない所を見ると一人で来たようだが・・・。

ルイ
「キュピルさん!移動しますよ!」
キュピル
「あ、あぁ・・・」

がむしゃらにファンの元まで移動する。

ファン
「これがこの世界で使われてる究極の一撃です。行きますよ!!」

ファンが珍しく大声をあげる
ドドブランゴが一気に接近してきた!!

ファン
「発射!!」

ファンの乗ってる乗り物から巨大な剣が突き出た!!
その剣がグサリとドドブランゴの刺さった!!
あまりの激痛にドドブランゴが激しいうめき声をあげ適当な地面に転がった。

ファン
「龍撃槍と呼ばれる武器がこの世界にあるらしく似たような技術で作りました。」
キュピル
「助かった・・・ファン」
ファン
「キュピルさん、ルイさん。薬です」

ファンが二人に回復薬を手渡す。
ヒーリングポーションみたいな飲み物で二人とも一気にそれをがぶ飲みする。
しばらくすると体の傷が癒えてきた。

キュピル
「よし、逃げるぞ!」
ルイ
「待ってください!」

ルイがドドブランゴを指差す。
・・・!逃げてる・・・!!

よく見ると今にも死にそうな歩き方だ。
今の攻撃が凄い効いたのかもしれない。
これは逆に倒すチャンスなのではないだろうか。

ファン
「キュピルさん。倒そうだなんて思わないでください。
今の攻撃には痺れる毒を塗っていて一時的に痺れてるだけだと思います。
逃げましょう」
キュピル
「ファンがそういうならそうしよう・・。逃げよう」

全員で雪山から降りる。
ファンの乗り物は下にタイヤがついていてそれを回して動いている。
・・・・どうやって崖登ったのか後で聞こう。

ファン
「もう一発閃光玉を」

ファンが閃光玉を投げつける。
これで完全に逃げ切れる。
全員後ろを振り向かず全力で雪山を下った・・・・。



続く


追伸

モンハン編もまた長いです



第十五話

命からがら雪山から下山したキュピルとルイ

アディール
「なんとなく予測はついていたが、まさか相手がドドブランゴだったとはな・・・
ドスギアノスぐらいには会うんじゃないかと思っていたがもっと大物だったな」
キュピル
「はぁ・・。何にしてもまたリハビリ生活だな・・・。
何とかして早く回復する方法はないものか」
ルイ
「頑張って回復魔法は唱え続けておきます」

ルイがゆっくり呪文を発し続ける。
しかしひとり言のようにぼやき続けていて傍から見ると狂った人のように見える。

キュピル
「・・・仏教みたいな感じだな・・」
ルイ
「え?」
キュピル
「い、いや。何でもない」
ルイ
「もっと上位魔法が使える人は一瞬で傷をいやすことが出来るのですが・・。
私はゆっくり回復する魔法しか・・」
アディール
「不思議な力だな・・。魔法って言うのか?この世界には存在しない技術だ」
キュピル
「全くもって不思議だ」
ファン
「キュピルさん。ルイさん。この世界には秘薬と呼ばれる薬が存在するそうで飲めば
どんな傷も完治するそうです。下のポッケ農場と呼ばれる場所で大体の素材が手に入るらしいので
ちょっと行ってきます」
キュピル
「そんな便利な薬が存在するのか」
ファン
「秘薬と言うらしいでうすね」
キュピル
「確かに名前からしてすごそうではあるな・・・頼む」

ファンがポッケ農場へ向かった。

ルイ
「ぶつぶつぶつ・・・」
キュピル
「・・・本当に魔法唱えているのか?もうひとり言のように聞こえてきたぞ・・」
ルイ
「はっ、すいません。今意識なかったです」
キュピル
「(ルイのひとり言・・・・)」
アディール
「ぬー。首がいてぇーなー・・」

しばらく三人はルイのひとり言にも聞こえる魔法を延々と聞いた・・・・。





=翌日


アディール
「ふむ、首の痛みはかなり治まったな。その魔法とやらはかなり効力あるな」
ルイ
「いえー」

その時誰かが入ってきた

厚着の職人
「よっ、ハンターさんや。良い話があるよ」
アディール
「ん?」
厚着の職人
「新しい罐が完成してね。これよりも更に上位の武器が作れるようになったよ」
アディール
「おぉ、それは凄い。さっそく俺の武器を強化してくれんか?」
厚着の職人
「素材と手間賃はいつも通りだがいいかい?」
アディール
「用意してある。今持ってく」
厚着の職人
「あいよ、さきに罐の火を吹かしておくよ」
キュピル
「鍛冶職人さんや」
厚着の職人
「ん?」
キュピル
「何か巨大な盾は作れないか?」
厚着の職人
「盾?んー・・。ランスとガンランスの盾を流用すればいけるかもしれんが・・・。
剣との相性は重すぎて良くないかもしれんよ?」
キュピル
「構わない。元々重装甲を身にまとって戦うタイプなんだ。でかい金属の盾を頼む」
アディール
「・・・おーい?手間賃と素材の負担は誰がするんだ?」
キュピル
「鉱石はなんとかしてポッケ農場から掘ってくる。手間賃は・・・。
蜂蜜一杯取ってくるから何とか勘弁してくれ」
アディール
「絶対今すぐ蜂蜜とってこいよ?」
キュピル
「おう」
ルイ
「蜂蜜怖くて採れませんよ・・。ハチすっごい怖いです」
キュピル
「・・虫苦手?」
ルイ
「少し苦手です」
アディール
「ランゴスタとかきっとダメなタイプだろうな」
ルイ
「ランゴスタ?」
アディール
「巨大蜂」
ルイ
「そ、想像もしたくありませんね」
厚着の職人
「まっ、鉱石持ってきしだい作っておくよ」
キュピル
「ありがとう」


==更に翌日


ファン
「えーっと・・・。栄養剤グレードと不死虫を混ぜて煮れば秘薬の完成ですね・・」
ルイ
「ひ、ひぃぃ!!材料に虫を入れるんですか!!?」
ファン
「虫は結構栄養価あって健康にいいんですよ。流石秘薬ですね」
ルイ
「わ、私は秘薬いいです!遠慮しておきます!!」
ファン
「翌日には完成しますから鼻つまんでググッと飲んでください」
ルイ
「いいです!ほら、もうこの時点で虫浮いてますし!」
ファン
「ルイさんの怪我は完治まであと一カ月かかります。そんなに長い間ジェスターさんが持つとは
少々信じられませんけど・・・」
ルイ
「・・・・・」

ルイが頭を抱える

ルイ
「あぁー・・・。どっちも究極の選択だー・・・」
ファン
「・・・そんなに嫌ですか」



厚着の職人
「おぉ、随分といい鉱石を手に入れたね」
キュピル
「カブレライト鉱石って言うらしいね・・・。下のアイルーが爆弾もって突撃してくれた」
厚着の職人
「あのアイルーの耐久力は凄い所があるよね。
これだけの鉱石があればいい盾が作れるよ。明日までに作っておこう」
キュピル
「助かるよ」



==更に翌日


ファン
「秘薬できあがりましたよ!三つ!」
ルイ
「飲みたくない飲みたくない飲みたくない飲みたくない・・・」
キュピル
「おし、ならば俺が先に飲もう」

キュピルが腰に手をあててグビッと飲み干す。
しばらく効果が実感できなかったが急に全身の傷が癒えはじめたったの1分で完治してしまった。

キュピル
「こいつは凄い!!体の痛みが一気に消えた!!」
ファン
「流石秘薬ですね。さぁ、ルイさん」
ルイ
「うっ・・・す、すごいのは分りましたけど・・・私は・・・」
キュピル
「寝てる時に飲ませる?」
ファン
「それがよさそうですね」
ルイ
「大きな声で堂々と言わないでください!!それぐらいなら自分で飲みますよ!」

ルイが意を決してグイッと飲む

ルイ
「・・・・うぅぅ・・」
キュピル
「何でうなだれてるんだ・・・」


ファン
「アディールさんも秘薬どうぞ」
アディール
「いや、俺はもう完治した。だが保険としていただこう」

アディールが懐に秘薬をしまう

厚着の職人
「よっ、裸のハンターさん。盾出来上がったよ」
キュピル
「頼むからキュピルって呼んでくれ。その名前は恥ずかしい」

とりあえず大きな盾を受け取る。

キュピル
「おぉぉ、こいつはかなり上質な盾だ」

少なくともナルビクなんかで売ってる粗悪な盾とは全然違う。
この盾だったらどんな攻撃も通さないだろう・・・。
全面の荒々しいデザインも気に入った。

厚着の職人
「リオレウスのブレスも防ぐ立派な盾だ。大事に使ってくれ」
アディール
「リオレウスのブレスも防ぐ盾か。そいつは凄いな」
キュピル
「よく分らないが凄いということはわかった」

約1.5mもあろう巨大な盾を左手で持つ。
・・・かなり重量がある。戦闘時以外は背に背負った方がよさそうだ。

キュピル
「よし、これで俺もルイも万全だ。今度こそジェスターを探しにいくぞ」
ルイ
「はい!」
アディール
「今回は俺もついていこう。またドドブランゴに襲われたらきっと大怪我するだろう」
キュピル
「可能性としてはあるからな・・・」
アディール
「何よりも地形に詳しい人がいなければジェスターとやらを探すのは難しい。協力する」
キュピル
「ありがとう」

アディールが探索用の荷物を背負った。
ロープやツルハシに爆弾。双眼鏡にランタン。探索に必要な物はすべてそろっている。

キュピル
「さぁ、行こう!」
アディール
「おう、準備いいぞ」
ルイ
「はい!」
ファン
「僕はあの機械に乗っていきます。」
キュピル
「そうだ、ファン。あの機械ってどういう原理で結局動いていたんだ?」
ファン
「機械の下にアイルーが一杯いて押してくれてます。」
キュピル
「・・・随分と原始的だったんだな・・」
ファン
「流石に崖登るときは凄い苦労しましたよ。ロープを結びつけて
引っ張り上げましたから。今回もアイルーを用意してから行くので遅れて行きます」
キュピル
「わかった。」

ファンを残しキュピルとルイとアディールが雪山へと向かった・・・。




==雪山 8

ティガレックスにも会いドドブランゴにも会った雪山8エリアと呼ばれる場所まで来た。
今日は珍しく雲一つない快晴だ。

ルイ
「吹雪と晴れてるのでは体感温度が全然違いますね」
キュピル
「そうだな。流石に薄着だと寒いがコートを着てるぶんなら寒くない」
アディール
「雪山が晴れてるのはかなり珍しい。運がいいな」

雪山の頂上から見る景色はかなり絶景だった。
双眼鏡を借りて辺りを見回す。

キュピル
「・・・・おぉ・・・」

小さな生き物から大きな生き物まで。
モンスターがそれぞれこの広い大地の上で自由に動き回っている。
中には捕食している動植物もいた。

・・まさに弱肉強食の世界・・・。

キュピル
「こいつは凄いな・・。溜息が出るぐらい素晴らしい景色だ」
ルイ
「私にも見せてください」

ルイも双眼鏡を覗く。

ルイ
「・・・・これは綺麗ですね・・」

ルイは主に景色のほうを見ていたようだが・・・。
そうこうしてるうちにアディールが近くに岩にロープをくくりつけ下に降りる準備を整えていた。

アディール
「おい、下に降りるぞ。ジェスターとやらはここから落ちたんだよな?」
キュピル
「ああ」
アディール
「かなり険しい断崖になってる。相当深いが途中から斜面に変わる。
そこまでロープを使って降りる。俺が下まで降りたらあとから続いてくれ」

そういってアディールが下に降りた。


ルイ
「ナルビクとかと違って本当に大自然って感じですよね」
キュピル
「そうだな・・・。基本的にこの世界だとモンスターに敵う人は少ないらしい。
・・・確かにあんなティガレックスだとかドドブランゴだとかに襲われたらそうそう生き残る人はいないだろう」
ルイ
「ジェスターさんは無事だと思いますか・・・?」
キュピル
「・・・・・。ルイ。ルイはジェスターの事どう思ってる?」
ルイ
「え?・・・それは好きとか嫌いとかそういう意味ですか?」
キュピル
「そんなアバウトな物じゃない。全体的に見てジェスターの事をどう思ってるかって」
ルイ
「えーっと・・・。・・・子供でワガママだけど可愛くて・・」

まだまだ色々言いたいだったがキュピルが止めた。

キュピル
「俺ならたった一言で言えるよ」
ルイ
「一言ですか?」
キュピル
「ああ。・・強い・・だよ」
ルイ
「強い・・ですか?」
キュピル
「どんな人間でも言われて嬉しい一言ってのはある。でもそれは人それぞれではあるが・・・。
でもその中で誰に言われても嬉しい一言がある。それが『強い』だと思うんだ。
・・・ジェスターはこの程度じゃくたばらんよ」
ルイ
「・・・ジェスターさんのことかなり信頼してるんですね」
キュピル
「もう何年もいるからな・・。四年か?でも四年とは思えないほど長くいた気がするな・・・」

キュピルがかなり遠いところを見ている。

キュピル
「・・・・。なんだか昔を思い出すな・・・」
ルイ
「キュピルさん。よく昔の事を思い出してますけど・・・決まってある部分の所に来ると
必ず思い出してるように感じます。もしかしてキュピルさん・・・」

その時下から大声が聞こえた。

アディール
「おーい!!降りてこい!」
キュピル
「今降りる!!」

大声でキュピルが返した。

キュピル
「さぁ、降りるぞ」
ルイ
「・・はい」

慎重に断崖から降りて行く二人。

ルイ
「(・・・キュピルさん、もしかして孤児院育ちですか・・・?)」




キュピル
「ふぅ、随分と長い間降りたな。ここはどの辺なんだ?」
アディール
「ここは雪山の中腹だな。ポッケ村とは反対の場所だからこのまままっすぐ進んでいたら
おそらく森と丘に出るな」
キュピル
「森と丘?」
アディール
「あぁ。ただなぁ・・。もしそっちに移動してたりしたらちょっと面倒だな
向こうにはリオレイアっていう飛竜がいるんだが今繁殖期でかなり警戒心強いんだよな・・・」
ルイ
「ジェスターさんがここからどっちに向かったか分りますか?」
アディール
「ちょっとこの辺雪が浅いのが分るか?」
キュピル
「あぁ、確かに浅いな」
アディール
「ここから向こうにかけて雪がかなりデコボコしている。つまりここから向こうに転がった、あるいは
歩いた可能性が高い。・・森と丘に続いてるな。大分歩くことになるぞ」
キュピル
「大丈夫。歩きなれている。しかしファン大丈夫だろうか。あの機械で来るとしたら
非常にめんどうな地形なんだが・・・」


一方そのころファンは・・


ファン
「はい、持ち上げてくださいー!!」
アイルー
「うんにゃああああ!!重たいにゃ!!」
アイルー2
「僕たちは雇われの身なんだから愚痴いわないにゃ!!!」
ファン
「アイルー10人じゃやっぱり辛いですねー・・・。
・・・素直にキュピルさんやルイさんに引き上げてもらったほうがよかったですね」

そっちのが圧倒的にコストも低く早いのでは、といまさら気づくファンであった。



==二時間後


アディール
「ここから雪はもうないな・・」

ところどころジェスターが通ったと思われる形跡があったのだが
ここから先は完全に雪がなくジェスターが通ったかどうか判断しにくい。

キュピル
「ジェスターのことだ。二時間も歩いて疲れてるに違いない。どっかの場所で休憩してるはずだ。
ここからすぐ休憩できそうな場所はないか?」
アディール
「ぬぅ・・・。ここは地図にも載ってない辺境の地だからな・・・少し分らん」
キュピル
「うーむ・・・・。」

キュピルが頭をフル回転させる。ジェスターならどうする・・・?ジェスターなら・・・。

キュピル
「・・・・日の当たりのいい場所に移動した可能性がある。おそらく雪山から降りてかなり寒かったはずだ」
アディール
「それはあるかもしれない。それならあの川の近くなんかどうだ?
水もあって爽やかな草原が広がっている。暖まるにはちょうどいいぞ。・・・一時間また歩くことになるがな」
キュピル
「もしその道で間違っていたらかなり大変だ。念のため三人とも分れて形跡がないか探しておこう」
アディール
「いや、それは着いてからでいいと思う。川から上流・下流それぞれ探すってのはどうだ」
ルイ
「そもそもこの時点で間違えてる可能性は・・・?」
アディール
「・・・・・」
キュピル
「・・・・・止まらない推測だな・・・。とりあえず俺たちも休憩が必要だ。川まで降りて
そこで一旦休憩しようか。そのあとアディールの言う通りにしても問題ないはずだ。」
ルイ
「そうですね、私大分歩き疲れたので・・・」

三人は森と丘の近くにある川へと向かい始めた・・・・。





ファン
「えぇっ!!この絶壁を降りたのですか!?」
アイルー
「そ、そうみたいにゃ・・・」

ロープの後がその場を語っている・・・

ファン
「・・・下は緩やかな斜面みたいなのでこのままこの機械を突き落としちゃいましょう。
スキージャンプと同じ原理で特に損害なく着地するはずです。みなさん機械の乗っちゃってください」
アイルー
「の、のったまま飛ぶのかにゃ!?」
ファン
「時間が惜しいのです」
アイルー
「なんて無謀なご主人様なんだにゃ・・・」





キュピル
「到着したな」
アディール
「ここでジェスターとやらの形跡を探すのは難しいか?」
キュピル
「あの時ジェスターの荷物は殆どなかったからな・・・。
とにかく・・一旦休もうか・・・」
ルイ
「そうですね・・」

三人ともその場に座り込む。
その時アディールが何かを取り出した。

キュピル
「ん、それは何?」
アディール
「携帯肉焼き機」

生肉を置いて火をつけるとぐるぐる回し始めた。

キュピル
「凄い原始的だ」
アディール
「便利だぞ、こいつは。ほら、こんがり肉だ」
ルイ
「これ半分しか焼けてませんよ・・・」
アディール
「ん?お、マジだ」
ルイ
「私に貸してください」
アディール
「素人には難しいぞー。こいつは」
キュピル
「・・ルイは料理に関しては全然素人じゃないんだよな・・」

==三分後

ルイ
「はい、こんがり肉です!」
アディール
「こんがり肉G・・・・」
キュピル
「おー、さすがルイだなぁ」
ルイ
「ふふふ・・・。そういえばそこにも木の実がありますね。食べれるでしょうか?」
アディール
「あぁ、あいつははじけクルミって言ってな。食べると破裂して痛いぞ。
だからモンスターも食わない。ボウガンの弾の材料にはなるんだが手間かかるし態々採集する奴は・・」

キュピルが立ち上がり近くによって木の実を観察する

キュピル
「・・・もぎ取ってクルミが破裂した後があるぞ・・・」
ルイ
「・・・・・」
アディール
「・・・素人はよく食う」
キュピル
「間違いない。ジェスターだ。ここに立ち寄ったようだ」

川の先を見る。

キュピル
「はたしてジェスターはここから先どこに向かったか・・・だが・・」

その時後ろからガラガラガラッと車輪の回る音が聞こえた。
皆が音のするほうへ首を向けた

ファン
「キュピルさん!ルイさん!アディールさん!危険ですから離れてください!!」
アイルー
「ニ゙ャアアアア!!」
キュピル
「うお、あぶね!!」

キュピルが辛うじて避ける。
ファンの乗っている機械がそのまま水面を走り向こう岸へと渡った。

ファン
「や、やっと止まりましたね・・・」
アイルー
「仲間のアイルーが三人落ちたにゃ・・・。探しに行ってくるにゃ・・」

よろよろとアイルーが下った坂を再び登りに行った。

キュピル
「そろそろ日が暮れちまうぞ。あんまりモタモタしてると帰るのが遅くなってモンスターの餌食になる」
アディール
「それは大丈夫だ。この先に森と丘のベースキャンプがある。そこで寝泊りできるぞ」
ルイ
「よかった、私野宿あんまり得意じゃないんです・・・」
キュピル
「モンスターに襲われる心配がないならそこにしよう。奇襲は怖い」
ファン
「そうですね」






ちょうど日が暮れた頃にベースキャンプに無事到着した。






ルイ
「はい、こんがり魚とこんがり肉です」
アイルー
「僕たちアイルーは近くに仲間の巣があるからそこから木の実をもらってくるから大丈夫だにゃ」
ルイ
「そうですか?」
キュピル
「要らないなら俺が食うぞー」

キュピルがバッと取る

ルイ
「あっ!私の分まで!」
キュピル
「今日はよく動いたから腹が減ってなぁー」
アディール
「おいおい、そろそろ肉はぎ取るの交代しろよ。キュピル。アプノトスから生肉はぎ取るの疲れたぞ」
キュピル
「どれ、交代するか」
ルイ
「ファンさん、いります?」
ファン
「僕は小食なんでもう十分です」
ルイ
「そいじゃ私が食べちゃいます」

まさに狩猟生活。

ルイ
「野菜がないのがちょっと残念ですねー」
キュピル
「米がないのも残念だ」
アディール
「贅沢だなぁー。俺なんか前来た時ハリの実が食事に出されたんだぞ。こいつ」
キュピル
「これは酷い。ハハハ」

腹一杯になるまで食べた後一行はそのまますぐに眠りについてしまった。



==翌日


朝五時ぐらいの時ある咆哮によって全員が目覚めた。

キュピル
「うわ!敵襲か!?」
アディール
「いや、ベースキャンプに襲ってくることはまず有り得ん。だが今の咆哮はなんだ?」
ファン
「じゅ、準備したほうがよさそうですね」

ファンが狩猟準備に入る。

ルイ
「私も準備します」
キュピル
「俺もしたほうがよさそうだな」

全員が武装すると勢いよくベースキャンプを飛び出した。


アディール
「リオレウスか!」
キュピル
「リオレウス?」

空に飛竜が一匹飛んでいるのはすぐわかった。
・・・で、でかい。

アディール
「よく見てみろ。足元に何かいるのがわかるだろう?」
キュピル
「あれは・・・。昨日俺らが食ったアプノトスだな」
アディール
「やはりこの時期は子育ての影響でかなり危険な地域となっているな・・・。」
ファン
「・・・・もし既にジェスターさんがあのリオレウスというモンスターに捕まっていたとしたら・・どうします?」
アディール
「・・・もし死体だけでもいいから回収したいのであれば巣に行く必要があるな」
キュピル
「そこで何もなかったらジェスターはまだ連れ去られていないっていう証拠になるな。
俺はあのリオレウスの巣に突撃する」
アディール
「待て。死ににいくのと同じだぞ」
キュピル
「だが一つの可能性として浮上したからには行かないといけない。」
アディール
「・・・全員で行こう。四人なら倒せない敵でもない。ただしリオレイアが徘徊してる可能性も否めない。
もしリオレイアがやってきたらその時は素直に逃げるぞ」
キュピル
「・・・わかった」

四人とももう一度武装の点検を行いリオレウスの巣へ向かい始めた・・・・。


続く


追伸

次回モンハン編最終回

そしてこのシーズンも後三話か四話で終わります。



第16話

一行はリオレウスの巣へ向かうこととなった。


アイルー
「に゙ゃああぁ!重たいにゃ!!」
ファン
「キュピルさん!早いです!」
キュピル
「ゆっくりで構わない。先に突撃してくる」
ファン
「そうやって何回怪我したか覚えていますか?」
キュピル
「なーに、視察だ視察。怪我しないさ」
ルイ
「あぁ、まってください!」

キュピルが一人だけ単身で突撃していった。

アディール
「ええい、何て足の速さだ。ばてないのか?」
ファン
「キュピルさんは昔から機動力だけは本当に長けています。
本当に大昔ですが風魔法を操って移動力を増していた時期もありましたから・・・
(シーズン7参照」
ルイ
「えっ!?キュピルさんって魔法使えたんですか!?」
ファン
「昔の話です。ある護符がないと使えないんですが・・。あの護符ってどこに行ったんでしょうか?」



=リオレウスの巣

キュピル
「ここか」

地図を確認する。
確かにここで間違いないようだ。
辺りにはランポスと呼ばれるモンスターが徘徊してるがこちらを見ても気に留めなかった。

それより今ランポスが気に留めているものは飛竜の卵のようだ。
さっきから鋭い顎でかみついているのだがビクともしていない。

キュピル
「(リオレウスはいないようだ・・・。探索するなら今が一番やりやすいな)」

ランポスを無視して辺りをくまなく探し始める。
骨の山が出来ている場所を崩したり寝床っぽそうな場所に身を乗り出して探したり
くまなく辺りを探したがジェスターはおろか痕跡すらない

キュピル
「(よかった・・・。ジェスターはここに連れ去られていないみたいだ・・・)」

もしここに痕跡でもあったらとうの昔に食われたか骨と化したか・・・。
想像もしたくない。

痕跡がないと分ったらとっとと撤退すべきだ。
ランポスの方にちらっと目をやるがまだ飛竜の卵に攻撃をつづけていた。
相手する必要もないので放置しよう。



ルイ
「はぁ・・はぁ・・。やっと到着しましたね・・!」
アディール
「気をつけろ。リオレウスがいるかもしれない」

が、しばらくするとキュピルが巣から出てきた。

ルイ
「キュピルさん!」
キュピル
「ほれみろ。何ともなかったぞ」
ファン
「ジェスターさんの痕跡は?」
キュピル
「くまなく探したが見つからなかった」
ルイ
「よかった・・・。死体とかは本当に見たくないです・・・」
キュピル
「だが、これで振り出しに戻っちまうな・・・」

四人とも途方に暮れる。
痕跡が全く見つからない・・・。

その時風を切る音が聞こえた。

アディール
「リオレウスだ!戻ってきたぞ!!巣から離れろ!」

全員一目散に巣から離れた。
例によってリオレウスの足には獲物らしきものが捕まっていた。
・・・・。


キュピル
「ん、ちょっとまて」

キュピルが何かに気づく。

ルイ
「どうしました?」
キュピル
「・・・もう一回奴の巣に戻る!」
アディール
「ばか、よせ!」

キュピルが再びリオレウスの巣に単身で突撃しにいった。

アディール
「ちくしょう。どうする気だよ・・・。繁殖期のリオレウスは馬鹿みたいにつえぇんだぞ・・」
ルイ
「キュピルさんを援護してきます」
ファン
「僕も行かないといけませんね」

二人ともキュピルの後を追った。

アディール
「おいおい、正気かよ。ったく、俺一人だけのんきに待ってちゃカッコ悪いじゃないか・・」

アディールも仕方なくキュピルの後を追った。



==リオレウスの巣


リオレウスが獲物を掴んだまま着地した。
そして卵を攻撃しているランポスを見つけた瞬間すさまじい咆哮で吠えた。

キュピル
「ぐおっ!うるさい・・・!!」

キュピルが耳を塞ぐ。
だが目はしっかりと開いてリオレウスの掴んでいたものを見る。
・・・白い物体・・・。確証。

キュピルが剣を抜刀し物凄い勢いでリオレウスの足を斬りつけた!
突然足に鋭い痛みが走ったリオレウスは驚いて緊急浮上した。
その時掴んでいた獲物を離した。

リオレウスに掴まれていたジェスターがボトッと落ちる。
力尽きたようにぐったりとしてる。

キュピル
「見逃すはずないじゃないか・・・。」

ひとり言を呟きジェスターを担いで一気に戦線を離脱する。

アディール
「おい、ばか!背を向けるな!!ブレスが飛ぶぞ!!」
キュピル
「えっ?」

慌てて振り返るとリオレウスが中に浮いたまま炎の球をキュピルめがけて吐き出した!
一瞬の出来事だったがジェスターを抱えたまま横に緊急回避し無事避けることに成功した。

ファン
「ひ、ひぃ!!」

避けたブレスがファンに直撃する。
しかし機械にダメージが入るだけでファン自体にダメージはなかったようだ。

ファン
「げ、撃竜槍にダメージ!故障してる可能性があります!」
アディール
「必殺技が・・・。くそ」

間髪いれずにリオレウスが宙から四人目がけて突進してきた!

アディール
「伏せろ!」

全員すぐに身を屈めた。
リオレウスが壁に激突し地面に落ちた!

アディール
「これでも食らえ!」

持っていた大剣でリオレウスの頭を思いっきり斬りかかった!
もはや斬るというより叩き潰してるに近い。
リオレウスがもがいてる隙にキュピルとルイも攻撃に参戦する

ファン
「ジェスターさんはこの機械に乗せておきます。
かなり疲労とダメージが蓄積してるようです・・・。」

ファンが二人に問いかけるが攻撃に夢中になっていて耳に入らなかったらしい。
実質ひとり言となってしまった。

いつまでもやられっぱなしのリオレウスではなかった。
堅い尻尾を勢いよく振り回しながら起き上った!

ルイ
「うあっ!!」

ルイが腹部に思いっきりリオレウスの尾が直撃する。
5m吹っ飛んだ先で地面に倒れた。

ファン
「ルイさん、生命の粉塵使います!」

ファンが生命の粉塵を当たりにばらまく。
粉塵を吸い込み少しだけ楽になった。

ルイ
「はぁ・・はぁ・・、助かりました・・・」
ファン
「かなり強いです、この敵・・・!」
キュピル
「こんな奴といつまでも戦う理由なんか存在しない!とっとと帰還するぞ!」
アディール
「あぁ、同意だ」

アディールが閃光玉を投げる。

アディール
「よーし、奴が目を眩ましてる間に逃げるぞ」

全員態勢を整えると一気にその場から離脱を試みる。
だがリオレウスが頭から突進してきた!!

キュピル
「左右に避けろ!」

すぐに全員左右に避け何とか突進を回避した。
ルイが壁の隅に移動しており場所的にかなり追いつめられている。
このままではルイは逃げることはおろかリオレウスにやられてしまう可能性がある

アディール
「俺はこっちだ、くそやろう!!」

アディールが渾身の力を込めてリオレウスの翼を叩き潰す。
だが翼を折るどころか弾かれてしまった。

アディール
「な、なんて堅さだ」
キュピル
「おい!ブレスの発射態勢じゃないのか、あれ!!」

慌ててキュピルがリオレウスの尾に掴みかかりリオレウスの背中によじ登る。
だが無視してリオレウスがルイめがけてブレスを吐き出した!

ルイ
「くっ・・」

ルイが決死の覚悟で斜め前方に緊急回避する。
ブレスは何とか避けることに成功した。
だが気が付いたら再びリオレウスの鋼鉄の尾がルイ目がけて襲いかかってきた!

ルイ
「あうっ!!」

再び弾き飛ばされさっきの隅に追いやられた。
壁に頭を強く打ちつけたようで意識がはっきりとしていない。

アディール
「こいつリオレウスじゃねぇ・・・。こんな機動力のあるリオレウス見た事ねぇぞ・・・
それに目をくらましているはずなのになんだ・・この的中力は・・」
キュピル
「ルイ!!意識をはっきりさせろ!死ぬぞ!!」

キュピルがリオレウスの背中の上から刀を突き刺した!
だがリオレウスの堅い鱗を突き通す事は出来ず弾かれてしまった。

キュピル
「くそっ、なんて堅さだ・・・。攻撃できる場所は柔らかい羽膜と足だけかよ・・!」
ルイ
「このまま・・くたばるわけありません・・!」

ルイがヘビーボウガンを降ろし愛用の銃を取り出し射撃を始めた。
ほんの少し驚いたのかリオレウスが身震いをしたがダメージ自体はあんまり入っていないようだ。
すぐにリオレウスがルイめがけてブレスを吐き出した!

ルイ
「っっ!!!!!」


そのブレスをまともに被弾してしまった。
黒煙が消え去るとぐったりと横たわったルイの姿があった。

アディール
「まずい、大やけどしてるはずだ。早くルイをここから離脱させるんだ!」
ファン
「リオレウスをどかしてください!このままでは危険で回収ができません!!」
キュピル
「俺のとっておきだ」

キュピルがリオレウスの背中に何かを張り付けたらしい。
慌ててキュピルがリオレウスの背中から飛び降りた。
その三秒後、リオレウスの背中で大爆発が起きた!

アディール
「樽爆弾か!」
キュピル
「ご名答」
アディール
「流石にこいつは利いただろ・・・!岩をも砕く爆弾だぞ・・!」

確かにそこには大きく怯んだリオレウスの姿がいた。
だが今の攻撃が逆鱗に触れたらしくすさまじい咆哮が二人を襲う。

キュピル
「ぐっ・・・」
アディール
「うぐぉっ・・!」

今の咆哮にアディールがバランスを崩した。
すぐに転倒したアディール目がけてリオレウスが噛みついてきた!!

アディール
「ぐああぁぁぁぁっっっ!!!」


物凄い顎の力でアディールの腕を噛み砕く。
あまりのおぞましい光景にキュピルもファンも棒立ちとなってしまった。

アディール
「ばか・・・!何をやっている・・・早く攻撃しろ・・!!!
奴の鱗は・・堅い・・!!打撃だ・・・打撃で攻めろ・・・!!衝撃は鱗を貫通させる・・・!!!」

アディールがリオレウスの口を思いっきり蹴り飛ばす。だが離す気配はない。

キュピル
「だ、打撃・・・。だが俺は刀だ・・!」
ファン
「キュピルさん、これを!!」

ファンが撃竜槍を発射する場所から巨剣を引っこ抜いた。

キュピル
「そうか!そいつがあったか!!」
ファン
「あの職人さんに作ってもらった巨剣。無駄にはなりませんでしたね」

重たい鋼鉄の巨剣を手に取りリオレウスの頭目がけて渾身の力を込めて振り下ろした!!

キュピル
「うおぉぉぉぉおおおお!!!!」



奴に斬撃ダメージを与えることはできなかった。
だがその重みでリオレウスが怯んだ。
その隙に急いでアディールが手をひっこめる。
それと同時にファンも急いで機械を動かしルイを改修回収する。

ファン
「ルイさん!意識はありますか・・!」
ルイ
「あり・・ます・・・」
ファン
「わかりました。もう喋らなくて大丈夫です」

ファンがルイに治療を行っている間に更に巨剣で追撃をかける。
だが弾かれてしまった。

キュピル
「衝撃は入ってる。だが衝撃だけで倒せるとは思えんぞ・・・!!」
アディール
「それでいい・・・。倒す必要なんてない・・!ここから逃げ切ればいいだけの話だ・・!!」
キュピル
「ファン!ジェスターとルイを乗せてその場から離脱してくれ!
すぐに後を追う!」
ファン
「分りました!」

ファンが二人を乗せて撤退を始めた。
その間にアディールとキュピルがリオレウスの気をひきつける。

キュピル
「足に攻撃しよう!奴の足にならダメージが入ったはずだ!」

キュピルが巨剣を投げ捨て刀を抜刀し足を切りつけた。
弾かれることもなく普通に斬ることに成功した。

アディール
「足を攻めれば転倒する。それにここは肉質が柔らかい・・。攻めるぞ!!」

二人ともリオレウスの足を中心に攻撃を始めた。
すぐ足元に集られ思うようにリオレウスが動けないでいるが宙に浮きすぐに降下。二人を踏みつけた!

キュピル
「ぐおっ!!」
アディール
「あぐあっ!」

胴体を踏まれている。だが鎧のお陰で大したダメージはない。

キュピル
「こいつでもくらえ!」

踏まれながらもリオレウスの足を刀で斬りつける。
神経を切ったらしくリオレウスが叫びながら横に倒れた。
二人ともすぐに起き上がった。

アディール
「足を集中的に攻撃して移動力を奪うぞ!」
キュピル
「あぁ」

倒れてる間に更に足を攻撃。
キュピルがリオレウスの皮と肉を斬りアディールがリオレウスの骨を叩き割る。
物凄い苦しそうな咆哮を上げる。

キュピル
「効いてる・・・。効果があるぞ!」
アディール
「貰ったぞ!!」

アディールが渾身の力でリオレウスの足を叩き切る!!
スパンと足を切断させた。

キュピル
「うっ・・・」

流石のキュピルもこのグロい光景に耐えることができず後ずさりしてしまった。

アディール
「もういい。戻るぞ!しばらく機動力を失っておって来ないはずだ!」
キュピル
「あ、あぁ!」

すぐにリオレウスの巣から離れた



巣から飛び出し広い草原に飛び出る。
そのまま後ろを振り返らずにひたすら岩と岩の間を抜けひたすらベースキャンプに向けて走った。

だがその時。突然風を切る音が聞こえた。

アディール
「・・・・!!」
キュピル
「なっ!」

リオレウスが空から攻撃を仕掛けてきた!
足を失ってもまだ翼が残っている・・・。

リオレウスが頭からアディールに向けて突撃してきた!!

アディール
「うぐわああぁぁっっ!!!」

今度は胴体を噛みつかれる。そしてそのまま空高く飛び上がった。
空を飛ばれてしまってはどうしようもすることができない。
リオレウスから目を離さないようにゆっくり後ずさりする。

アディール
「くそ・・が!!」

アディールが最後の抵抗を試みる。
小樽爆弾を天下させリオレウスの口の中に突っ込ませる。
小さな爆発が口の中で発生した。この痛みに流石に驚いたのかリオレウスが口をあけて吠える
アディールが落下してきた。
生々しい音とともに地面に激突。

キュピル
「大丈夫か!」
アディール
「あまり大丈夫じゃねぇ・・。気をつけろ、来るぞ・・・!」

リオレウスがさっきの仕返しと言わんばかりにブレスを吐き出した!!

キュピル
「引きずるぞ!」

キュピルがアディールを引っ張って急いで落下地点から逃げる。
辛うじてブレスを避けることに成功したがすぐにまたブレスが飛んできた!!

アディール
「離せ・・。俺にとっておきの策がある・・・。」
キュピル
「何だって?」
アディール
「俺が奴の口の中に飛び込んで大樽爆弾を仕掛ける・・・!」
キュピル
「アホか!死ぬだろ!」
アディール
「いいか・・。ハンターは自分の死に時が分るんだ・・・。
このまま逃げ切っても、もう助からない・・・。」

確かにアディールの出血はさっきからかなり酷い。
鎧を貫通させ胴体に牙を食いこませた後が・・・生々しい。

キュピル
「ファンとルイの治療力を舐めるな。」

二発目のブレスを回避する。
だが三発目のブレスが襲いかかってきた。
三発目のブレスを吐いた瞬間にこちら目がけて飛び込んできた!!

アディール
「来る・・・!!」
キュピル
「くそ・・!!」

キュピルがアディールの腕を思いっきり引っ張る。
だがアディールが自分の力で立つ。

キュピル
「おぉ、動けるか・・!!」
アディール
「これが・・・戦う者の末路だ・・・!!!」



アディールが携帯リュックから大樽爆弾と小樽爆弾を取り出し
リオレウス目がけて突撃した!!

キュピル
「ばか、よせ!!!」

リオレウスがアディールに思いっきりかみつく。
だがこれはアディールにとって想定内の出来事であり願っていた出来ごとでもあった。
そのままリオレウスがアディールに強く噛みつきながら空を飛ぶ


アディール
「キュピル・・!!聞・・け・・!!!」




アディールが最後の叫びをあげる



アディール
「誰かを救うなら・・
命を惜しむな!!!
大切な奴がいるなら・・
尚更だ!!!!」



とても弱ってるとは思えない叫びをあげた。
だが最後はとても小さな声で・・

アディール
「初めて誰かと一緒に戦って・・・
本当に楽しかった・・・。もっと一緒に戦いたかったな・・・」



その直後。



空中で大きな爆発が起きた。



体内で爆発されたリオレウスにとってこれ以上のない攻撃となり
絶命させるには十分すぎた。
そのままリオレウスが勢いよく深い谷底へと落ちていった・・・。




キュピル
「また・・・一人死んだ・・・。凄い頼りにしてた人がまた死んだ・・・。」



力なくその場にペタンと座る。

ファンとルイが様子を見に戻ってくるまでずっとその場に座り続けた・・。





==ベースキャンプ


キュピル
「・・・・・・・・・・」
ファン
「これで治療は大丈夫です」
キュピル
「助かる・・・・」
ファン
「・・・心中お察しします・・・」

俯くキュピル。

ファン
「・・・ジェスターさんは先程意識が戻りましたよ」
キュピル
「そうか・・」

噂をすればジェスターがテントの入り口の隙間から覗いていた

ジェスター
「じぃー・・・。入るよ?」

ジェスターがテントの中に入ってきた。

ジェスター
「私、何が起きたのか全然わからないけど・・・。またキュピルが助けてくれたんだよね・・・。ありg・・」
キュピル
「違う・・・。」

ジェスター
「えっ・・・?」
キュピル
「俺が助けたんじゃない・・。あいつが・・アディールがお前を助けたんだ・・・」
ジェスター
「アディール?よくわからないけど・・お礼言わないといけないよね・・?」
キュピル
「アディールは死んだ・・・」

力なく言う。拳が震える

ファン
「ジェスターさん。一旦キュピルさんに構わないであげてください」
ジェスター
「う、うん・・・」

ジェスターがゆっくりテントから出る。

キュピル
「赤の他人である俺達を救って・・・。ジェスターの救出に協力して・・・。
散々協力した挙句にあいつは・・アディールは最後に俺たちのために死んだ・・・。」
ファン
「・・・・・・・」

キュピル
「ジェスターが・・・。ジェスターさえ遭難しなければ・・!
いや、違う。そもそもあの時俺がちゃんと適切な行動を取って
ジェスターと一緒に逃げていればアディールは死なずに済んだはずだ・・!!!
ファン
「キュピルさん・・・」

かける声が出てこない。


キュピル
「ちくしょう・・!!ちくしょう!!アディールを救う場所はいくつもあった!!!
それなのに俺はただ闇雲に行動し、逃げて・・あいつを死なせた!!
あいつは俺が殺したんだ!!!!

近くにあった箱を思いっきり蹴飛ばす。
中に入っていた回復薬が当たりに散らばる。

ファン
「考えすぎです。キュピルさん」
キュピル
「くそ!!!」

二つ目の箱を壊す。
ルイが慌ててテントの中に入ってきた。

ルイ
「キュピルさん、落ち着いてください!!!」

ルイが後ろからキュピルを羽交い絞めする。
腕を拘束されて初めてはっと我に返った。

キュピル
「・・・すまない・・」
ルイ
「とにかく皆疲れてます。今日は早く寝ましょう・・・」
ファン
「そうです。今日は早く寝ましょう」
キュピル
「・・・そうだな・・」
ルイ
「それではおやすみなさい」

ルイとファンがテントから出る。

・・・しばらくしてキュピルも寝袋を持ってテントの外で横になり目を瞑った。


キュピル
「(・・・・・いつも誰かに頼っている・・・。もっと・・もっと俺が先導に立って
皆を守らないと・・・。じゃないと・・・じゃないとまた誰か・・殺す・・・)」

睡魔に負け眠りに入った瞬間。
一筋の流れ星が降った。


追伸

あと二話



最終話


何かを悟りだすキュピル。


ファン
「では元の世界に戻りましょう」

ファンが特別なウィングを取り出し全員に配る

ファン
「この世界で手に入れた素材は一部高価なものがありました。
さっそく向こうで錬金させてもらいます」
ルイ
「錬金って・・・。ファンさん・・。錬金って何なんですか?」
ファン
「錬金っていうのは同じ物質同士を・・・」
ルイ
「あ、ごめんなさい。聞いても分らなさそうなのでやめておきます・・」
ファン
「そうですか?」
ジェスター
「これ使えばいいんだよね?」
ファン
「はい」

ジェスターが一番最初に戻る。つづいてファンやルイ。キュピルも使って自宅に戻る



==キュピルの家



ジェスター
「たっだいま〜!!」

ジェスターがバッと入りソファーの上でゴロゴロし始める

ジェスター
「やっぱり自宅が一番良い〜。私当分動かないー」
ルイ
「ふぅ、そうですね・・。私もなんだか疲れちゃいました」
キュピル
「正直申し訳ない。今思えば勝手に俺が一人旅始めたからこんなことが始まってしまったんだよな」
ルイ
「お互い様ですよ、キュピルさん。以前にも似たようなことがあったじゃないですか(シーズン9」
キュピル
「まぁ、そうなんだが・・」
ルイ
「とりあえずほら、キュピルさん。まだ傷も癒えてないですしゆっくり休んでください。ね?」
キュピル
「うーむ、そうだな。今だけはちょっと全部忘れてゆっくり休ませてもらうよ」
ルイ
「それがいいです」


その日一日は懐かしい自宅で皆ゆっくり休みいつも通りに過ごした。

しかし全部忘れてゆっくり休むと言ったキュピルだけが結局ずーっと何か考え事をして
あまり休んでいなかった・・・。



==深夜


キュピル
「・・・・・」

身支度を整える。
あと一日だけ。あと一日だけどうしても会いたい人がいる。
万が一の事に備えて置手紙を置く。

キュピル
「さぁ、行くぞ。」


こっそりファンの部屋に侵入し特殊ワープ装置機を作動させる。
大きな音が鳴ったがファンは寝続けていた。
そしてキュピルはある世界へ飛んだ。





==冬の山


キュピルは再び寒い寒い冬の山へたどり着いた。
だがアディールがいた世界とはどこか違う。
あの山と違って変わった生き物たちが沢山生息している。
しかしキュピルを見かけても襲うことはなく素通りしていく。


キュピル
「・・・ここにいるはずなんだが・・・」

粉雪が降っている。
とりあえず目的の人物に会うためにキュピルは山を登り続けた。



少し山を登り続けてくと簡単に頂上についた。
ワープした場所が元々頂上に近かったようだ。

その頂上にキュピルが探していた人物がいた。

キュピル
「・・・・いたいた。」

その人物は背を向けていた。
だが物音に気付いたらしく振り向いた。

キュピル
「覚えてるか?レッド
レッド
「君は・・・・。・・・・キュピルか?」
キュピル
「覚えててくれたか。嬉しいよ」
レッド
「・・・三年ぶりだな」
キュピル
「なんだ、こっちの世界はもうそんなに時が経ってるのか」
レッド
「・・・どういうことだ?」
キュピル
「前にも言ったじゃないか。俺は別次元からやってきた人間だ。
そっちは時の流れがちょっと違うのかもしれない」
レッド
「・・・なるほど。」
キュピル
「現に俺はレッド。君と別れてから二週間しか経っていない」
レッド
「二週間?そりゃまいったね、僕だけドンドン歳とっちゃうね」
キュピル
「・・・レッド。なんか雰囲気が凄く変わったように思える。一体何があったんだ?」
レッド
「それはこっちの台詞でもあるね。キュピル。君も僕の記憶の中にいるキュピルじゃない気がする。」
キュピル
「・・・・お互い色々あったようだな」
レッド
「・・・まぁね。」

レッドが赤色のボールを取り出す。懐かしい。モンスターボールだ。
そのモンスターボールからリザードンを召喚した。

リザードン
「ぐおぉ?」

キュピルを見るなり首をかしげる。どうやらリザードンは忘れているようだ。

レッド
「寒いだろ?リザードンに近寄るといいよ」
キュピル
「助かる」

リザードンの近くに座る。
しばらくして二人とも互いの近況を話し始めた。

レッド
「キュピル。ジェスターって子はどうしたんだ?」
キュピル
「俺の家にいるよ。」
レッド
「そうか。・・・あの日が懐かしいな」
キュピル
「俺も遠い記憶のように感じられる。二週間しか経っていないのに何年も経っている感じがする・・・」
レッド
「僕の場合は三年も経っているけどね・・・」
キュピル
「そっちのが遥かに昔の記憶だな」

苦笑する

キュピル
「・・・・なぁ。聞きたい事があるんだ」
レッド
「何?」
キュピル
「・・・今でもレッドに言われたある一言を覚えているんだ。

そう。最初こそトレーナーもポケモンもお互い事をよく知らないけど一緒に冒険したり何かをやって
お互い分かりあい何年も一緒にいたらそりゃ誰だって家族と言っちゃうさ


なぁ、今でもそう言えるのか?」
レッド
「覚えてるよ。そして今でもそう言える。」
キュピル
「・・・それなら暫く俺の仲間を一回家族と言わせてもらうよ。
俺は家族のために一杯働いて家族を支えてきたつもりだが・・。。
支えてきたから見返りを要求するってのは酷い事してると思うか?」
レッド
「・・・前後の状況が分らないからはっきりと言えない・・・。
でもよく考えてほしいな。もしその人たちが本当に家族だったら見返りを要求するかい?
君の親が歳で動けなくなってしまって移動を一々手伝うために見返りを要求するのかい?」

結構耳の痛い事を言われた。
だが

キュピル
「・・・俺、親を見た事がない」
レッド
「・・・・ごめん」
キュピル
「いや、気にしなくていい。実際何処で俺が生まれたのか。誰が親なのか本当に分らない。
もしかして俺は突然どこからか現れたのか?って思うぐらいだ。まぁ、それはないんだけど」
レッド
「・・・・・・・」
キュピル
「物心ついた時は自分の師匠の傍にずっといた記憶しかない。
・・・・だからこそレッドの言ってる意味が少し分らないのかもしれない。」
レッド
「言い方を変えてみようか。
最初は知らない人でも一緒に冒険したり何かをしてお互い助け合っていくと
段々お互いの事が分ってくるんだよ。もうそれだけで友達だとかの域を超えてきてくるんだよ。
親友だとかじゃ表現しきれないもっと上のね。それを家族同然って言ってるんだ、僕は」
キュピル
「・・・・そうか」
レッド
「ゆっくり。ゆっくりでいいんじゃないかな?」
キュピル
「ゆっくりか・・・」

キュピルがリザードンによりかかる。
よりかかると時々リザードンがキュピルの頭をこんこんと叩く。
別に嫌がってるとかそういうんじゃなくて単純に興味があるだけのようだ。
少しジェスターに似ている。

キュピル
「いて、いで」
レッド
「リザードンは君に興味を持ってるね」

レッドが苦笑いする。

キュピル
「しかし軽くつついてるつもりなんだが結構痛い」

寄りかかるのをやめる。

キュピル
「(家族かー・・・)」

今日の星空はいつもより綺麗だ。
暗いというのが大きいのかもしれない。

キュピル
「ありがとう。レッド。何か新しい答えを見つけた気がするよ」
レッド
「もう行くのかい?」
キュピル
「あぁ。内緒でこっちに来てるんだ」
レッド
「そっか。久々に会えてうれしかったよ」
キュピル
「俺もだよ。」
レッド
「また来てくれよ。今度はキュピルの家族同然の人を連れて、ね」
キュピル
「ハハハ・・・」

苦笑する。

レッド
「じゃ、また」
キュピル
「おう」

ウィングを使う。
光に包まれる。そして光が消えるとナルビクに戻っていた。
まだまだ深夜だ。

キュピル
「ん〜む。眠い。俺も寝ようかな」

自宅の扉を開け家に入るとジェスターがいた。

ジェスター
「あれ?キュピル出かけてたの?」
キュピル
「むしろジェスターこそまだ起きてたのか」
ジェスター
「うん。ねぇ、なんで雪ついてるの?エルティボまで行ってたの?」
キュピル
「まさか」
ジェスター
「じゃぁ、その雪何?」
キュピル
「敵にアイスミサイル使われて凍っちまった。」
ジェスター
「えー。ださいー」
キュピル
「ださい言うな・・・。俺はもう疲れたから寝るよ」
ジェスター
「どこ行ってたの?」
キュピル
「お・や・す・み」
ジェスター
「あー、隠し事してるー!」

ジェスターがタックルを仕掛けてきた。
しかし片腕で止める。

ジェスター
「わあああぁぁぁぁ!」
キュピル
「全く、遊ぶなら昼。ほら、寝るんだ」
ジェスター
「えー・・・」
キュピル
「何で起きてる?」
ジェスター
「秘密ー」
キュピル
「・・・・・。ジェスター」
ジェスター
「ん?」
キュピル
「夜にそれはやめたほうがいい。あと後困るぞー」
ジェスター
「え・・・。何で?」

かまをかけたら見事に引っかかった。もちろん何をしてるのか分らないが・・・。
このまま嘘を言ってみる。

キュピル
「太るぞ」
ジェスター
「太らないもん」
キュピル
「ストレスとかでね」
ジェスター
「えー・・・。ヨーグルト食べたらストレスになるの?」
キュピル
「あ!!俺のとっておいたヨーグルト食べたな!」
ジェスター
「あ、おやすみー」
キュピル
「く、くらぁぁぁ!!」

ジェスターをとっ捕まえる

ジェスター
「わああああ!わああああ!」
キュピル
「ふはは、堪忍しろ」

ルイ
「う、うるさいです!!!」

キュピル
「ギョ」
ジェスター
「ギャ」
ルイ
「深夜に遊ばないでください!二人とも早く寝てください!」
キュピル
「はい・・・」
ジェスター
「はい・・・」

その後はすぐに睡魔が襲ってきて眠りについた






==翌日



ファン
「おはようございます。昨日えらく騒がしかったようですが何があったんですか?」
ルイ
「さぁ・・・。私もよく覚えてません・・・」
キュピル
「え、記憶にないのか?ルイ」
ルイ
「全く・・・」
キュピル
「(夢遊病・・・)」

久々にいつも通りの日常を迎えることとなった。

あの異次元を渡り歩いた経験は何かの力になるのだろうか。



キュピル
「(いいよ、一年捨てたつもりで自由に生きてみる)」


ルイ
「(キュピルさんの過去・・・。)」



また新しい物語が始まる


シーズン12 END



追伸

あと二話とか言っておきながら余裕で最終回でした。
本当はあともう一話あったのですがシナリオがえらく気に入らなかったので
すいません、カットしました。そしたらめっさ短い最終回になった・・・

次回はまたいつも通り「よくわからない日常」が始まります。


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