CHH(キュー編) (没) 3




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「お久しぶり・・・と、申すべきでしょうかね?
私のことを覚えていらっしゃる方はいらっしゃいますか?おっと、実際に口に出さなくても結構。
覚えていても、覚えていなくても私には貴方が何を考えているかはわかります。」


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「・・・・ふむ?私が誰かって?
かような事を聞くとは。だが、誰だって良いだろう。だが、ジェスターの独り言本編を見たことがあるならば、もしかしたら私のことを
知っているかもしれんな。」


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「さて、話を戻そう。」



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「不運にもCHHと呼ばれる街へ訪れたキュー。おお、なんと可哀想な事か。ただの好奇心で訪れた先がよもや自らの人生を終わらせてしまう魔の都市だったとは。
この事をキューのお父さん・・・つまり、キュピルが知ればきっと怒りに震えた事であろう。だが、残念な事にキュピルはキューがどこにいるか知る由もない。
そもそも、この件が解決し見事トラバチェスの危機を救い家に戻りキューがいない事に気がついたとしても、その先一生キューがどこにいるか分からずに奴は人生を過ごし続ける。」



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「・・・・・しかし、奴も勘が鋭い。CHHを見て初めは私が作った都市ではないかと疑っていたようだが、そうでないとすぐに気づいたようだ。
その通り。今の私は少し弱っている。まだ奴のいる大陸に手を出すことは出来ないのだ。
・・・・仮に、私の力が元に戻り奴の世界に関与することが出来たとしても、あのような都市は作らん。
当たり前だろう。私は普通の奴に普通のシナリオには興味がない。そこらの一般人を奴隷にして従わせることの何が楽しい?
他者の欲望・金・力・権力。それ等を誰かから奪い去り、誰かに付与させることの何が楽しい?私にはそんなものは興味はない。
私が興味を持つ対称は・・・そう。唯一つのみ。倒錯的な、希望と絶望の入り乱れ必死に抵抗しつつもいつかは崩れ落ちてしまう。そんな人生を歩むことを決定付けられている者にしか私は興味はない。
勿論、そんな倒錯的な人生を歩む者は私が作った人間以外に滅多に存在しないのだがな。」



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「ふむ、キュピルの様子を見る限りでは、CHHを陥落させる事は難しいな。なにやら魔法の武器になる女狐を従えて奮闘しているが死ぬのも時間の問題か。
それでは困る。私の関与していない勝手なシナリオで死なれては困るのだ。少しだけ奴に力を与えてやるとしよう・・・・。そのうち私が関与したと気づき際悩まされる日が来るのだろうがそれもまた一興だ。」


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「・・・・おっと、私としたことが・・・・。いやいや、すまない。私にとっての今の興味対象はキュピルとシルクだけだが君達は・・・CHHに連れて行かれたキューが興味対象だったな。
本来であれば、私が即座に運命を操りキューはCHHへ行かなかった事にするのだが・・・・諸君達はその後のキューが気になって仕方がないのだろう。
いや、結構。諸君達は我々の同類。運命を操る前に・・・・キューがどうなったか。それだけを見届けてから運命を改竄するとしよう。」










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あの部屋から脱走しようとした私は、がたいの良い男に腕を掴まれてまた別の部屋に連れて行かれていた。
暴れても無駄だと悟った私は大人しく腕を引っ張られながら男の後をついていく。

そして、がたいの良い男に連れてこられた躾部屋と呼ばれる場所・・・・。
そこは確かに躾部屋と呼ばれるのに相応しそうな場所だった。部屋自体は最初に閉じ込められていた部屋と同じ広さであり、壁が石で出来ている事も一緒だ。
だが、部屋の中央には電マを固定させる台座の変わりに、これまで以上に物々しい雰囲気を放っている謎のカプセル型の機械が置かれていた。

がたいの良い男は、カプセルの形をした機械の前に立つと、車のトランクを開けるかのように
カプセルの取っ手部分をつかんで蓋を開けた。そして、男は私を無理やりカプセルの形をした機械の中に放りこんだ。
カプセルの形をした機械の内側にはローターや電マ、それに見たこともない器具に機械のアームが沢山装備されていた。
それを見た私は、この機械の中で何をされるのか直に予知し、いつのまにか目に溜まった涙を拭いさりながら男に懇願した。

キュー
「た、頼むから・・・ぐずっ・・あ、アタシを・・・ひっくっ・・解放して・・くれ・・・。」

しかし、男はニヤリと笑うだけでそのままカプセルの蓋を閉めた。
その直後、突如機械音が鳴り響きアームらしきものが私の両手両足を掴み、仰向けの体勢で大の字に拘束する。
そして勝手に動くローターと電マを見て、アタシは目を瞑って覚悟を決めた。





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